【コラム】

馬養雅子の「マネー道場」

5 「公的年金」は不安…では何をすればいい?

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連載『馬養雅子の「マネー道場」』では、「普段気になっているんだけど、本当のところはどうなの?」と読者の方々が思っているであろう疑問に対し、金融商品や資産運用などに関する記事を新聞・雑誌等に多数執筆しているファイナンシャル・プランナーの馬養雅子氏が、"一歩踏み込んだマネー知識"を提供します。


現役世代の人たちは「自分たちは年金がもらえない」と思っているかもしれません。でも、公的年金は国にとって非常に重要な制度ですから、年金制度が破たんする、あるいは公的年金がまったく受け取れなくなるということはないでしょう。

とはいえ、少子高齢化で年金の保険料を払う人より年金を受け取る人が多い状況が続き、年金の財源が厳しいのは確かなので、今の高齢者より、受け取れる年金の水準が下がるのは避けられません。そのため、若い人ほど自分で老後資金の準備をする必要性が高いといえます。

自分で年金を作るための仕組みが「確定拠出年金(401k)」

自分で年金を作るための仕組みが「確定拠出年金(401k)」です。毎月掛け金を積み立てて、それを投資信託などで運用し、60歳以降に年金として受け取ります。投資信託はタイプの違うものがいくつか用意されていて、加入者それぞれが、自分の積立金を何で運用するか選択します。

確定拠出年金を利用できるのは、

  1. この制度を導入している会社に勤務している人

  2. 会社にこの制度も他の企業年金制度もない人

  3. 自営業などで国民年金保険料を納めている人

です。

(1)の場合、会社が掛け金を払うケースが多くなっていますが、給与天引きで加入者が払う場合もあります。(2)(3)は、自分で個人型の確定拠出年金に加入して自分で掛け金を払います。個人型確定拠出年金は、銀行や証券会社などが扱っています。

確定拠出年金には税の優遇があります。掛け金は社会保険料控除として所得から差し引かれるので、税金が軽減されます。積立金を運用している間、運用益には税金がかからず、年金として受け取るときも、年金額から公的年金控除が差し引かれて税金の負担が抑えられています。

ただし、積み立てたものは原則として60歳まで引き出すことができません。

NISA(少額投資非課税制度)で投資信託の積立をする方法も

自分年金を作る方法としてもう1つ考えられるのが、NISA(少額投資非課税制度)で投資信託の積立をすることです。NISAは今年スタートした制度で、金融機関にNISA専用口座を開設すると、そこで投資信託などを年間100万円まで購入することができ、そこから得られた利益は非課税になります。非課税期間は5年ですが、5年終了時に口座にある資産は6年目の非課税枠に移すことができるので、最長10年間非課税になります。非課税枠が使えるのは今のところ2027年までですが、今後延長される可能性もあります。

NISAは確定拠出年金のように、掛け金や年金に対する税制の優遇はなく運用によって損失が生じた場合、運用益に対する非課税のメリットは活かせませんが、20歳以上であれば誰でも利用できます。また、積み立てたものはいつでも引き出せるので、自分年金を積み立てながら、一部を住宅の購入資金や子どもの教育資金などに充てることも考えられます。積立額は1万円以上1000円単位で自由に決められ、途中での変更も自由。金融機関によっては5000円からあるいは1000円から積立が可能なところもあります。

確定拠出年金もNISAもポイントは、

  • 少額でも毎月コツコツと積み立てる

  • 投資信託など値動きのある金融商品を利用する

の2つです。

今、預金の金利は非常に低くて資産を増やすことはできません。また、この先インフレ(物価上昇)や円安が続くと、預金の価値は下がります。そこで、一般的にインフレに強いといわれる株や、円安に備えて海外の資産で運用することが求められます。それが手軽にできるのが投資信託です。

投資信託の積立は、"時間"を味方につけて自分年金を作ることが可能

投資信託にはいろいろな種類があり、値動きの大きさもさまざまですが、確定拠出年金やNISAで一つあるいは複数の投資信託を毎月同じ金額で買える口数分購入していくと、価格の高いときは買える口数が少なく、価格の安いときには買える口数が多くなって、値動きの影響が抑えられます。大きく値下がりしたときはその分多くの口数を買え、その後値上がりしたときに資産の増え方が大きくなるため、値下がりを恐れる必要もありません。

確定拠出年金を利用している人の中には、元本割れを嫌って積立金を預金や保険で運用している人もいるようですが、それでは口座管理料などでコスト割れしてしまう可能性があります。長期的に資産を殖やそうとするなら、投資信託での運用を考えてみてはどうでしょうか。

自分年金が必要になるのは10~30年以上先。投資信託の積立は、その間の"時間"を味方につけて自分年金を作ることができます。ですから、確定拠出年金が利用できる人は、ぜひ積極的に活用してください。それにNISAもプラスすれば、より安心です。

(※画像は本文とは関係ありません)

執筆者プロフィール : 馬養 雅子(まがい まさこ)

ファイナンシャルプランナー(CFP認定者)、一級ファイナンシャルプランニング技能士。金融商品や資産運用などに関する記事を新聞・雑誌等に多数執筆しているほか、マネーに関する講演や個人向けコンサルティングを行っている。「図解 初めての人の株入門」(西東社)、「キチンとわかる外国為替と外貨取引」(TAC出版)など著書多数。新著『明日が心配になったら読むお金の話』(中経出版)も発売された。また、リニューアルされたホームページのURLは以下の通りとなっている。

http://www.m-magai.net/
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インデックス

連載目次
第5回 「公的年金」は不安…では何をすればいい?
第4回 地震保険って入ったほうがいいの!? そもそも地震保険ってどんな仕組み?
第3回 今回の疑問--「給与明細書の見方が分からないんですが、何を見たらいいの?」
第2回 今回の疑問--「子どもが生まれたらやっぱり『学資保険』に入るべきなの?」
第1回 今回の疑問--「投資初心者ですが、『NISA』って利用したほうがいいですか?」
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