実は外国為替について知る以前、具体的には小学生の頃から外国為替に興味がありました。ただし知っていたことと言えば、単に1ドルは何円かとか実に初歩的なものでした。

しかしその後、ニクソンショック、オイルショック、プラザ合意などが勃発するに至り、外国為替は日本の生命線であることを実感し一気に関心が高まりました。

また当時の日本では外国為替はまだまだこれからの分野でしたが、フランスに興味が湧きました。ファッションに対してではなく、フランスの政治・経済に興味がありました。

フランスの国造りとは(画像はイメージ)

フランスの国造り

フランスはご存知のように第2次大戦時にナチスドイツによって占領されたという苦い経験がありました。

今でもフランスの山間部を車で走ると、山のちょっとした凹みにかなり大きめの石づくりのモニュメントがあります。それは何かと言えば、ナチスドイツに抵抗して命を落としたフランスのレジスタンス(抵抗勢力)の記念碑で、フランス人はこれを見て愛国心を強めると聞いたことがあります。

そして第2次世界大戦が終わると、フランスは意を決したように彼らの方針を実現しようとしました。それは何かと言えば、まず食料自給率を100%以上にすることであり、また抑止力となる原爆・水爆の保有、ミラージュと呼ばれる自前の戦闘機の配備、そしてエネルギーの自給のために原子力発電所の建設をするということで、どこにファッションの入る余地があるかとさえ思います。

こういうことはいろいろな主義主張がありますので、良い悪いとは言わないことだと思います。しかし敵国に占領された屈辱を糧に、国造りに励んでいる国もあることは忘れてはならないと思います。

フランスの人口は6,700万人、国土の面積が64万4,000平方キロメートル、日本の人口は1億3,000万人、国土の面積は37万8,000平方キロです。なぜかこの2つの国を比べてみるといびつなものを感じます。フランスは日本に比して半分ほどの人口で、2倍ぐらいの国土を守っているということです。

またリオのオリンピックでは金メダル獲得数は日本が12個で第6位に対して、フランスは10個でフランスは第7位でしかも合計の獲得メダル数の差は、逆転して日本が41個に対してフランスは42位(順位は変わらず)です。フランスからは、色々な面で学ぶべき点が多いように思います。

それぞれの国に対する好奇心を持つ

今回はフランスを上げてお話ししてきましたが、何もフランスに限らずそれぞれの国・地域の良い点を学ぶことは大事なことだと思います。そしてそういう好奇心を持つことが、外国為替では大変重要なことです。

また取り扱う通貨については本当は現地に行くのが一番ですが、お金も時間も要る話ではありますので、少なくともネットや新聞・メディアによって、その国のことをできるだけ知ることです。

余談ですが私の友人はロンドン勤務のとき、サッカー観戦が好きでヨーロッパ各地で行われる試合を見にまわったそうです。

彼はかなりの呑兵衛で、必ず試合のある町のバーに寄りウェイターに常連と思われるお客さが飲んでいるものを俺にもくれと言って、出た酒を一気飲みしたそうです。これを見た地元の常連たちが大喜びして、一気に知り合いが増えたそうです。

荒っぽいですが、こうした飛び込みでその土地の人を短期間に知ることは確かに名案だと思います。

フランス人というと乙にすました感じがします。確かにパリにはそんなところもありますが、「パリは、フランスではない」という言葉があります。パリ以外のフランスは保守的な地域であり、また敬虔なキリスト教信者がほとんどです。それから考えれば仏大統領選の結果もうなずけます。

※画像は本文とは関係ありません。

執筆者プロフィール : 水上 紀行(みずかみ のりゆき)

バーニャ マーケット フォーカスト代表。1978年三和銀行(現、三菱東京UFJ銀行)入行。1983年よりロンドン、東京、ニューヨークで為替ディーラーとして活躍。 東京外国為替市場で「三和の水上」の名を轟かす。1995年より在日外銀に於いて為替ディーラー及び外国為替部長として要職を経て、現在、外国為替ストラテジストとして広く活躍中。長年の経験と知識に基づく精度の高い相場予測には定評がある。なお、長年FXに携わって得た経験と知識をもとにした初の著書『ガッツリ稼いで図太く生き残る! FX』が2016年1月21日に発売される。詳しくはこちら