連載コラム『サラリーマンが知っておきたいマネーテクニック』では、会社員が身につけておきたいマネーに関する知識やスキル・テクニック・ノウハウを、ファイナンシャルプランナーの中村宏氏が、独断も交えながらお伝えします。


返済が楽そうに思えるクレジットカードの「リボルビング払い」

新年度を迎えるこの時期は、異動や転勤などのために、新しい環境での暮らしがスタートした方もいるでしょう。住む場所が変わると、それに合わせて家具、家電など身の回りのいろんな物が必要になってきます。

買い物をするとき、少し値の張る物はクレジットカードを使って支払いをするのが一般的になっていますが、注意すべきはその支払方法です。

支払方法には、「翌月一括(1回)払い」、「ボーナス一括払い」、「分割払い」、「リボルビング払い」などがあります。

このうち「翌月一括払い」や「ボーナス一括払い」には手数料がかかりませんが、「分割払い」や「リボルビング払い」にはかかります。クレジットカードでの買い物は、代金が後払いになるため借金をしていることになり、利息を負担する必要があるのです。

「分割払い」は買い物をするごとに支払い回数を決める方法。例えば、A商品を10回払い、B商品を15回払いにすると、最初の10カ月はA商品とB商品の支払いをし、残りの5カ月はB商品だけの支払いになります。支払回数を多くすると毎月の支払額は少なくてすみます。物を買うたびに「分割払い」を選ぶと、新しく買った物の支払いが毎月上乗せされるので、毎月の支払い額はどんどん膨らんでいきます。

「リボルビング払い」は、毎月の支払い額を一定額、あるいは「残高」(元金)に対する一定の比率に決める方法です。「分割払い」と違って、いろんな物をたて続けに買っても、毎月の支払金額は一定額におさえられるので、安心感が得られます。

しかし、ここに落とし穴があります。

いくら買い物をしても、毎月の支払い額が増えなければ、支払い期間がどんどん先に延びていくことになり、手数料(利息)の負担が重くなっていくのです。

リボルビング払いで負担する手数料率は高い

リボルビング払いの中にも、あらかじめ毎月の支払い額を決める「定額方式」、「残高」の一定割合を毎月の支払い額にする「定率方式」、さらには「残高」の額に応じて毎月の支払い額を固定する「残高スライド定額方式」があります。「残高スライド定額方式」は、残高が10万円までなら毎月支払い額を1万円、残高15万円までなら毎月1万5千円などと指定される方法で、その額は会社によって異なります。

いずれにしろ、手数料率(実質年率)は、15%程度の高い利率に設定されています。

たとえば、支払い額を月1万円に設定し、15万円の買い物をしてリボルビング払いの「定額方式」(手数料率15%)にした場合、支払い回数は15回、支払い額は合計で164,734円になります。つまり、買い物代金15万円に対して、14,734円の手数料を支払わなければなりません。元金に対する手数料の割合は、実に約9.8%にも及びます。

クレジットカードでは安易に買い物をせず、する場合も「一括払い」を使う

クレジットカードを使って買い物をする際、十分に支払いができる収入があったとしても、安易な活用は避けるべきです。

特に「リボルビング払い」や「分割払い」は、「手数料」がバカになりません。しかし、この支払方法を安易に使っていると、月々の支払い額が変わらないので"癖"になりがちです。

「カードで買い物をするときは『翌月一括払い』」か『ボーナス一括払い』しか使わない!」という気持ちで"借金癖"をつけないように自らを律してほしいものです。

(※画像は本文とは関係ありません)

執筆者プロフィール : 中村宏(なかむら ひろし)

ファイナンシャルプランナー(CPF認定者)、一級ファイナンシャルプランニング技能士。(株)ベネッセコーポレーションを経て、2003年にFPとして独立し、FPオフィス ワーク・ワークスを設立。「お客様の『お金の心配』を自信と希望にかえる!」をモットーに、顧客の立場に立った個人相談やコンサルティングを多数行っているほか、セミナー講師、雑誌取材、執筆・寄稿などで生活のお金に関する情報や知識、ノウハウを発信。

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