【コラム】
前回はスマートフォンに詳しい有識者のみなさんのアンケート結果を紹介しましたが、今回は、前回に引き続き、KDDI(以下、au)、NTTドコモ(以下、ドコモ)からそれぞれリリースされた新しいスマートフォン(Android端末)についての追跡調査に基づいた考察を行ってみたいと思います。
当研究所では今年、ほぼ1ヵ月に1回のペースでスマートフォンに関する市場調査を実施してきました。
今年はiPhone4、iPad、Xperia発売などのトピックスもあり、調査を重ねるたびにスマートフォン端末への注目度が高まる傾向にはあったものの、スマートフォンが「通常の携帯端末に取って代わるのでは?」と思わせるほどのインパクトはありませんでした。
しかし、今回の調査でそんな状況が一変しています。
2010年10月13日~18日にかけて、ケータイユーザー2,258人を対象に実施した今回の調査では、ドコモユーザー、auユーザーの過半数が秋冬モデルのスマートフォン新機種に注目しているという結果が得られました。
当研究所のモバイルユーザー調査は、モバイルサイトに日常的にアクセスしているケータイのヘビーユーザーを対象としているため、「ケータイは通話とメールができればそれでいい」というようなライトなユーザーはほとんど含まれていません。
したがって、この結果を「ケータイユーザー市場全体の声」として見ることはできませんが、逆に、日常的にケータイコンテンツを利用しており、これまでの通常の携帯端末(フィーチャーフォン)に対するロイヤリティが高いと思われていたケータイヘビーユーザー層の過半数がスマートフォンに関心を示しているという今回の結果は、特にコンテンツビジネス、広告ビジネスにおいて今後のモバイル端末シェアを考える際に非常に大きな意味を持つことになると筆者は考えています。
参考までに、2010年2月に「もしドコモ、auからiPhoneが発売されたら購入したいと思いますか?」というアンケートを行った際の結果が以下のグラフです。
ドコモユーザーの52.3%、auユーザーの56.8%が、それぞれ「自身が契約する携帯キャリアからiPhoneが発売されたら購入したい」と回答しています。
当時はその比率の高さに、調査した筆者たち自身も驚いたものですが、今回の調査でも、ほぼ同じくらいの割合のユーザーが秋冬モデルのスマートフォンに注目しているということになります。したがって「IS03」「GALAXY S」をはじめとする新機種は、このようなユーザーから「iPhoneに代わる魅力ある機種」として注目されているということが言えると思います。
これまでの調査では、スマートフォンに興味がありながらも移行しないケータイユーザーの多くが、「契約キャリアを変更したくない」「割賦契約が残っているから」という2点を主な理由として挙げていました。
また、それでも「スマートフォンを購入した」というユーザーの約8割は、通常の携帯端末も併用している「複数台持ち」のユーザーだという結果が出ています。
今回の新機種発売によって、現在契約している携帯キャリアを変更しなくても購入できるスマートフォン端末のバリエーションが増えます。
結果として、これまで買い控えていたユーザーがスマートフォンに移行するであろうということを考えると……"2台目"として買い増しするのではなく、買い替える(機種変更する)ユーザーの割合がこの機会に増加することが予想されます。
ちなみに今回の調査では、「現在の携帯を機種変更する」という回答が39.4%であったのに対し、「現在の携帯は解約せず新規に購入する」と回答した買い増し派はわずか8.4%という結果になりました。
この事実は、モバイル端末シェアにおけるスマートフォンと通常携帯端末の比率に少なからず影響してくるのではないかと思います。
キャリアごとにユーザーが注目している機種について調査した結果が以下のグラフです。
当然の結果と言ってしまえばそれまでですが……ともに契約キャリアの新機種に注目が集まっています。このことは逆に、auユーザー、ドコモユーザーともに「他キャリアの端末にはさほど注目していない」という見方もできます。 この結果から推測すると、auとドコモの携帯キャリアシェアという面では、スマートフォン移行による大きな影響はないかもしれません。
しかし一方で、auユーザー、ドコモユーザーともに「iPhone」に対してはいずれも1割以上のユーザーが注目しているという結果になっています。au、ドコモ両社からすると、iPhoneは依然脅威であることには変わりはないのかもしれません。
つい先日、iPhone 4のホワイトモデルの発売延期がアップルより発表されましたが、もしこのタイミングで発売されていたら面白くなっていたかもしれません。そう考えるとちょっと残念ではあります。
恐らく今回の秋冬モデルも、iPhone端末が普及した経緯と同じように、購入したユーザーが「その使用感をどうクチコミするのか」が普及のカギになってくると思いますが、クチコミ次第では来春2011年4月頃の新機種発売後に、Android端末が爆発的にシェアを伸ばすことも十分あり得るのではないでしょうか。 今回引用した調査データは当研究所のWebサイトで公開しています。
スマートフォン、携帯キャリア関連の調査データ一覧 - MMD研究所
<本稿執筆担当: 田川悟郎>
著者紹介
MMD研究所
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MMD研究所(モバイル・マーケティング・データ研究所)は、モバイルユーザーマーケットのリアルな動向を調査・分析し、社会へ提供することを目的として2006年9月に設立されたマーケティングリサーチ機関(運営は株式会社アップデイト)。本コラムでは、同研究所による調査データをもとに、ヒットにつながる効果的なマーケティング手法について考察していきます。
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