各国を人口で比較することは、単純ではありますが、非常に興味があります。

日本の人口はヨーロッパに比べても非常に多い

先日、ある方から、「日本はオーバー・ポピュレーション(over-population、人口過剰)ですか?」と問われたのですが、確かに、下記の表をご覧いただくと、その傾向は確かにあります。

ちなみに、この表で、今、ご関心のある国や話題になっている国の人口を見ることによってまた見えてくるものがありますので、是非一度、目を通されることをお勧めします。

各国の人口比較

例えば、隣の国で工業国である韓国は人口5,000万人に対して、日本は1億2,700万人と倍を超しています。また、ヨーロッパも、多くてドイツの8,000万人、その他は6,000万人台ですから、確かに日本は人口過剰と言えます。そして、オセアニアの国、オーストラリアは2,000万人、ニュージーランドに至っては400万人ですから、とんでもない差です。

また、アフリカや、中東なども、こういう機会でもないと、ご覧になることもないでしょうから、目を通されると良いと思います。

何をもって「オーバーポピュレーション」とするか

一概には言えませんが、個人的には、「人口は国力」だと思っていますので、そういう切り口で見ると、また興味が湧くことと思います。もちろん、中国、インド、インドネシア、ブラジルのような、人口ジャイアント国は別扱いにしています。

しかし、振り返って、「オーバー・ポピュレーション」という言葉が意味することを、よく考えてみますと、何をもって人口過剰というのかということになります。それは、結局、「その国の人口とその生産性が見合っているか」ということに尽きると思います。

そこで、私の好きな指標である、オリンピックのメダル獲得数で比較してみたいと思います。これを、「オリンピック・インデックス」と呼ぶことにします。なお、オリンピック・インデックスでは、世界各地の国をランダムに取り上げていますので、全てのメダル獲得国は、この表には計上されていません。その点は、ご容赦願いたいと思います。

その上で、オリンピック・インデックスによりますと、メダル獲得最多国は米国で121個(人口3億1,900万人)です。第2位は中国の70個(人口13億5,700万人)、第3位はイギリスの67個(人口は6,400万人)、そして、ちなみに日本は41個(人口は1億2,700万人)となります。

オリンピックのメダル獲得数

この指数から見ますと、オリンピック大国アメリカと人口ジャイアントの中国は別にして、人口比メダルという生産性という意味からは、イギリスと日本が好対照です。

イギリスは6,400万人の人口で67個のメダル数を獲得しているのに対して、日本の人口は1億2,700万人の人口で41個ですので、明らかに、人口に対する生産性は、イギリスが高く、日本は低いことがわかります。つまり、日本はオーバー・ポピュレーションではあるものの、生産性が低いと言えます。

もちろん、イギリスは、ロンドン・オリンピックを機に選手層に厚みができたことが大きいと思いますし、その後のリオデジャネイロ・オリンピックでも、選手層に厚みができているところには、これからオリンピックを開催する国として学ぶべき点は多いと思います。

ただし、日本はこれから人口の大幅減少が予想され、オーバー・ポピュレーションは改善していく見込みです。2050年には、1億人を割って、9,700万人になる見通しです。そして、構成する年代別では60歳以上が全体の45%にもなると見込まれています。

オーバー・ポピュレーションは、改善するかもしれませんが、今でも国の生産性が低いのに、さらにそれをも削ぐことになります。しかし、限られた人口で、生産性を上げるということは、イギリスから学ぶ点もありますが、それ以前に、日本は、過去生産性の高い国として、他の国から羨望の目で見られてきたわけで、自分自身を振り返ってみることも大事だと思います。

執筆者プロフィール : 水上 紀行(みずかみ のりゆき)

バーニャ マーケット フォーカスト代表。1978年三和銀行(現、三菱東京UFJ銀行)入行。1983年よりロンドン、東京、ニューヨークで為替ディーラーとして活躍。 東京外国為替市場で「三和の水上」の名を轟かす。1995年より在日外銀に於いて為替ディーラー及び外国為替部長として要職を経て、現在、外国為替ストラテジストとして広く活躍中。長年の経験と知識に基づく精度の高い相場予測には定評がある。なお、長年FXに携わって得た経験と知識をもとにした初の著書『ガッツリ稼いで図太く生き残る! FX』が2016年1月21日に発売される。詳しくはこちら