GDDR4メモリ搭載でMac Proの3D性能を向上
【2008年11月号掲載】



スペック

[発売元] アスク [価格] オープンプライス [実勢価格] 3万8,000円前後
[インターフェイス] PCI Express 2.0 [備考] 搭載メモリ:512MB GDDR4 SDRAM [掲載号] 「Mac Fan」2008年11月号

OVERVIEW

現行Macの中で、本体購入後にGPUの交換・増設が行えるのはMac Proだけだ。GPUが基板に直づけされているMacと異なり、Mac Proではグラフィックカードを交換することで簡単にGPUの交換を行うことができる。

現在、アップルストアで発売されているグラフィックカードは、4製品。サードパーティーからさまざまな製品が発売されているウィンドウズ環境と比べると、やや製品数は乏しい。

そんな状況に風穴を開けるかのように登場したのが本製品だ。Macとウィンドウズに両対応したATI社の最新グラフィックカードで、接続インターフェイスはPCI Express 2.0。ビデオ出力ポートはデュアルリンクDVIポートを2基搭載しており、最大で2台のApple Cinema HD Displayを接続することができる。アップルストアで発売されている「Radeon X1900 XT」(5万400円)より安価で、NVIDIA社の「Geforce 8800GT」(3万4,400円)と同クラスの製品だ。

(1) 冷却ファンを搭載
冷却ファンを搭載しつつも、シングルスロットサイズのスリムなカード。色は、落ち着いたブルーだ

(2) Sビデオも搭載
ビデオ出力ポートはデュアルリンクDVIポートを2基。DVIポートの間にS映像出力がある

FOCUS ON

Geforce 7300 GTを標準搭載した初代Mac Proへの取り付けは、わずか数分で完了した。ファンを内蔵しているものの、厚みはなく、PCIスロット並びに背面ポートの占有は1スロット分で済む。また、動作させても筐体内の熱上昇もなく、もともと静かなMac Proの環境を維持できる。

(3) 取り付けはほんの数分
カードを装着する前にドライバをインストールする。マニュアルは英語だが比較的わかりやすい。Mac ProのPCI Expressスロットに差し込む。最高性能を発揮させるには、一番下にあるPCI Expressスロットに取り付けよう

複数のベンチマークテストを行って性能を検証してみたところ、2D処理ではあまり性能向上が見られなかったものの、3D処理において倍近い向上が見られた。特に3Dゲームをプレイした時は、明らかに肉眼でも高速化が確認できる。Geforce 7300GTのビデオメモリはGDDR3(256MB)。本製品では、512MBのGDDR4メモリを搭載しているため、その効果が現れている。

(4) 大幅に性能がアップ
3GHzの初代Mac Proで、標準のGeforce 7300GTと比較。ゲーム「Quake 3」での3D描画性能が特に大きくアップしている

価格帯でライバルとなりそうなGeforce 8800GTと比べると、性能はほぼ同等だ。ただし、Geforce 8800GTは初代Mac Proに対応していない。X1900ほど高価でなく、標準グラフィックカードと比べて大型ディスプレイの使用環境や3Dゲームなどで確実なスピードアップが期待できる本製品は、特に初代Mac Proユーザのベストチョイスだ。

AFTER REVIEW

本製品は動作に電源が必要。取り付け時に付属の電源ケーブルを、ロジックボード上の電源ポートに接続しよう。ここに注意すればインストールは非常に簡単だ。派手なカラーリングやデザインのカードが少なくない中、内蔵してしまえば見えないとはいえ、ブルーの落ち着いた外観がMac用にふさわしい。本製品を複数枚使用することで最高のパフォーマンスを発揮する「CrossFire(クロスファイア)」技術はMacに未対応なのが残念。