先月23日の国民投票で、EUからの離脱を決めたイギリスで、国民投票のやり直しを求める議会のウェブサイトへの請願が410万人を超えました。

しかし、イギリス政府は9日、「我々は離脱を進める準備をしなければいけない」として、やり直しを行わないことを明確にしました。一回決まったことは、覆さないというところに、イギリス政府のプライドを感じます。

ポンド/ドルの動き

ただし、これによって、イギリスが窮地に陥ることは、回避できないものと思われます。ポンド/ドルとポンド/円の月足を見てみましょう。

ポンド/ドル 月足(参照元:Tradingview)

ポンド/ドルは、マーガレット・サッチャー首相の時代の1985年1月に1.0520近辺の史上最安値をつけています。そして、直近、1985年以来の安値圏にあり、下値を更に試そうとしています。つまり、かなり危機的状況にあることがわかります。

サッチャー首相の時代、マーケットは、ポンドのパリティー(等価、1.0000)を割らせようとポンド売り攻勢は熾烈を極めました。

私が、ちょうど、ロンドン駐在だった頃で、ポンドのパリティー割れを狙って、皆、相当売り込んでいましたが、結局、マーケットが過熱し過ぎて、自律的に反転して、一難を逃れたということでした。

ポンド/円の動き

さらに、ポンド/円で見ますと、2012年代に116.85近辺の安値をつけ、いったんはアベノミクスによる円安局面でリバウンドしたものの、ここに来て、また、116円台をにらんだ動きになっています。

ポンド/円 月足(参照元:Tradingview)

既に、ポンド/円は、100円に行くという声も出てきていますが、まずは、その前に、116円から120円のサポートゾーンを割ることが先決です。

実際2012年代の下落局面でも、安値圏を6カ月前後試して、結局は、割り切れずに反転しており、なかなか簡単なものではないものと思います。

ただし、この1981年以来の月足チャートを見るにつけても。1981年以来1995年までの間に、425円ぐらい下落し、その後は、安値圏で蛇行していることがわかります。

つまり、1995年以来2016年までの31年間は、エネルギー蓄積期間であって、この均衡が崩れたとき、新たな大きな相場が始まるものと思われます。

先に、ポンド/ドルの見通しとして、「直近、1985年以来の安値圏にあり、下値を更に試そうとしている」と申し上げました。

ドル/円の動き

そして、ドル/円はどうかと言えば、目先、ヘッド・アンド・ショルダーの右肩を作るものと見ていますが、その後は再び下落するものと見ています。

ドル/円 月足(参照元;Tradingview)

つまり、ポンド/ドルも、ドル/円も下落をするのであれば、ポンド/円は、116円から120円のサポートゾーンを割り込むことになると思われます。

ポンド/ドルがパリティー(1.0000)でドル/円が96円だとしても、ポンド/円は96円になるわけで、現状の130円近辺から30円以上の下落の可能性も否定できないものがあります。

そんなことがありえるかとお思いになるかと思いますが、1981年頃、ポンド/円は550円近辺でした。

そして、現在が130円近辺ということは、4分の1以上の下落を見てきており、今後96円になるにしても、半分も減価するわけでもありませんので、それほど非現実的なことではないことがお分かりいただけるものと思います。

ポンドは「何でもあり」の通貨

実は、私は、以前ポンド/ドルのディーラーでした。そこで、いろいろなことを経験しましたが、分かったことは、ポンドは何でもありだということでした。

一度など、たまたまラッキーで、売りで1000ポイント抜きをしたことがありました。しかし、1回利食うと、もう怖くて、売り直すことはできませんでした。

そんな通貨だけに、スケールを大きく見ることが大事です。

そして、メリハリのはっきりした通貨ですので、駄目なときはスッパリやめ、次のチャンスを狙うことが必要です。

執筆者プロフィール : 水上 紀行(みずかみ のりゆき)

バーニャ マーケット フォーカスト代表。1978年三和銀行(現、三菱東京UFJ銀行)入行。1983年よりロンドン、東京、ニューヨークで為替ディーラーとして活躍。 東京外国為替市場で「三和の水上」の名を轟かす。1995年より在日外銀に於いて為替ディーラー及び外国為替部長として要職を経て、現在、外国為替ストラテジストとして広く活躍中。長年の経験と知識に基づく精度の高い相場予測には定評がある。なお、長年FXに携わって得た経験と知識をもとにした初の著書『ガッツリ稼いで図太く生き残る! FX』が2016年1月21日に発売される。詳しくはこちら