スライドショーとはまったく違う、印象的なムービーを写真で作成
【2007年11月号掲載】



スペック

[発売元] アクト・ツー  [価格] パッケージ版:7,600円、ダウンロード版:6,200円 [OS] Mac OS X 10.4.4以上 [メモリ] 512MB以上/1GB以上推奨 [備考] Quartz Extremeに対応したビデオカード、QuickTime 7が必要 [掲載号] 「Mac Fan」2007年11月号

OVERVIEW

「パルプモーション」は、一言でいえば、Macのハードディスクにある音楽や写真、ムービーなどを使ってスライドショーのようなムービーを作るツールだ。操作も簡単で、写真やムービー、音楽を選び、そして演出を選べば、後はワンタッチでスライドショーが書き出せる。

(1) 1画面で完結するインターフェイス
右のカラムで写真や音楽、ムービーを選んで、中央下のタイムラインにドラッグ。順番を好きに並べ替えたら、上部のサムネイルから演出パターンを選択。後は書き出しボタンでムービーが作成できる

iPhotoでも、スライドショーをムービーとして書き出すことができるが、それと違うのは、凝った演出パターンが数多く用意されているところだ。

例えば、画面上に本が現れて、その本のページがめくられると中に写真やムービーが収められている。そして、それらの写真にカメラが寄るようにズームインしていくというようなもの。そんな、一味違う演出パターンが34種類用意されている。

また、単にテーマを適用するだけでなく、文字を入れたり、写真を切り替えるタイミングを調節したりといった細かな調整も行えるため、さまざまなバリエーションを作り出すことができる。

(2) 演出パターンをカスタマイズ
図のように演出パターンのタイミング設定のほか、表示する写真や文字の大きさ・エフェクトのパターン・速度・音楽とムービーファイルの音声の扱いなど、細かく設定できる

(3) ファイル名やメモを編集して物語も作れる
写真やムービーのタイトルや解説文を入力可能。ここで入力した文字を好きなフォント・サイズでムービー内に表示できる。上手く使えば、絵本的なムービーも作成できる

FOCUS ON

「写真をムービーに」というとありがちな製品のようだが、実際に使ってみると意外に面白い。それぞれの演出パターンが違った個性を持っており、写真やムービーをどんな風に見せたいかで選べるからだろう。

(4) 単なるスライドショーではないのだ
このように、1冊の写真集を見るような演出パターンもある。本の表紙の色や台紙の色の設定も可能

例えば、部屋の中に飾られた作品を見て歩くギャラリー風だったり、一枚一枚を重厚に見せるプレゼン風だったり、ムービーを順次見せるのに適した演出だったりと、用途がハッキリしているものが多いので、物語のように見せたいとか、図鑑のように見せたいといった、ユーザ側の欲求を形にしやすいのだ。

画面には、各写真のタイトルや説明文を表示させることもできるため、ちょっとした紙芝居のようなストーリー仕立てのムービーも簡単に作れる。さらに、上手く使えばプレゼンムービーや、WEBサイトの入り口で使うムービーなども作れそうだ。

(5) 書き出しフォーマットも豊富
フォーマットを選んで、画質などを設定するだけで、最適な状態で書き出せる。ムービーへの書き出しはQuickTimeの処理速度に依存する

作ったムービーは、ムービーファイルとしてはもちろん、iPod用からインターネットでの公開用や、アップルTV用、メール添付用、スクリーンセーバ、自動再生のアプリケーションなど、Macで使えるあらゆる形式に書き出せるのも利用範囲を広げる。

操作自体は本当に簡単だし、その割に細かくカスタマイズできる。使う人のアイデアが試されるツールだと感じた。


(6) グリーティングムービーも作成可能
メッセージ付きのグリーティングカード風のアプリケーションも作成可能。簡単操作でフルスクリーン表示も可能なので、プレゼントなどにも使えそう

AFTER REVIEW

実際に作品を作ってみると想像以上に使えるソフトだと感じた。スライドショーではなく、動く写真集といった感じの新しいメディアが作れそうだ。ただ、リアルタイムでプレビューを作成するせいか動きが重く、操作を間違うと、次に操作可能になるまで待たされる。また演出パターンの追加ダウンロードがあれば、長く使い続けることができそうなのだが、そうでなければ飽きる可能性もある。