軽自動車のiをベースにした電気自動車のi-MiVE(アイ-ミーブ)が発表された。なんと言っても注目は価格だが、補助金などをフル活用すると300万円をわずかに下回る、税抜き299万円で購入できるという。139万円の補助金を受けた場合でこの価格だから、やはりバッテリーの価格はまだまだ高いようだ。税込のメーカー小売価格は459.9万円だから補助金を受けても320.9万円ということになる。

ただし、残念なことに一般ユーザーへの販売は来年になる。メンテナンスリース(普通のリースと同じ)という販売形式を取り、今年は官公庁や自治体に販売するという。これは充電設備などのインフラを構築してくれるところに優先的に販売しようという目的がある。販売を限定するもう一つの理由は、バッテリーの問題だ。すでにGSユアサと三菱の関係会社はリチウムエナジー ジャパンというバッテリーの専門会社を共同で設立している。この会社の生産がフル稼働するのは2010年からだ。そのため現在はバッテリーの供給能力が少なく、一般ユーザーにまで販売を広げられないという理由がある。2009年の販売台数は1400台を予定しているという。2010年には5000台の規模に拡大するというが、それでもまだまだ生産能力は大きくない。そのため劇的なコストダウンはもう少し先のことになりそうだ。

すでに2008年にはプロトタイプに試乗しているので、このコラムでもレポートしている。今回の市販モデルにはまだ試乗していいないが、エンジニアによると変更点はわずかだという。特にモーターなどの動力性能を左右するポイントはほとんど変更されていないというから、プロトタイプ試乗時のレポートを紹介する。

走り出しは滑らか。わずかにモーター音が聞こえるくらいで、室内の静粛性は高い。これが電気自動車のもっとも得意とする性能で、ガソリンエンジンでは高級車でないと実現できない静かさがiのような軽自動車でもできてしまう。アクセルを素早く踏み込むとモーターが即座に十分なトルクを発生させて、軽とは思えない加速を見せる。動力性能はターボに近い感覚。操縦性の面では重いバッテリーがフロア下にあるため、ノーマルに比べ安定している感じがし、スラロームもスイスイこなす。特設コースでジムカーナのようなハードな走りも試したが、スラロームではガソリン車よりも安定している。これは重い電池を床下に納めているため、重心が低くなった効果だ。電気自動車が得意とするアクセルレスポンスもいいため、スポーティな走りが楽しめる。

個人へのメンテナンスリース販売は、2010年4月からを予定しているという。トヨタも30型プリウスをベースにしたプラグインハイブリッド(PHV)を2009年末以降に国内に導入(法人中心)することを正式に発表した。いよいよリチウムイオンバッテリーを搭載したエコカーの競争が始まるわけだ。

いよいよ走り始めたアイミーブ。価格は459.9万円と高いが、補助金を使えば320.9万円になるという。今年は官公庁や自治体向けだが、来年4月には一般にも販売する。一般販売の予約は今年7月からスタートする予定だ

手前の2トーンのボディカラーはタイプBと呼ぶ有料色。プロトタイプや実証実験車でおなじみの赤と白の2トーンカラーはタイプAで、これも有料色だ。奥のラズベリーレッドパールも有料色。ここにはないが、ホワイトソリッドとクールシルバーメタリックの標準色も設定されている

バッテリーをボディ下部に搭載するため低重心で、スポーティな走りがこなせる

ヘッドライトはロービームにパワーLEDを3個使ったLEDヘッドライトを採用。ディスチャージ式より35%も消費電力が少なく、寿命は2.5倍もあるという

リヤコンビランプもLEDを採用する。もちろんパンパー下にエキゾーストパイプはない

重量が約200kg増加しているため、ベースのiより強化したブレーキを採用している。さらにバッテリーを事故などから保護するフレームも強化されている

基本デザインはベースのアイと同じ

コンビネーションメーターはプロトタイプとは違い、バッテリーのメーターやパワーメーターの表示が変更された

重いバッテリーを低い位置に搭載できたため、走行性能を犠牲にすることがなかった

電池パックは5年10万キロの補償を考えているという

高電圧を扱う車両のため、冠水路走行試験も入念に行われた

普通充電は家庭用のAC100Vでも可能だ。満充電には14時間かかるが、オール電化のIH住宅なら単相200Vなのでより早く7時間で充電できる

付属の普通充電ケーブルはアース付きの3ピンタイプだが、充電管理にはアースは関係ないため普通のAC100Vのコンセントからも充電可能だし、ポータブル発電機からも充電可能だ

丸山 誠(まるやま まこと)

自動車専門誌での試乗インプレッションや新車解説のほかに燃料電池車など環境関連の取材も行っている。愛車は現行型プリウスでキャンピングトレーラーをトーイングしている。
日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員
RJCカー・オブ・ザ・イヤー選考委員