DVDや動画ファイルを 好きなプレーヤで楽しもう
【2007年12月号掲載】



スペック

[発売元] ソニック・ソルーションズ [価格] 7980円(通常版、ダウンロード版共通) [OS] Mac OS X 10.4.10以上 [HD] 300MB(使用中最大15GBのハードディスクを一時使用) [備考] PowerPC G4/G5、またはインテルプロセッサを搭載したMac。QuickTime 7.1.6 以上 [掲載号] 「Mac Fan」2007年12月号

OVERVIEW

本製品は、DVDや動画ファイルをさまざまな形式に変換するツールだ。複数の動画ファイルをメニュー付きのDVDビデオにしたり、片面二層式のDVDを片面一層式のDVD-Rにコピーすることができる。さらには、ビデオファイルやDVDビデオの映像をiPodやiPhone、Apple TV、PSP向けに変換することが可能だ。

多くのファイル形式を扱えることや、簡単操作で最適化したiPod用ムービーが作れる点など、基本的な機能は前バージョンとほとんど変わらない。しかし、今回のバージョンでは、わかりやすくて使いやすくなった新インターフェイスをはじめ、変換速度の向上、変換や圧縮後の画質の向上など、内部は別物といっていいほどの進化を遂げた。

FOCUS ON

(1) 扱いたいファイルをすばやく検索
ハードディスク内の映像ファイルを拡張子で絞り込むことが可能になった。ここからメイン画面にドラッグしてファイルやフォルダを登録できる

まず、新しいインターフェイスは、すべての操作が1画面で行えるようになり、とても利便性が高い。左のメニューから書き出したいソースを選んで、目的のファイルやフォルダをメディアブラウザからドラッグするだけと、本当にスムーズな操作感を実現している。

メディアブラウザはネットワークにも対応しており、他のパソコン内にあるビデオファイルも区別なく利用できるのがうれしい。圧縮作業や変換作業は、ファイルの転送速度より遅いので(100Mbps以上のLANの場合)、内蔵ハードディスク内のファイルと比べても処理速度は変わらなかった。

ポータブルプレーヤやApple TVなどへのビデオファイルの書き出し機能も、より使いやすくなっている。DVDビデオから目的のムービーのみを抜き出して書き出したり、画質の設定をマニアックに行えたりと、「これがしたい」というユーザの希望にきちんと応えてくれる。

(2) 細かく設定可能な書き出し機能
iPhoneやPS3など最新のフォーマットにも書き出し可能。設定も規格に外れた設定をすると知らせてくれるし、プレビューもできるから安心して行える

(3) 変換後の画質を事前に確認
変換作業を実行する前に、15秒程度、部分的にエンコードした映像を見ることができる。画質の確認が事前にできるのはありがたい

画質に関しては、片面二層式DVDから片面一層式への圧縮後の画質が、目に見えて向上している。今回、複数のDVDビデオディスクを1枚のDVDにまとめる機能も搭載されているので、この圧縮後の画質の向上はとてもありがたい。また、変換、圧縮処理の一時停止が可能なので、日常の作業レベルでの使い勝手も大幅にアップしている。

(4) 複数のDVDを1枚にまとめる
複数のVIDEO_TSフォルダを1枚のDVD-Rに圧縮してDVDビデオディスクが作れる。その際、チャプタは残るが、メニューは反映されないので注意

(5) 数は少ないが使えるDVDメニュー
複数の動画ファイルから1枚のDVDビデオを作成できる。その際のメニュー画面はシンプルで使えるデザイン3種類から選ぶか、オリジナルの画像が使える

ウィンドウズに比べて見劣りしていた作業速度も、iPod用のファイル変換を最速モードにすれば、処理時間はかなり短縮される。実用的なソフトに仕上がっていると思う。

AFTER REVIEW

今回、実はハードウェアエンコーダ「Turbo.264」に対応したのが大きい。USBポートに差し込むだけで、iPodやiPhoneへのムービーの書き出し速度が大幅に向上するのだ。CPUへの負担も少なくて済み、画質はテレビなどに出力しても十分にキレイといったレベルのものが出来上がる。複数DVDの統合に対応したことや画質の向上も含めて評価すると、現時点では、最高の動画変更ソフトといえる。