Microsoft Officeとの互換性が高いビジネスソフト
【2009年2月号掲載】



スペック

[発売元] ソースネクスト [価格] 6,980円 [OS] Mac OS X 10.4以上 [メモリ] 512MB以上 [備考] インテルCPUを搭載したMacのみ対応 [掲載号] 「Mac Fan」2009年2月号

OVERVIEW

本製品は、Microsoft Office(以下、MSオフィス)互換の表計算、ワープロ、プレゼンテーションソフトに図形描画、データベースソフトが加わった統合ソフトだ。

本製品はもともと、オープンソースのオフィススイート「OpenOffice.org 3.0(オープンオフィス3.0)」を元に、サン・マイクロシステムズが提供している製品で、コンシューマー向けパッケージとしてソースネクストが販売を請け負っているものだ。かつて、オープンオフィスを動作させるには「X11」という実行環境が必要だったが、本製品では、特別な環境を別に用意することなく、通常のアプリケーションとして利用できる。

なお、アプリケーション本体はオープンオフィス3.0と同じもので、ほかに、メールソフト「Thunderbird(サンダーバード)」用のスケジュール管理プラグインやリコー製のフォントなどが付属する。

FOCUS ON

本製品を使ううえで、もっとも気になるのがMSオフィスとの互換性だろう。そこで一番のポイントになる体裁の維持について比較してみた。

Mac版オフィス2008

スタースイート9

(1) プレゼンテーション書類の互換性は高い
同じパワーポイントのドキュメントを開て見比べてみたところ、文字の大きさ、位置などは問題ない。スタースイート9では図の解像度が低く見えるときがあるが、スライドショーで全画面表示したときは問題ない

上図は、パワーポイントのドキュメントをMac版オフィスと本製品でそれぞれ開いた画面だ。レイアウトの乱れはなく、フォントの違いはあるものの問題はなさそうだ。しかし、スタースイートでは、ウインドウを縮めたとき、図の表示が少々荒くなってしまったのが気になった。

次にワードのドキュメントを比べてみたのが下図だ。残念ながら、スタースイートでは一部の文字が列に収まらず改行されている。エクセルの表も同じように列幅と文字数がぎりぎりのとき、スタースイートでは改行してしまう場合がある。

(2) ワード書類では細かなズレが発生
ワードで作成した表をそれぞれのソフトで開いてみた(左側からウィンドウズ版オフィス2007、Mac版オフィス2008、スタースイート9)。スタースイート9では列幅ぎりぎりの文字が改行されてしまった

続いて機能面を見ていこう。基本的なメニュー構成や機能は、ウィンドウズ版のMSオフィス2003に近い。ただし、ワードの機能では、「文書校正」が存在しない。代わりに「スペルと文法チェック」があるが、日本語の文法チェックはしてくれないのが残念な点だ。

表計算ではMac版のエクセル2008同様、マクロの実行ができない。とはいえ、スタースイートでは、独自のマクロ言語として「StarSuite Basic(スタースイートベーシック)」が付属する。MSオフィスとの連携を考慮する必要がなければ十分だろう。

(3) 独自のマクロ言語を搭載
表計算ソフトは、一部のメニューは用語が違うものの、普段エクセルを使っている人なら戸惑わないだろう。また、スタースイートベーシックという専用のマクロ言語を備え、自動実行マクロを作ることもできる

(4) ウィザードで簡単文書作成
ウィンドウズ版MSオフィスと同じように新規プレゼンテーションを作成するときにウィザードが使える。テンプレートは20種類以上あり、背景も複数用意されている

AFTER REVIEW

細かな使い勝手や図の見栄えのよさでは、やはりMSオフィスのほうが優れている。長い時間ワープロや表計算ソフトを使うなら、MSオフィスを選ぶほうがいい。一方、たまにしかオフィスを使わないなら、機能や互換性は十分だ。しかし、ソフト本体は無償のオープンオフィスと同様で、付属のプラグインもWEB上で公開されている。ユーザサポートという安心感に6,980円を支払うかどうかが購入の分かれ目だろう。