連載コラム『サラリーマンが知っておきたいマネーテクニック』では、会社員が身につけておきたいマネーに関する知識やスキル・テクニック・ノウハウを、ファイナンシャルプランナーの中村宏氏が、独断も交えながらお伝えします。


デビットカードは即時決済なので家計管理がしやすい

一般的に、クレジットカードでの買い物は家計管理がしにくいと言われ、その理由には以下のようなことが挙げられます。

  1. 買い物をしたあとに、銀行口座から代金が差し引かれる

  2. 口座残高以上の買い物ができる

  3. リボルビング払いなどの分割払いができる

そのため、家計をうまく管理するためには、「銀行口座からいつ、いくら差し引かれるか?」を買い物のたびにちゃんと記録するなどして把握し、足りない場合は期日までに必要額を補充しなければなりません。

一方、デビットカードは、即時決済されてすぐに口座からお金が引き落とされます。また、口座残高の範囲までしか買い物ができません。リボルビング払いなどの払い方もできません。つまり、デビットカードは現金で買い物をするのと同じ感覚で活用することができるのです。即時決済が原則であるため、カードの発行時に審査がない場合がほとんどです。

お金の管理が苦手な人は、クレジットカードよりもデビットカードを意識して使うようにしたほうがいいかもしれません。

デビットカードには、「J-Debit」と、「VISAデビット」・「JCBデビット」がある!

「J-Debit」は、私たちがすでに持っている銀行のキャッシュカードをそのまま使って全国の加盟店約45万カ所で即時決済できるサービスです(一部の金融機関では事前申し込みが必要。また、サービスを提供していない金融機関も一部にあります)で、日本デビットカード推進協議会の会員になっている金融機関が提供しています。キャッシュカードなので年会費や手数料などはかかりません。加盟店の人にキャッシュカードを提示し、暗証番号を入力するだけで支払いが完了します。

ただし、金融機関によって利用限度額や使える時間帯が違うので注意が必要です。時間帯について、年末年始とゴールデンウィークを除く平日8:00~21:00、休日9:00~19:00は「コア時間帯」としてサービスを提供するよう義務付けられていますが、それ以外は金融機関が独自に定めています。

私たちは、あらかじめデビットカードとして使える時間帯を知っていれば、買い物のたびにうまく活用することができそうです。

デビットカードには、大手クレジットカード会社が展開している「VISAデビット」や「JCBデビット」もあります。これらは、原則として24時間365日、世界中のほとんどのVISAやJCBの加盟店で使うことができるため、時間も場所も「J-Debit」より対象が広くなります。また、利用すると通知メールが届くので活用状況をすぐに把握できます。発行している金融機関によってポイント還元やキャッシュバックなどの特典もあります。

ただ、現時点では発行している金融機関が限られています。金融機関によって年会費が必要であったり、審査が必要な場合もあります。

VISAデビット、JCBデビット

(筆者作成 HPより2015年4月)

デビットカードの活用が習慣化できれば、財布の中にいつも一定額以上のお金を入れておく必要がありません。また、ATMを使ってお金を引き出す必要もないため、ATM利用手数料の節約もできます。

さらに、給与が入ったらすぐに一定額を別の口座に積み立てるようにしておけば、確実にお金を貯めることができるでしょう。

執筆者プロフィール : 中村宏(なかむら ひろし)

ファイナンシャルプランナー(CFP認定者)、一級ファイナンシャルプランニング技能士。(株)ベネッセコーポレーションを経て、2003年にFPとして独立し、FPオフィス ワーク・ワークスを設立。「お客様の『お金の心配』を自信と希望にかえる!」をモットーに、顧客の立場に立った個人相談やコンサルティングを多数行っているほか、セミナー講師、雑誌取材、執筆・寄稿などで生活のお金に関する情報や知識、ノウハウを発信。新著:『老後に破産する人、しない人』(KADOKAWA中経出版)

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