【コラム】

円の行方、ドルの行方

25 今のドル/円の相場のリズムは、グンチャッチャ、グンチャッチャ

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「グンチャッチャ、グンチャッチャ」

なんのことかと思われるかもしれませんが、実は、今年に入って1月、2月の月別の日足のドル/円相場のパターンをイメージしたものです。

ドル/円 日足

「グンチャッチャ、グンチャッチャ」とは

まず、ドル/円の1月ですが、新年に入ってからの動きを振り返ってみますと、新年最初の営業日となった1月4日に、サウジアラビアがイランと外交関係を断絶、中国景気の先行き不透明、年末のニューヨークダウ下落などを材料に、東京タイムに日経平均が急落、これを受けてドル/円も120円を割り込み下落し、ロンドンタイムには一時118.71まで下落しました。

ドル/円は、これに始まり、1月20日には、安値115.97まで約4円以上下落しました。

この一連の下げがグンと下がったということで、「グン」です。

そして、そこから月末に向けて、調整が続き、月末前日には118円台に戻しました。

そして、1月末当日に、日銀はマイナス金利の導入を決定したことにより高値121.70まで急上昇しことで、残っていたショートも一掃されました。

この20日以降の調整局面を、「チャッチャ」と呼んでいます。

さて、それでは、2月でも言えることでしょうか。

前週末の1月29日に急騰したことを受け、2月1日の東京タイムのはじめこそ、買い気で121.44の高値をつけながら、そこから米系ファンドの売り仕掛けに急落、2月11日には110.99の安値をつけました。

つまり、1月と同じように、月前半は、「グン」と下げるということをしています。

そして、そこから114円台後半までいったんやや戻してから、もう一度2月24日には111.04までもう一度突っ込みはしたものの、そこからは月末に向けて、「チャッチャ」とばかりに戻しています。

同じリズムを繰り返す理由

つまり、今年に入り、ドル/円相場は、月ごとに、「グンチャッチャ」「グンチャッチャ」というリズムを繰り返しています。

これは、決して偶然のことではなく、銀行やファンドといった職業人ディーラーがドル/円で動きがでそうということでドル/円相場に参入してきているためだと思います。

職業人ディーラーと個人トレーダーの違いは、職業人ディーラーには、所属する組織からいろいろな縛りを受けています。

その縛りとは、月間/半期/年間ロスカットリミットや、月間/半期/年間収益目標といったものです。

そして、より具体的な縛りは、月間ロスリミットであり、月間収益目標である、つまり月間の損益、言い換えれば月次決算になるわけです。

そうすると、ディーラーが考えることは、早く儲けて、言い換えれば、前倒しで儲けて早く目標を達成するということです

そうなると、今年で言えば、注目通貨ペアであるドル/円相場にも外人勢がたくさん参加してくることになり、その結果、彼らの儲け方が、如実に月間の相場に反映されることになります。

つまり、外人勢は現在、ドル/円に対してベア(ドルに弱気)になっているため、月初から月央は、前倒しでドル/円を「グン」と下げて儲け、月後半は「チャッチャ」と買い戻して、利益を確定するということを繰り返しているものと思われます。

このように、欧米勢の月次決算(毎月)のみならず、中間決算(6月末)、本決算(11月~12月)などは相場に大きな影響を及ぼしますので無視できません。

中でも、特にユーロ/ドルに見られることですが、決算に絡んで、それまでキャリーしてきたポジションを手じまう反対売買が大量に発生し、今までの逆方向に数百ポイントの単位で、相場が動きます。

従って、この時期は、決算絡みでの反対取引だけで動くものであり、たとえ、それまでの相場展開にはっきりとしたテーマがあったとしても、この時期は、中間決算絡みの動きが優先されると割り切ることが大事です。

執筆者プロフィール : 水上 紀行(みずかみ のりゆき)

バーニャ マーケット フォーカスト代表。1978年三和銀行(現、三菱東京UFJ銀行)入行。1983年よりロンドン、東京、ニューヨークで為替ディーラーとして活躍。 東京外国為替市場で「三和の水上」の名を轟かす。1995年より在日外銀に於いて為替ディーラー及び外国為替部長として要職を経て、現在、外国為替ストラテジストとして広く活躍中。長年の経験と知識に基づく精度の高い相場予測には定評がある。なお、長年FXに携わって得た経験と知識をもとにした初の著書『ガッツリ稼いで図太く生き残る! FX』が2016年1月21日に発売される。詳しくはこちら

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インデックス

連載目次
第62回 トランプ氏当選後、「投機筋」対「本邦輸出企業」のバトル
第61回 ヘッド・アンド・ショルダー
第60回 いなくなった、縁の下の力持ち - ドル/円相場
第59回 チャートパターンの落とし穴
第58回 FXトレードは、世界が相手
第57回 天国と地獄
第56回 相場の鮮度に応じたトレーディング・スタイルを取る
第55回 米系ファンドの45日ルール
第54回 ケーブル、一日天下
第53回 理由が後からついてくる
第52回 今年これまでのドル/円と今後
第51回 ひらめきが現実になるには
第50回 メダルと国力
第49回 貿易収支に大きく影響を受けるドル/円
第48回 意外に相場に影響がある夏休み要因
第47回 トレンド相場とレンジ相場
第46回 ユーロ圏を悩ますISとの宗教戦争
第45回 相場の転換に早く気づくには?
第44回 荒波に出航するイギリス
第43回 人の行く裏に道あり花の山、ジョージ・ソロス氏に思う
第42回 通貨当局は、マーケット心理を把握しているか
第41回 英国民投票とドル/円の行方
第40回 意外に知らない、相場エントリーの真実
第39回 理由が後からついてくる - ユーロ/円、大幅下落の可能性
第38回 失敗か? アベノミクス - 注視する米系ファンド
第37回 相場の基本を知って、収益チャンスを拡大! トレンド相場とレンジ相場
第36回 ある噂
第35回 ユーロ/円からドル/円、ユーロ/ドルの将来を占う
第34回 米財務省と日本の財務省との軋轢は回避できるのか?
第33回 マイナス金利適用拡大報道の為替マーケットへの影響は?
第32回 円安頼みの日本経済は、耐えられるのか?
第31回 ドル/円、為替介入の可能性は?
第30回 「リスクの早期発見、早期回避」が身を助く
第29回 BOE vs ジョージ・ソロス氏の教訓
第28回 ヘレンとナディア
第27回 ユーロ/ドルの見方変更、ユーロ反転の可能性は?
第26回 ユーロ/ドル、防戦買いを突破して下落するか
第25回 今のドル/円の相場のリズムは、グンチャッチャ、グンチャッチャ
第24回 気になるユーロ/円、二極の異なる状況が重なって大幅安か
第23回 介入は怖いばかりではなく、良い話もある
第22回 米系ファンドは、ドル/円にロックオンか?
第21回 検証、ドル/円1月相場 - 歴史は繰り返す
第20回 ユーロ/ドル、下落再開か!?--"EUの弱体化"も影響
第19回 原油安で貿易黒字なら恒常的なドル売り発生--円安から円高に相場観が大転換
第18回 ドル/円が急落、どこまで下がるか--「人智では推し量れぬもの」
第17回 英国が「EU離脱」の可能性も--今年はポンド安の年になる?
第16回 クリスマスが明け、欧米勢は新年度入り--日本人の"正月気分"が狙われる可能性!
第15回 機関投資家は、円高に耐えられるのか!?--ドル/円、100円割れの可能性も
第14回 原油価格下落が再開、日本の貿易収支とドル/円への影響は?
第13回 ユーロの悲劇--なぜ急騰し、そして高止まりしたか!?
第12回 ユーロ/円、潜在的な大相場の可能性--110円近辺まで下落か!?
第11回 ユーロ/ドル、超長期からのアプローチ--9.11テロ、リーマン、ドラギ緩和
第10回 フランス同時テロが、FXマーケットに与える影響は?
第9回 ドル/円、どこまで上がるか!?--日本の貿易赤字の変化に注目
第8回 ユーロ/ドルには十分な警戒が必要--ドイツがおかしくなったら大混乱!?
第7回 ECBドラギ総裁は"先手必勝"の追加緩和--FRBイエレン議長には"市場の洗礼"!?
第6回 無視できない、欧米の"決算絡み"の相場の動き--今後はどうなる!?
第5回 トルコ史上最悪のテロ事件が発生、トルコリラはどうなる!?
第4回 ドル/円とユーロ/ドルの膠着相場、近い将来相場が動き出す前兆を示唆
第3回 フォルクスワーゲン不正問題に思う--ドイツから米国へ富の移し替え!?
第2回 ユーロ/ドルが動くわけ、動かないわけ
第1回 ドル/円、本格的に円高に転換か?

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