連載コラム『サラリーマンが知っておきたいマネーテクニック』では、会社員が身につけておきたいマネーに関する知識やスキル・テクニック・ノウハウを、ファイナンシャルプランナーの中村宏氏が、独断も交えながらお伝えします。


学資保険で準備をするときには「戻り率」の高いものを選ぶ!

子供が大学を受験する前までに200~300万円を準備する最も一般的な方法は、「学資保険」を活用することでしょう。学資保険は、一般的に妊娠中や子供が生まれて数年内に加入し、子供が17歳、あるいは18歳まで保険料を払い、満期を迎えると学資金を受け取ることができる保険商品です。

「保険」としての特徴は、保険料を支払っている親が死亡した場合に、以後の保険料の払い込みが免除となる点です。それでも満期になると契約時に定めた学資金を受け取ることができます。

多くの生命保険会社が学資保険を取り扱っていますが、選ぶときのポイントは「戻り率」の高さです。「戻り率」とは、「受け取る学資金総額÷払込保険料総額×100」で求められます。

たとえば、子供が0歳の時に契約をして18歳になるまで、毎月1万円を支払うと18年間の保険料払込総額は、216万円です。

満期の18歳時に受け取る学資金の額が200万円であれば、戻り率は200万円÷216万円×100=92.6%になり、"元本割れ"となってしまいます。

一方、受け取る学資金の額が230万円なら、戻り率は230万円÷216万円×100=106.5%になります。

つまり、戻り率の高い保険のほうが効率よく学資金を準備できることになるのです。

高い「戻り率」の学資保険でも、かかった年数の割には増えない

ただ、高い戻り率の学資保険であっても、近年の低金利ではあまり増えません。たとえば、18年かけて保険料総額の106.5%の学資金を受け取れる場合、18年かけて6.5%しか増えないことになります。1年当たりの利回りは0.36%(=6.5%÷18年)です。この水準は、現在の預金金利とくらべれば高いものの、契約時の利率が満期までずっと固定されることを考えると、「お金を増やす」ことに関しては、大きなメリットはなさそうです。

しかし、計画的に預金をすることが苦手な方には、学資保険は向いているかもしれません。保険は預金にくらべると、契約に多くの手続きが必要で、また子供の名前が記載された保険証券を渡されます。このことが親に対して「子供のために、ちゃんと保険料を払い続けていかねばならない」という気持ちを起こさせているように思います。

(※写真画像は本文とは関係ありません)

執筆者プロフィール : 中村宏(なかむら ひろし)

ファイナンシャルプランナー(CFP認定者)、一級ファイナンシャルプランニング技能士。(株)ベネッセコーポレーションを経て、2003年にFPとして独立し、FPオフィス ワーク・ワークスを設立。「お客様の『お金の心配』を自信と希望にかえる!」をモットーに、顧客の立場に立った個人相談やコンサルティングを多数行っているほか、セミナー講師、雑誌取材、執筆・寄稿などで生活のお金に関する情報や知識、ノウハウを発信。新著:『老後に破産する人、しない人』(KADOKAWA中経出版)

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