【コラム】

円の行方、ドルの行方

5 トルコ史上最悪のテロ事件が発生、トルコリラはどうなる!?

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トルコ史上最悪のテロ事件、トルコリラ/円が注目

トルコの首都アンカラで、10日(土)に起きた2度の爆発は死者が少なくとも95人、けが人も240人以上に上り、トルコ史上最悪のテロ事件となりました。

テロ事件を受けて、トルコ政府は過激派組織IS(イスラミック・ステート)やクルド人武装組織といった敵対する勢力への攻撃や取締りを強めています。

そして、この週末の事件により、ドルコリラは、対ドル対円で、先週末比、窓を開けて、本日月曜のシドニーでオープンしています。

(トルコリラ/円 1時間足)

(ドル/トルコリラ 1時間足)

中でも、日本のトレーダーの皆様の関心が深いところは、トルコリラ/円だと思います。

東京金融取引所の資料によりますと、今年9月の段階での取引数量は、トップが米ドル、第2位が豪ドル、第3位が南アフリカランド、次いで第4位がトルコリラということで、前月の8月の第2位からは、やや順位を下げてはいるものの、まだ非常に大きな額がトルコリラという高金利通貨に投資されています。

テロが週末に起きれば、週末リスクにさらされる

しかし、冒頭でも申し上げましたようなテロが週末に起きれば、投げるべき市場もないままに、月曜のオープンを待たざるを得なく、まずは、週末リスクにさらされることになりました。

週末は、毎週やってくるものであるため、ともすると、なんとなくそのまま週越えをすることになりますが、それが実は怖いところです。

今回のテロのような、突発的な事態が発生したら、手も足も出せません。

また、流動性(交換のしやすさ)リスクも高いと思われます。

新興国通貨は、通常の市場では、まだなんとか流動性はあるものの、ひとたび何かが起きると、流動性が急低下します。

今年は流動性リスクで既に大きな事件

今年は、この流動性リスクでは大きな事件が既に起きています。

それは、スイスフランという、新興国通貨ではなく先進国通貨ではありましたが、大変なことが起こりました。

1月15日に、ユーロ/スイスフランが、約15分間で約3950ポイント(円で40円ぐらい)急落しました。

(ユーロ/スイスフラン 日足)

この事件の発端は、2011年9月にスイス国立銀行(スイス中銀)が、スイスフラン高を抑制するために、ユーロ/スイスフランのスイスの上限を1.2000に設定しました。

この結果、スイス国立銀行は、徹底介入をしました。

しかし、スイスフラン買い圧力は強く、しかも今年の年初ECBが追加緩和を行うという憶測が高まり、これでECBが緩和をすれば、スイスフラン買いに拍車がかかるということで、とうとう、スイスフラン高を抑えることを断念し、なにも事前通告なく、突然、撤廃したため、マーケットは大パニックとなり、埋めようもない損失を抱えて、市場からの退場を余儀なくされたマーケット参加者も少なくありませんでした。

これが流動性リスクの怖いところです。

その他にもリスクはいろいろあります。

地政学的リスク、イベントリスク、カントリーリスク、規制リスクなどです。

今回のトルコのケースは、地政学的リスクであると同時にカントリーリスク

今回のトルコのケースは、地政学的リスク(地理的な位置関係が政治や国際関係に与えるリスク)であると同時に、カントリーリスクでもあります。

内戦が続くシリアと隣接する地政学的リスクに加えて、国内でテロが発生したり政局不安定であるといった、カントリーリスクもあり、いろいろなリスクが重なりあっているというのがトルコの現状だということです。

本来、少なくとも、紛争やテロが発生している国への投資は避けるべきかと思います。

しかし、「やってはダメ」とは申しません。

なぜなら、自己責任が浸透している現在、以上に上げたようなリスクを承知されているものと思うからです。

言えることは、このリスクを抱えるトルコという国の高金利に魅力を感じておられるなら、投資している資金が戻ってこなくても良いという覚悟を持つことだと思います。

新興国への投資、投資する前に出来るだけその国を知ってからに

尚、金利が高いということは、好景気によるインフレ抑制の場合もありますが、高金利にしなくては国外からの資金流入が望めないところもあり、今のトルコは後者のように思います。

高利回りを狙って新興国への投資が盛んに行われていますが、新興国の情報は、ほとんど入りません。

投資する前に、出来るだけ、その国を知ってからにすることをお勧めします。

今日は、この週末のアンカラでのテロ事件について、相場の上では、現地はまだ消化していないことに注意が必要です。

執筆者プロフィール : 水上 紀行(みずかみ のりゆき)

バーニャ マーケット フォーカスト代表。1978年三和銀行(現、三菱東京UFJ銀行)入行。1983年よりロンドン、東京、ニューヨークで為替ディーラーとして活躍。 東京外国為替市場で「三和の水上」の名を轟かす。1995年より在日外銀に於いて為替ディーラー及び外国為替部長として要職を経て、現在、外国為替ストラテジストとして広く活躍中。長年の経験と知識に基づく精度の高い相場予測には定評がある。

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インデックス

連載目次
第37回 相場の基本を知って、収益チャンスを拡大! トレンド相場とレンジ相場
第36回 ある噂
第35回 ユーロ/円からドル/円、ユーロ/ドルの将来を占う
第34回 米財務省と日本の財務省との軋轢は回避できるのか?
第33回 マイナス金利適用拡大報道の為替マーケットへの影響は?
第32回 円安頼みの日本経済は、耐えられるのか?
第31回 ドル/円、為替介入の可能性は?
第30回 「リスクの早期発見、早期回避」が身を助く
第29回 BOE vs ジョージ・ソロス氏の教訓
第28回 ヘレンとナディア
第27回 ユーロ/ドルの見方変更、ユーロ反転の可能性は?
第26回 ユーロ/ドル、防戦買いを突破して下落するか
第25回 今のドル/円の相場のリズムは、グンチャッチャ、グンチャッチャ
第24回 気になるユーロ/円、二極の異なる状況が重なって大幅安か
第23回 介入は怖いばかりではなく、良い話もある
第22回 米系ファンドは、ドル/円にロックオンか?
第21回 検証、ドル/円1月相場 - 歴史は繰り返す
第20回 ユーロ/ドル、下落再開か!?--"EUの弱体化"も影響
第19回 原油安で貿易黒字なら恒常的なドル売り発生--円安から円高に相場観が大転換
第18回 ドル/円が急落、どこまで下がるか--「人智では推し量れぬもの」
第17回 英国が「EU離脱」の可能性も--今年はポンド安の年になる?
第16回 クリスマスが明け、欧米勢は新年度入り--日本人の"正月気分"が狙われる可能性!
第15回 機関投資家は、円高に耐えられるのか!?--ドル/円、100円割れの可能性も
第14回 原油価格下落が再開、日本の貿易収支とドル/円への影響は?
第13回 ユーロの悲劇--なぜ急騰し、そして高止まりしたか!?
第12回 ユーロ/円、潜在的な大相場の可能性--110円近辺まで下落か!?
第11回 ユーロ/ドル、超長期からのアプローチ--9.11テロ、リーマン、ドラギ緩和
第10回 フランス同時テロが、FXマーケットに与える影響は?
第9回 ドル/円、どこまで上がるか!?--日本の貿易赤字の変化に注目
第8回 ユーロ/ドルには十分な警戒が必要--ドイツがおかしくなったら大混乱!?
第7回 ECBドラギ総裁は"先手必勝"の追加緩和--FRBイエレン議長には"市場の洗礼"!?
第6回 無視できない、欧米の"決算絡み"の相場の動き--今後はどうなる!?
第5回 トルコ史上最悪のテロ事件が発生、トルコリラはどうなる!?
第4回 ドル/円とユーロ/ドルの膠着相場、近い将来相場が動き出す前兆を示唆
第3回 フォルクスワーゲン不正問題に思う--ドイツから米国へ富の移し替え!?
第2回 ユーロ/ドルが動くわけ、動かないわけ
第1回 ドル/円、本格的に円高に転換か?

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