充実の入力支援機能で、青色申告書作成を強力サポート
【2009年3月号掲載】



スペック

[発売元] マグレックス [価格] 1万3,440円 [OS] Mac OS 10.4.11~10.5.x
[メモリ] 256MB以上 [HD] 500MB [備考] PowerPC G3以上、またはインテルCPU搭載のMac [掲載号] 「Mac Fan」2009年3月号

OVERVIEW

確定申告の時期が近づいてきた。フリーランスで仕事をしている人やSOHOなど個人事業主の人は、最高で65万円の特別控除や減価償却の特例が受けられる「青色申告」を行いたいものだ。ただし、簡易な様式の白色申告と違って、複式簿記による記帳や各種の財務諸表が必要になり、ハードルも高い。

本製品は、損益計算書や貸借対照表など、青色申告に必要なさまざまな書類の作成をサポートしてくれるソフトだ。申告用紙をプリンタにセットして直接プリントアウトできるほか、白紙に罫線付きで出力することも可能だ。

(1) 最新の「確定申告書B」の様式に対応
損益決算書や貸借対照表などを含む4ページの青色申告決算書のほか、「確定申告書B」にも直接印刷できる

本バージョンでは、過去に入力したデータを参照するデータ参照機能が搭載された。昨年と同じ入力項目がある場合、すぐに確認できる。それ以外の機能は前バージョン同様で、インターフェイスもこれまでのものを継承している。

(2) 過去に入力したデータを参照
[参照データを表示]ボタンを押せば過去のデータを参照できる。検索機能もあり、調べたい項目を即座に表示できる

FOCUS ON

申告書類作成ソフトを選択する際のポイントは、必要な帳簿と申告書がどれだけ効率よく作成できるかだろう。その点、本製品は、メニュー画面やボタン類などがスッキリとまとまっておりわかりやすい。

(3) スッキリまとまったメニュー画面
日々使う各種の伝票や出納帳がメニューに並んでおり、実際の作業がイメージしやすい

複式簿記では、取引をさまざまな勘定科目に仕訳(分類)しながら入力していくが、本ソフトではよく使う科目が最初からある程度登録されており、ほとんどの場合は一覧から選ぶだけで済む。入力作業は非常にスムーズだ。

(4) 手書きで伝票に書き込むイメージ
会計ソフトに慣れていない人は、入金/出金伝票の入力から始めよう。手書きの伝票のイメージで入出金を入力できるのでおすすめだ

(5) バインダー入力で効率アップ
よく使われる取引項目が登録された[バインダー入力]パネル。ここにない項目も、自分で追加登録しておけば、さらに入力が楽になる

リース料や通信費など毎月かかる項目については、「定型伝票」として登録できる機能が便利。さらに、よく使う取引の摘要を登録しておく「バインダー」機能も、作業効率を高めてくれる。データを入力し、ウインドウ内のボタンをクリックするだけで登録したり、呼び出したりできる。[バインダー入力]パネルは、使用頻度で項目をソートすることもでき使い勝手がいい。

これらのさまざまな入力支援機能を使うことで、1度入力した項目を再度入力する手間が省けるようになる。使っていくほどに便利さを実感できるソフトだ。

少々残念なのは、ヘルプ機能が用意されていないことだ。会計ソフトや書類の作成に馴れている人ならいいが、初心者は書式や記入方法などに戸惑うことも多いはずだ。そのあたりを手助けするヘルプや解説機能が充実すれば、さらに魅力的なソフトになるだろう。

AFTER REVIEW

発売元のマグレックスは、平成20年度の決算書の書式が変更になった場合には無償アップデータを公開すると発表しており、安心して使うことができる。ただし、メールでのサポートは無償で受けられるものの、電話でのサポートを受けるには、ソフトの購入とは別に年間1万500円の有償サポートに加入する必要がある。欲をいえば、青色申告初心者のために電話サポートも無償化してほしいところだ。