今回は、"知らないと怖い"名義に関する用語のあれこれについて解説します。

保証人と連帯保証人 - 似ているけど大きな違いが!

  • 保証人…債務者が返済不能になったときに、債務者に代わって返済義務を負う人のことです。大切な点は債務者が返済できないときですので、保証人は債権者に、まずは債務者に請求するように言い渡すことができます(「催告の抗弁権」)。住宅ローンを借りる場合も保証人は必要です。ただしほとんどケースは保証人の代わりに保証会社を利用し保証料を支払う形で住宅ローンを利用しています。今まで扱った事例の中で、かなり昔ですが1例だけ父親が保証人になったケースがありました。

(※住宅ローンの保証料 : 保証会社に所定の保証料を支払うことにより、保証人を立てる必要がなくなります。保証料の支払いは借り入れの際に一括し払うか、一部又は全部を返済額に組み入れる場合があります。保証料はかなり高額で、1,000万円を35年返済の場合一括支払いの場合は20万円から80万円程度です。当初の期間より短い期間で一括返済した場合は、その分の保証料が戻ってきます。注意が必要なのは、保証料の支払いによって返済が難しくなった場合に代わりに返済してくれるものではありません。債権者が保証会社に代わるだけです)

(※証券化ローン(フラット35等)の場合は、債務者が支払い不能となり、貸付金の返済が滞るリスクは投資家が負うので、保証料は不要です)

  • 連帯保証人…保証人との違いは、債務者が返済できないときに限らず、債権者の請求があったときは返済の義務がある点です。返済能力はあってもなかなか支払わない債務者に対して、債権者は連帯保証人に請求することができ、債務者とほぼ同じ扱いです。「催告の抗弁権」は連帯保証人には無いのです。1日でも返済が遅れれば、請求される場合があります。

(※住宅ローンの連帯保証人については下記の連帯債務者の項目を参照ください)

債務者と連帯債務者 - 連帯債務者は万一の場合のリスクについて充分な検討と対策が必要

  • 債務者…お金を借りた本人のことで、住宅ローンであれば、借り入れた人が債務者となります。貸した側は債権者です。

  • 連帯債務者…フラット35の例で言えば、「収入合算」の場合の合算者、「親子リレー返済」を利用する場合の後継者は連帯債務者になる必要があります。また、共有名義にする場合、共有者は連帯債務者になることができます。夫婦や親子などが共同でお金を借りた場合はそれぞれが「本人」となります。連帯債務者は、借入れた金額全額に対して返済の義務を負います。債務者が死亡した場合は、団体信用生命保険に加入していれば、保険金で残債が支払われますが、債務者が保険金の支払い対象とならない理由で返済不能になった場合は連帯債務者が返済しなければなりません。注意が必要な点は、連帯債務者を保護する保険等が万全でないことです。フラット35を例にすれば、夫婦の場合は一緒に団体信用生命保険に加入できますが、親子リレーの場合はどちらかのみとなります。

担保提供者 - ローンの債権者以外でも担保提供しなければならないケースがある

住宅ローンを借りる場合は、その住宅に抵当権を設定して、その住宅を担保として提供しなければなりません。フラット35の場合、建物の敷地にも抵当権が設定されます。敷地の所有者が配偶者や直系親族の場合も同様です。つまり、親の土地に子供が住まいを建ててフラット35を借り入れた場合、親の土地に抵当権が設定されます。親は担保提供者となります。同様に夫婦・親子などで共有名義にした場合、共有名義者は自分の持分にも、抵当権設定と言う形で担保を提供する必要があります。

団体信用生命保険(団信) - 有利な団信。任意加入の場合でも是非加入を!

  • 団体信用生命保険…住宅ローン返済中に債務者に万一の場合、債務者に代わって残債が支払われる制度です。民間ローンは、原則強制加入です。特約料は毎年ローン残高に応じた額を支払う場合と毎月の返済=金利に組込まれている場合があり、その分金利は高くなります。また最近は「癌になったとき…」など特徴を持たせたタイプもありますので、金利は表面的な利率だけでなく、含まれている内容にも注意ください。

  • デュエット…フラット35は、連帯債務者である夫婦二人で加入できる公庫団体信用生命保険制度があります。どちらか一方に万一の場合は、持分にかかわらず残りの住宅ローン全額が支払われます。特約料は1.55倍になりますが、連帯債務者の場合の万一のリスクをよく考えれば、検討すべき商品です。

  • 親子リレー…親子リレーで融資を受ける場合は、親子で加入はできず、どちらかの加入になります。ただし親が団信に加入し、80歳の誕生日の属する月の末日の保障が終了する日に到達した場合は、子が団信に加入できます。

(※各銀行によって異なる場合がありますので、詳細は個別にお問合せください)

<著者プロフィール>

佐藤 章子

一級建築士・ファイナンシャルプランナー(CFP(R)・一級FP技能士)。建設会社や住宅メーカーで設計・商品開発・不動産活用などに従事。2001年に住まいと暮らしのコンサルタント事務所を開業。技術面・経済面双方から住まいづくりをアドバイス。