カラリオ初のファクス搭載複合機が登場!
顔料インク採用で普通紙くっきり印刷【2008年4月号掲載】


現在、インクジェット複合機はプリントとスキャナ、コピー機能を搭載したものが一般的に普及している。各社は年々、新機能を搭載することで高機能化を実現しているが、これまであまり搭載されてこなかったのがファクス機能だ。その中、登場したエプソンの「PX-FA700」は、同社のカラリオシリーズとして初めてファクス機能を搭載した意欲的なモデル。インターネットが普及したとはいえ、まだまだファクスによる通信は健在だ。カラリオシリーズの高い複合機の性能はそのままに、ファクスやADF機能を標準装備しながら、低価格化を実現した本製品の実力に迫ってみよう。


スペック

[発売元] エプソン販売  [価格] オープンプライス [実勢価格] 3万円前後 [OS] Mac OS 10.2.8以降 [解像度] プリント:5760×1440dpi、スキャナ:1200×2400dpi [用紙サイズ] プリント:A4~ハガキ [インターフェイス] USB2.0 [サイズ/重量] W460×D410×H236mm/約7.6kg [備考] ファクス通信速度:最大33.6Kbps(Super G3)、インク:4色独立顔料インク [掲載号] 「Mac Fan」2008年4月号

OVERVIEW

エプソンのインクジェットプリンタ「Colorio(カラリオ)」シリーズにおける、初のファクス搭載モデルとして登場した本製品。本体は、ビジネス利用も想定した黒色を基調とするシックなデザインで、コンパクトなサイズに仕上がっている。

(1) ファクス搭載機なのに小型!
ファクス機能やADFを搭載しているにもかかわらず、本体は意外とコンパクト。A4プリンタが設置できるスペースがあれば充分だ。ホームユースでも邪魔にならないサイズといえる

(2) インクは顔料で4色
4色の顔料系インクを採用している。顔料インクであるため、普通紙への印刷でもくっきりとしている

プリントやスキャン、コピー性能は、現行製品として発売されている「PX-A740」と同等だ。プリンタは最大5760dpiの解像度を持ち、L判サイズからA4までの用紙に対応。また、インクには発色性が高く、保存性にも優れた4色の顔料インク「つよインク200X」を採用している。

スキャナには、最大解像度1200dpiのCISスキャナを搭載。スーパーG3規格に対応したファクス機能は、最大60件まで登録可能な短縮ダイヤルや自動リダイヤル機能も付いている。また、標準でオートシートフィーダ(ADF)を搭載しているのも大きな特徴だ。最大30枚の原稿を一気に取り込むことができるため、スキャンやコピー、そしてファクス時に重宝する。

(3) 本体でファクス設定
ファクス機能は、最大60件の短縮ダイヤル登録や自動リダイヤル、手動送信、留守番電話機接続、ポーリング受信などを搭載する

(4) ADFには30枚セット可能
ADFは最大30枚セットできる。ホームユースには充分すぎる枚数であり、SOHOでの使用にも充分対応することができる

もちろん、自動画像処理技術「オートフォトファイン! EX」や小顔補正機能「ナチュラルフェイス」、退色復元機能、多彩なコピー機能など、エプソンの複合機に特徴的な機能も搭載している。それでいて、実売価格は3万円前後。ファクス機能を搭載して、この価格は大変うれしいところだ。

ただし、インターフェイスはUSB2.0のみで、ネットワークポートは搭載していない。有線/無線LAN経由で利用したい場合は、オプションのアダプタ「PA-W11G2」(実売1万5,000円前後)を購入する必要がある。

FOCUS ON

3万円を切る価格でこれだけの機能が備わっているにもかかわらず、安っぽさは感じられない。プリントやスキャン、コピーの性能は、家庭で使用するうえでは十分過ぎるといっていいほど高い。特に、プリント品質は6色インクを搭載した上位モデルには劣るが、2Lサイズ程度ならば十分な画質。L判サイズの印刷速度は約70秒だ。

(4) 2.5インチの液晶を搭載
2.5インチの液晶パネルが装備されており、画面で確認しながら操作できる

(5) 充実したコピー/スキャン機能
液晶ディスプレイは視認性が良い。プリンタやコピー、スキャン機能などは、同社複合機ならではの充実ぶりだ

1200dpiというスキャナの解像度を気にする人もいるかもしれないが、グラフィックスやDTP用途でもない限り、一般的な利用でそれ以上の解像度を必要とすることはほとんどなく、色の再現性や解像度も充分といえる。また、ファクスの走査線密度は200dpiと一般的なレーザ複合機と比べて低いが、顔料系インクのおかげで普通紙でもくっきりとした画像を得られる。

(7) 顔料インクでくっきり印刷
普通紙へのコピー(左)は、顔料系インクを使用しているため滲みが少ない。一方、ファクス(中央)は高級なレーザ複合機に比べると品質は劣るが、それでも細かな文字まで標準モードでしっかり確認できる。また、写真プリント(右)は4色インクながらも階調性が高い

ただし、ファクス機能は基本的なもののみを搭載しており、グループダイヤルや同報送信、PCファクスといった機能には対応していない。そのため、ファクスを頻繁に活用したいというニーズには、正直なところ向いていない。

とはいえ、同製品のターゲットを考えれば、この点は決して欠点とはいえないだろう。本製品は、ファクスをたまにしか使わないが、別途ファクスを用意するのはコスト的にも設置スペース的にも難しいといった用途に最適な製品といえる。

AFTER REVIEW

Macに対応した低価格なファクス付き複合機としては、ブラザー工業の「MFC-480CN」がある。実売価格2万5,000円前後で、有線/無線ネットワークに標準対応。Macからのネットワークスキャンやファクス送信にも対応している。ただし、プリントやコピー、スキャンなどの性能や使い勝手ではPX-A740に軍配が上がる。特にプリンタ周りはPX-A740のほうがプリント品質が高く、印刷速度も高速だ。
(※本製品は製造終了となっており、市場在庫が完売した時点で販売終了となります)