【コラム】

Mac Fan ソフトウェアレビュー

18 ムービー編集ソフト「Final Cut Express 4」

    隈夏樹  [2009/03/30]

    プロフェッショナルツールに匹敵する編集環境を ローコストで実現
    【2008年3月号掲載】


    「iLife08」に含まれる「iMovie08」は、今までまったくビデオ編集を行ったことがないユーザにとっては、非常に簡単にビデオ編集を体験できる優れたツールである。しかしiMovieでは、複数の映像を合成することができない、エフェクトをかけることができないなど、機能的に不足があるのも事実。そこで、iMovieでは物足りず、Final Cut Studioでは高価すぎるというユーザに提案したいのがこの「Final Cut Express 4」だ。エントリー向けと思いきや、編集機能はFinal Cut Proにほとんど引けを取らない、極めてコストパフォーマンスの高いソフトなのだ。


    スペック

    [発売元] アップルジャパン  [価格] 2万3,800円 [OS] Mac OS X 10.4.10以降 [メモリ] 1GB以上の実装メモリ [備考] PowerPC G4 1.25GHz以上、PowerPC G5、Intel CoreDuo/Intel Core2Duo/Intel Xeonプロセッサを搭載したMac(AVCHDの使用はIntel Macのみ)。クォーツエクストリーム対応のAGPまたはPCIエクスプレスグラフィックスカードもしくはIntel GMAグラフィックスプロセッサ。QuickTime 7.2以上 [掲載号] 「Mac Fan」2008年3月号

    OVERVIEW

    「Final Cut Express 4」は、プロフェッショナル向けビデオ編集ソフトの「Final Cut Pro」からプロ向けの機能を削除したビデオ編集ツールである。取り込みや書き出しができるビデオフォーマットもコンシューマー向けのフォーマットのみに限定されるが、編集機能の面では決してFinal Cut Proにひけを取らない。

    (1) わかりやすく生産性の高いインターフェイス
    ブラウザに並んで表示されるビデオクリップを選択し、キャンバス上でイン点とアウト点を指示してタイムライン上に並べるというもっともポピュラーなインターフェイス

    取り込みに関しては、従来のDVテープを使用したSDやHDVの取り込みはもちろん、新たにハードディスクやSDカードなどに記録するAVCHDフォーマットの取り込みにも対応。ソニー、松下、キヤノンなどのAVCHDビデオカメラで撮影したハイビジョン映像を変換して使用できるようになった。

    (2) AVCHDフォーマットの取り込みに対応
    Intel MacならAVCHDフォーマットの素材を取り込むことができる。取り込まれたムービーはApple ProRes 422に自動変換される

    また、取り込んだ素材はHD、SD、NTSC、PALといった規格の違いを気にすることなく、タイムラインに配置できるオープンフォーマット・タイムラインが搭載され、効率的で柔軟な編集を行うことが可能となった。

    (3) 規格の違いも心配ご無用
    1つのタイムライン上にさまざまな解像度のHDの素材とSDの素材を混合して配置することが可能。タイムライン上に配置されたクリップはプロジェクトの解像度に従って自動的に解像度が補正される

    FOCUS ON

    本製品の魅力は、なんといってもそのコストパフォーマンスの高さにある。プロ向けのビデオ編集環境である「Final Cut Studio 2」もプロ向けの製品としては画期的に安いのだが、そこに含まれるビデオ編集ツールの「Final Cut Pro 6」からプロフェッショナル向けの機能を外しただけで基本性能は変わらない。そんな製品を、わずか2万3,800円で販売してしまうのだから太っ腹としかいいようがない。

    (4) 多彩な表現が可能なエフェクト
    正確な色補正から、キー合成、変形、グロー、ブラーなど特殊な視覚効果まで多彩なビデオフィルタを搭載する。図は、画面合成する際、バックのビデオ素材に派手なグローをかけた例

    ビデオクリップのイン点とアウト点を指定してタイムライン上に配置する3ポイント編集を使用しての編集作業は、快適そのもの。トランジションやエフェクトを加えてもリアルタイムでプレビューできる。また、ビデオトラックとオーディオトラックは1プロジェクトで99本までサポートし、さらに1つのプロジェクトを他のプロジェクトのクリップとして使用できるので理論上は無制限にビデオトラックを使用できる。200種類を超える多彩なトランジションやエフェクトを装備し、さらに音質、音量、特殊効果を可能にする30を超えるオーディオエフェクトを標準で搭載している。

    また、視覚的にわかりやすいキーフレームエディタによって、モーショングラフィックスを制作したり、時間軸に従ってエフェクトを変化させるなど多彩な表現が可能である。まさにプロレベルの映像制作を志すユーザに必要な機能をすべて搭載したツールといえるだろう。

    (5) 時間経過とともにパラメータをコントロール
    緑色の折れ線グラフのような部分がキーフレームエディタ。キーフレームエディタを使用すると、オブジェクトの移動や拡大/縮小、透明度の変化などのパラメータを、時間経過に従って変化させることができる

    (6) タイトル制作ツールも付属
    テキストアニメーションを制作するツール「Live Type」が付属。背景を透明に設定してムービーと合成したり、付属の動くテクスチャを背景に設定することができる

    AFTER REVIEW

    PowerPC G4 1.25GHz以上で使用できるとされているものの、実際に 1.25GHzのPowerBook G4で使用してみると快適とはいえない速度だった。合成やエフェクトを多用する場合はIntel Macが欲しくなってくる。CPUがIntelでさえあれば通常の作業に関してはそれほどスペックの高くないマシンでも十分だが、AVCHDの読み込みから変換に時間がかかってしまうのは致し方ないところか。

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