ディスクライティングにビデオの変換
さらに配信までこなす万能ソフト【2008年6月号掲載】


Mac OS Xは標準でディスクライティング機能を持っているが、その機能は極めてシンプルなものだ。本製品を使えば、メディアの空き容量を直感的に知ることができ、大容量のデータでも簡単に複数のディスクに分割して書き込むことができる。単にデータディスクを作成するだけでも、使い勝手に大きな差が出てくるのだ。しかも、本バージョンでは、動画ファイルの一括変換やインターネットラジオの録音、そして自分の持っている動画の配信など、デジタルメディアを楽しむための機能が豊富に盛り込まれている。ディスクライティングの枠を越え、Macでのデジタルライフを広げるための定番ソフトに成長しているのだ。


スペック

[発売元] ソニック・ソルーションズ [価格] 1万7,640円
[OS] Mac OS X 10.4以上 [HD] 600MB以上(使用中は最大15GBの一時容量)
[備考] PowerPC G4/G5、またはインテルプロセッサが必要。オプションとして「Toast 9 HD/BDプラグイン」が発売中(同社オンラインストアでのダウンロード販売:2,625円) [掲載号] 「Mac Fan」2008年6月号

OVERVIEW

Mac用ディスクライティングソフトの定番「Toast 9 Titanium」は、前バージョンでブルーレイディスクに対応したのに加え、本バージョンでHD DVDのデータ書き込みも正式にサポートした。また、別売りのBD/HDプラグインにより、ブルーレイディスクまたはHD DVDへのビデオレコーディングモードでの書き込み、オーサリングに対応する。これにより、対応ドライブがあれば、主な光学式メディアをすべて扱えるようになった。

また、同プラグインを導入すれば、AVCHD形式のビデオから取り込んだビデオをプレイステーション3などで再生可能なブルーレイビデオとして作成できる。そのほか、複数の「VIDEO_TS」フォルダを1枚のDVDにまとめたり、ポータブルプレーヤ向けに変換する機能も新たに搭載されている。

(1) ブルーレイビデオの作成もできる
別売りのBD/HDプラグインを導入すれば、ハイビジョンコンテンツをブルーレイディスクへ保存し、再生することが可能になる。新たにHD画質用のメニュー画面も追加されている

さらに、従来からある機能も大幅に強化されている。メディアブラウザから「iMovie 08」と「Aperture」のライブラリを参照できるようになったほか、各種ファイルのスポットライト検索やクイックルック表示もサポートする。インターフェイスも洗練され、各操作内容を表示するツールチップの採用など、全般的に使い勝手が向上しているのがわかる。

(2) ユーザインターフェイスが改善
ディスク容量のインジケータが棒グラフ状になるなど、インターフェイスがより直観的になった。メディアブラウザはクイックルックに対応するなどLeopardとの親和性も高い

FOCUS ON

本製品は、先進的な機能を多数搭載し、単なるライティングソフトというよりも、ビデオや写真、音楽といったメディアファイルの活用という役割が強くなっているように感じる。ビデオファイルを各種のデバイス向けに変換するための[変換]タブが新設されたり、[ディスクイメージで保存]ボタンが前面に出されたのもその現れだろう。

(3) ビデオファイルを自在に変換
従来の[データ][オーディオ][ビデオ][コピー]タブに加え、新たに[変換]ボタンが追加された。これにより各種のビデオを好きな形式に変換するといった使い方が便利になる

(4) 各種のデバイスやフォーマットに対応
[変換]タブでは、iPod touchやPS3、スマートフォンなど各種のデバイスに合わせてビデオを書き出すことができる。また、ファイルフォーマットも細かくカスタマイズできる

(5) アナログ音源の取り込みにも使える
付属の「CDスピンドクター」は、読み込んだ音声の波形を読み取って曲情報(タグ)を取得する機能を持つ。アナログ音源からの取り込みに重宝する機能だ

また、製品に付属する各種アプリケーションもこうしたメディアの活用を補強してくれる。例えば、オーディオキャプチャソフトの「CD Spin Doctor(CDスピンドクター)」では、インターネット上でストリーミング配信されている音楽をキャプチャし、その波形の特徴から楽曲情報を取得しタグを追加してくれる。

そして「Roxio Streamer(ロキシオストリーマ)」では、自分のMac内のムービーをストリーミング配信用に変換し、ワンクリックでインターネット配信できる。自宅のルータの仕様やセキュリティ設定によっては利用できない場合も多く、設定に悩む人も多いと思うが、ビデオの新しい楽しみ方としては高く評価できる。実際に配信した映像をiPod touchのSafariで受信し、再生できた時はちょっとした感動を覚える。

(6) 自分のMacから映像をストリーミング配信
同梱ソフトの「ロキシオストリーマ」では、登録したビデオファイルをストリーミング配信できる。Macやウィンドウズ、iPod touchなどで再生することが可能だ

AFTER REVIEW

せっかくのHD DVD対応も、東芝のHD DVD事業の撤退と重なってしまったのは残念なところだ。一方、外付けのブルーレイドライブは5万円台の普及価格帯まで下がり、いち早くハイビジョン画質のオーサリングを試してみたいという人には同製品が必須ソフトといえるだろう。今回は新機能を中心に評価したが、書き込みの一時停止機能など細かな改善点が多く、満足度はさらに高くなった。