連載コラム『サラリーマンが知っておきたいマネーテクニック』では、会社員が身につけておきたいマネーに関する知識やスキル・テクニック・ノウハウを、ファイナンシャルプランナーの中村宏氏が、独断も交えながらお伝えします。


満期が1週間や2週間の定期預金がある!

「定期預金」の満期といえば、ふつう1年や3年、5年、10年などが一般的ですが、金融機関によっては、1週間や2週間など、満期が超短期の定期預金を提供しています。

満期が短い預金金利は金利が低いかと思いきや、実際にはそうではなく、一般的な1年満期の定期預金より高い金利が設定されています。

超短期定期預金を提供しているおもな金融機関は、新生銀行、東京スター銀行、オリックス銀行です。

【おもな超短期定期預金の比較】

(各行の2015/5/3のHPより筆者作成)

メガバンクの普通預金金利は0.02%、300万円未満の1年満期の定期預金金利は0.025%です(2015/5/3時点)。これらと比較しても魅力的な金利水準です。

物価上昇局面では、固定金利タイプの定期預金は満期の短いものがよい

日本銀行の金融緩和のおかげで歴史的な低金利の状態が続いていますが、そもそもこの金融政策は、物価上昇率を2%程度にすることを狙って行われています。今後、狙い通りに物価が上がれば、やがて市場金利も上昇に向かいます。

金利が上昇する局面では、固定金利タイプの定期預金は、満期が短いほうが有利だと言われます。なぜなら、固定タイプの預金は、預け入れたときの金利が満期まで変わらないため、その間に市場金利が上昇しても預金金利には反映されないからです。

定期預金は満期を迎えると自動更新され、更新時の市場金利に合わせて預金金利も再設定されます。金利上昇局面では、満期の短い定期預金で金利上昇の恩恵を受けやすくしたほうがいいのです。

定期預金は、中途解約すると低い利率(中途解約利率)が適用される

定期預金は、満期まで預け入れることを条件に金利が決められていますので、満期の前に中途解約すると、普通預金金利やそれ以下の低い利率が適用されます。

1年満期の定期預金だと、急にお金が必要になった場合、満期が来るまで待てず、しぶしぶ解約をしないといけないことがあるかもしれませんが、満期が1週間や2週間だと、その点も気楽です。

また、他の預金と同様に、預金保険制度(ペイオフ)の対象となっており、万が一銀行が破綻した場合も1,000万円までの元金とその利息までは保護され、元本保証となる点でも安心です。

他の有利な預金とも比較して検討する!

銀行は、新規顧客を獲得するために、さまざまな金利優遇キャンペーンを行っています。はじめて口座を開設する人向けのものや、退職金やボーナスの預け入れを対象としてもの、証券会社の口座と連動させた預金などがあります。これらの中には、超短期定期預金よりも有利なものもあります。

預金の目的や、預け入れ期間などに照らし合わせて、できるだけ有利なものを選ぶようにするとよいでしょう。

執筆者プロフィール : 中村宏(なかむら ひろし)

ファイナンシャルプランナー(CFP認定者)、一級ファイナンシャルプランニング技能士。(株)ベネッセコーポレーションを経て、2003年にFPとして独立し、FPオフィス ワーク・ワークスを設立。「お客様の『お金の心配』を自信と希望にかえる!」をモットーに、顧客の立場に立った個人相談やコンサルティングを多数行っているほか、セミナー講師、雑誌取材、執筆・寄稿などで生活のお金に関する情報や知識、ノウハウを発信。新著:『老後に破産する人、しない人』(KADOKAWA中経出版)

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