連載コラム『サラリーマンが知っておきたいマネーテクニック』では、会社員が身につけておきたいマネーに関する知識やスキル・テクニック・ノウハウを、ファイナンシャルプランナーの中村宏氏が、独断も交えながらお伝えします。


給与天引きの「財形貯蓄」で、"自然に確実に"貯める!

会社に財形貯蓄の仕組みがあるのにまだ活用していないサラリーマンは、ぜひ積極的に使ってほしいものです。

特に入社して日の浅い20代の若いサラリーマンは、余裕資金がないはず。だからこそ、毎月家計をヤリクリして作った大切なお金を、いきなり投資信託などリスクのある金融商品に振り向けるのではなく、まずは安全確実な財形貯蓄を活用してベースとなる財産を築きたいものです。

20代だけでなく、30代や40代でも、財形貯蓄によるコツコツ貯蓄は有効です。毎月の積立額は少なくても長く続けていれば、やがて気がついたらびっくりするほどの財産を作ることができます。

財形貯蓄のメリットは、一定の範囲まで利息に税金がかからない「税制優遇効果」にあるのではありません。金利が高い時代ならともかく、現在のような超低金利だと、利息に税金がかかろうがかかるまいが、ほとんど金額は変わりません。

真のメリットは、給与口座に振り込まれた時点ですでに差し引かれている「天引き効果」です。いったん受け取ったあとから積立預金をするよりも、最初から差し引かれている方が心理的なストレスがかかりません。それは、給与から多額の所得税や住民税、社会保険料を支払っているのに、天引きされているために、払っている感覚があまりないサラリーマンが多いことからもわかります。

また、天引きされた分、給与口座から引き出せる金額が少なくなるため、少ない額で毎月の生活を送るしかないという「枠組み効果」です。

さらに、いったんスタートすると、会社を通じて積立額の変更や停止の手続きをしなくてはならない煩雑さによる「やめにくい効果」です。

3種類の財形貯蓄制度

財形貯蓄には、資金の使いみちによって3種類があります。

「一般財形」には利息に対する非課税メリットがない代わりに資金の使いみちが自由、「住宅財形」と「年金財形」には非課税メリットがありますが、資金の使いみちが限定されています。

将来、住宅の建築や購入、リフォームなどを考えている人は「住宅財形」、老後の資金準備したい人は「年金財形」を選ぶと、より効率的に財産形成をすることができます。 貯蓄の目的がはっきりしていない人向けの「一般財形」にも、「天引き効果」、「枠組み効果」、「やめにくい効果」はあります。

結婚資金、車購入資金、教育資金など、これからどんどん出てくる生活に必要なお金の準備のために、財形貯蓄はおすすめです。

「常に貯蓄している」状態にしておくことは、暮らしに安心をもたらします。

【財形貯蓄の種類】

(※課税の場合は、2037年12月12月31日までに受け取る利息には復興特別所得税が上乗せされ、20.315%となる)

(※写真画像は本文とは関係ありません)

執筆者プロフィール : 中村宏(なかむら ひろし)

ファイナンシャルプランナー(CPF認定者)、一級ファイナンシャルプランニング技能士。(株)ベネッセコーポレーションを経て、2003年にFPとして独立し、FPオフィス ワーク・ワークスを設立。「お客様の『お金の心配』を自信と希望にかえる!」をモットーに、顧客の立場に立った個人相談やコンサルティングを多数行っているほか、セミナー講師、雑誌取材、執筆・寄稿などで生活のお金に関する情報や知識、ノウハウを発信。新著:『老後に破産する人、しない人』(KADOKAWA中経出版)

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