【コラム】

馬養雅子の「マネー道場」

3 今回の疑問--「給与明細書の見方が分からないんですが、何を見たらいいの?」

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連載『馬養雅子の「マネー道場」』では、「普段気になっているんだけど、本当のところはどうなの?」と読者の方々が思っているであろう疑問に対し、金融商品や資産運用などに関する記事を新聞・雑誌等に多数執筆しているファイナンシャル・プランナーの馬養雅子氏が、"一歩踏み込んだマネー知識"を提供します。


「支給項目」と「控除項目」、控除項目で重要なのは「社会保険料」と「税金」

サラリーマンにとって待ち遠しいのは給料日。といっても、今は銀行振込なので、受け取るのは給与明細書1枚だけですが。

その給与明細書、初めてもらう新入社員はもちろん、勤続年数が長い人でも、そこに書かれていることが何を意味するのか、意外に知らないのではないでしょうか。今回は給与明細書について見てみましょう。

給与明細書の書式は会社によって違いますが、書かれて内容を大きく分けると、支払われる金額である「支給項目」と、そこから差し引かれる「控除項目」の2つです。総支給額から控除合計額を差し引いたものが、差引支給額額つまり手取額です。このうち、わかりにくいのは「控除項目」ですよね。

給与明細書の例

控除項目は「社会保険料」「税金」「その他」に分けられます。その他は財形貯蓄や組合費など、会社や個人によってあったりなかったりするのでここでは割愛します。重要なのは社会保険料と税金で、そのうち社会保険料に当たるのは健康保険、厚生年金、雇用保険の3つです。

健康保険の保険料率はおおむね9%前後

健康保険と厚生年金の保険料は、それぞれの人の給与に通勤手当なども含めた賃金総額を金額ごとに等級分けした「標準報酬月額」に対して○%という形で決まり、それを会社と本人が半分ずつ負担します

病院で治療を受けるとき、健康保険証を提示するとかかった医療費のうち3割だけ自己負担すればいいのはご存知のとおり。残りの7割は、健康保険から支払われます。その財源が、給与から差し引かれている健康保険料です。

保険料率は健康保険組合によって違いますが、おおむね9%前後。標準報酬月額が24万円で保険料率が9%だと、本人が負担する保険料は10,800円です。

厚生年金の保険料率はどの会社でも共通

厚生年金からは65歳になったら老齢年金を受け取れるほか、高度障害を負ったときには障害年金が受け取れます。また、本人が亡くなったときに扶養していた家族に支払われる遺族年金もあります。

保険料率はどの会社でも共通です。2004年から毎年0.354%ずつアップしていて、2013年9月~2014年8月は17.12%。標準報酬月額が24万円だと、本人が負担する保険料は20,544円です。

料率の引き上げは2017年まで続き、それからは18.3%で固定される予定です。

ちなみに、健康保険と厚生年金の保険料を計算するもとになる標準報酬月額は、毎年4月、5月、6月の3カ月間の平均給与で決まり、それがその年の9月から翌年の8月まで適用されるので、この3カ月に残業代が多かったりすると、健康保険料や厚生年金保険料が高くなってしまうことがあります。

雇用保険の保険料は賃金の総額に保険料率を掛けたもの

雇用保険からは、会社を辞めて次の仕事を探すあいだ、いわゆる失業手当が受け取れます。保険料は賃金の総額に保険料率を掛けたもの。2014年度の料率は1.35%(一般事業の会社の場合)で、本人負担分はこのうちの0.5%。給与額が24万円だと1200円です。

40歳以上の人は、これらに加えて介護保険の保険料も負担します。

給与から差し引かれる税金は、「所得税」と「住民税」

給与から差し引かれる税金には、所得税と住民税の2つがあります。所得税は国に、住民税はその人が住んでいる都道府県と市町村に納めます。どちらも、給与から天引きされて、会社が本人に代わって納税しています。この仕組みを「源泉徴収」といいます。

所得税・住民税の金額は、1年間の給与・賞与の合計額から、必要経費と所得控除を差し引いた「課税所得」に税率を掛けたものです。

必要経費は、1年間の給与・賞与の合計額を一定の計算式に当てはめて算出した額が「給与所得控除」として差し引かれます。所得控除には、納税する人自身に対する「基礎控除」や専業主婦(夫)の配偶者がいる場合の「配偶者控除」、1年間に支払った社会保険料の総額である「社会保険料控除」などがあります。

所得税は毎月、概算の金額が天引きされているので、1年間の所得が確定したところで精算します。これが「年末調整」で、それによっていくら税金を納めたかを示したものが「源泉徴収票」というわけです。

所得税の税率は、所得が高くなるとともに上がります。現在は、5%、10%、20%、23%、33%、40%の6段階。2015年からはこの上に45%が加わって7段階になります。

住民税には「所得割」と「均等割」

住民税には「所得割」と「均等割」があり、所得割の税率は10%、均等割は所得にかかわりなく一律で、2014年度から2023年度は5000円となっています。住民税は、前年の所得に対して課せられるので、新入社員の場合、給与から差し引かれるのは2年目からとなります。

このように見てみると、給与明細書1枚にさまざまな内容が盛り込まれていることがわかりますね。自営業者は社会保険料や所得税・住民税を自分自身で支払いますが、サラリーマンは給与から天引きされているので、負担感がつかみにくく、関心も薄くなりがちです。でも、社会保険と税金は国の仕組みの最も基本的な部分なので、仕組みを知って、保険料や税金がどう使われるかについても目を向けたいものです。

執筆者プロフィール : 馬養 雅子(まがい まさこ)

ファイナンシャルプランナー(CFP認定者)、一級ファイナンシャルプランニング技能士。金融商品や資産運用などに関する記事を新聞・雑誌等に多数執筆しているほか、マネーに関する講演や個人向けコンサルティングを行っている。「図解 初めての人の株入門」(西東社)、「キチンとわかる外国為替と外貨取引」(TAC出版)など著書多数。新著『明日が心配になったら読むお金の話』(中経出版)も発売された。また、リニューアルされたホームページのURLは以下の通りとなっている。

http://www.m-magai.net/

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インデックス

連載目次
第5回 「公的年金」は不安…では何をすればいい?
第4回 地震保険って入ったほうがいいの!? そもそも地震保険ってどんな仕組み?
第3回 今回の疑問--「給与明細書の見方が分からないんですが、何を見たらいいの?」
第2回 今回の疑問--「子どもが生まれたらやっぱり『学資保険』に入るべきなの?」
第1回 今回の疑問--「投資初心者ですが、『NISA』って利用したほうがいいですか?」
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