連載コラム『サラリーマンが知っておきたいマネーテクニック』では、会社員が身につけておきたいマネーに関する知識やスキル・テクニック・ノウハウを、ファイナンシャルプランナーの中村宏氏が、独断も交えながらお伝えします。


20代、30代前半の未婚の人は、自分の将来のライフイベントを考えること!

2013年の初婚の平均年齢は、男性が30.9歳、女性が29.3歳です。20年前の1993年は男性28.4歳、女性26.1歳ですので、「晩婚化」は確実に進んでいるといえます。また、一生涯結婚しない人の割合も、2010年では男性20.1%。女性10.6%にも及んでいます。

「結婚をするか、しないか」も、「何歳でするか」も、本人の自由ですが、いずれするつもりがあるなら、結婚の目標年齢を設定し、計画を立てて実行したほうがいいでしょう。なぜなら、偶然の「出会い」をじっと待っていても、向こうからやってくることは滅多にないから。「出会える」確率が高いところに、こちらから積極的に出向いていく必要があります。

結婚そのものは、家計に対してマイナスの影響よりもプラスの影響が大きいでしょう。最近は、結婚する男女の多くは働いている者同士で、結婚しても妻は仕事を辞めないため世帯収入は増えるでしょう。一方、家賃やその他の生活費などの支出は、2人で暮らすほうが効率的なので、抑えられます。

ただ、その夫婦に子供が生まれると、事情が変わります。子供1人には生まれてから自立するまでの約20年間で、合計約1千万円の教育費がかかります。支出が増える分、収入が必要なのに、現在、女性の約6割は出産を機に退職します。夫の転勤のために妻が離職せざるを得ない場合もあるでしょう。

また、家族が増えると、人数に合った住空間が必要になったり、夫婦の老後の不安を解消するためにも、マイホームの購入を考え始めます。

このように、長期的に見ると家計の状況は大きく変化していきます。

20代や30代前半の未婚の方は、ぜひ、将来自分に起こるうるライフイベントとその時期を具体的に考え、それらが家計にどんな影響を及ぼすかを想像してみてください。

"教育資金"負担が50代半ばに終わるように、"結婚の目標年齢"を決めることが理想

「結婚し、子供を育て、マイホームを購入する」という一般的なライフイベントを想定するなら、世帯主が50代半ばになるころに、子供の教育費負担が終わるように結婚年齢を予定するのが理想です。

なぜなら、子供の教育費負担が60歳の定年以降も続くと、教育資金に退職金を使わなければならない可能性があります。そうなると、夫婦の老後資金が不足するかもしれません。

20代や30代の方は、自分の老後の公的年金が今より減るのは確実です。そのため、退職金は老後資金以外の目的では使わないようにしたいものです。

50代半ばには教育費負担から解放されると、60歳の定年までの間にしっかりお金を貯めることができます。住宅ローンがあれば、せっせと繰上返済をして、60歳以降に返済負担を持ち越さない工夫をすることもできます。

結婚の目標年齢の決め方は、たとえば、「自分の子供は大学まで行かせたい」と考えるのであれば、「下の子供は23歳に大学を卒業して自立する」、「そのとき自分は55歳」などと仮定するのです。そうすると、32歳(=55歳-23歳)までに結婚して、子供を作る必要があります。子供が2人ほしいなら、30歳くらいまでには結婚しておく必要があります。

もちろん、実際にはそうならないこともあるでしょう。その場合は、夫婦でフルタイムの共働きを続けて収入を維持するとか、子供の教育を公立中心に考えて教育費を抑制するとか、マイホームの予算で抑えるとか、調整のやり方はいくつもあります。

最初から「将来のことはどうなるかわからないので考えない」のではなく、「わからないからこそ具体的にいろいろ考えてみる」ことで、自分の将来のさまざま選択肢を想定することができますし、漠然としたものであっても目標を作ることができると思います。

自分の生活に長期的な目標を作ることは、上手に生きることにつながるのではないでしょうか。

(※写真画像は本文とは関係ありません)

執筆者プロフィール : 中村宏(なかむら ひろし)

ファイナンシャルプランナー(CFP認定者)、一級ファイナンシャルプランニング技能士。(株)ベネッセコーポレーションを経て、2003年にFPとして独立し、FPオフィス ワーク・ワークスを設立。「お客様の『お金の心配』を自信と希望にかえる!」をモットーに、顧客の立場に立った個人相談やコンサルティングを多数行っているほか、セミナー講師、雑誌取材、執筆・寄稿などで生活のお金に関する情報や知識、ノウハウを発信。新著:『老後に破産する人、しない人』(KADOKAWA中経出版)

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