セキュリティ機能を充実させた
PS対応A3カラーレーザプリンタ【2008年3月号掲載】


ポストスクリプトに対応したレーザプリンタは、見積書や請求書、プレゼンテーション用書類といった一般業務で扱う書類だけでなく、デザインサンプルやDTPの出力といったグラフィックを扱うデザイナーまで、幅広く使えるのが魅力だ。内部統制など企業内での情報管理が厳しくなってきた昨今、プリンタのセキュリティにも注目が集まるようになってきている。そのような状況の中で登場したのが、PSプリンタとして高い能力を発揮するだけでなく、さまざまなセキュリティ対策を施した「magicolor 8650DN」だ。高性能CPUや最新のプリントテクノロジー、豊富なフィニッシング機能などを搭載するなどして、レベルアップを図った本製品の魅力に迫ろう。


スペック

[発売元] コニカミノルタビジネステクノロジーズ  [価格] 39万8,000円
[OS] Mac OS 9.2以上、Mac OS X 10.2以上 [解像度] 1万9200相当×600dpi
[インターフェイス] USB 2.0、USB1.1、オプション認証装置用USB、1000/100/10BASE-Tイーサネット [用紙サイズ] A3~ハガキ、長尺用紙 [サイズ/重量] W643×D708×H637mm/約79kg(消耗品含まず) [備考] 搭載メモリ:1024MB、ハードディスク60GB(オプション) [掲載号] 「Mac Fan」2008年3月号

OVERVIEW

本製品は、「magicolor(マジカラー)」シリーズの最上位モデルにあたる、ポストスクリプト(PS) 3に対応したA3カラーレーザプリンタだ。CPUには新たに1GHzのPowerPC G4を搭載し、高性能な画像処理回路との組み合わせで、カラー/モノクロともに毎分35枚(A4横)の高速印刷を実現している。

また、プリントテクノロジー「Emperon(エンペロン)」もバージョンアップ。小粒径で粒子が均等な重合法トナーと1ドットを細分化するマルチビット画像処理技術によって、1万9200相当×600dpiの高精細プリントが可能だ。

(1) 高速タンデムエンジン搭載のA3機
高速4連タンデムエンジンを搭載し、A3対応ながら標準状態ではコンパクトな本体を実現。出力の高速化に対応して、内部の定着ユニットなども進化している

(2) 豊富なオプション群
オプションのフィニッシャーと中綴じ機などを使うと、最大60ページまでのドキュメントを中綴じの小冊子に製本できる。面付けからプリント、ステープル/折り加工までを自動処理する

対応用紙は幅広く、A3ワイドから官製ハガキや封筒、厚紙やOHPフィルムをはじめ、最長1,200ミリまでの長尺紙へのプリントもできる。標準で1,150枚まで給紙可能な用紙トレイや両面印刷機能、ギガビットイーサネットを装備し、オプションのフィニッシャーや中綴じ機を組み合わせることで、ビジネス書類からPOPの作成まで、あらゆる用途に柔軟に対応できる製品だ。

(3) 最大で3650枚の大容量給紙
標準トレイ(上2段)に加えて、オプションの用紙トレイを装着すると、最大で3,650枚もの給紙が可能。また、本体脇の手差しトレイはA6~A3サイズの給紙に対応する

FOCUS ON


(4) 視認性の高い操作パネル搭載
操作パネルはエラー発生時は赤色に変わる。また、用紙不足などの場合にはトレー脇のLEDが点滅するので、離れている場所からでもすぐにわかる

「さまざまな点で大幅な進化を遂げている」というのが、本製品を実際に使用した上での率直な感想だ。まず、高速CPUや新画像処理エンジンの搭載によるプリント速度の向上は目を見張るものがある。A4カラー書類10枚の片面印刷は約22秒、片面時よりもスプール時間がかかるものの両面印刷時でも印刷時間は約26秒とほとんど同じなのが驚きだ。カラー印刷はこの価格帯のクラスでは最速の部類に入るだろう。

画質も向上しており、下位モデル「magicolor 7450」と比べて文字のエッジや画像が非常に滑らかでクッキリとしており、画像は中間調の調子が忠実に再現されている。

(5) 文字もクッキリ印刷
DTPやグラフィックデータのプリントは、文字がくっきり印刷され色味もしっかり確認できる。出力までの時間も高速だ

セキュリティへの対応が強化されている点も見逃せないポイントだ。プリンタ利用者を制限するためのユーザ登録やパスワード設定、ユーザごとに許可する作業・機能の割り当てなどは、サファリなどのWEBブラウザ上で動作するユーティリティを使って簡単に行える。

(6) WEBブラウザからセキュリティ設定
WEBブラウザ上で簡単にプリンタ本体の設定が可能だ。管理者権限でアクセスし、利用ユーザの登録などが行える

また、部門ごとに使える機能や出力枚数を制限できるほか、プリンタドライバ上で不正コピーを防止する地紋印刷なども使える。レーザプリンタのセキュリティ機能はMacに完全対応している製品が少ない中、本製品ではMacからでも、さまざまなセキュリティ印刷が可能だった。

(7) プリンタドライバでセキュリティ印刷
ドライバの[出力方法]から、[セキュリティ印刷]を選んでプリントすると、ユーザ名とパスワードの入力が求められる。これを入力しないと、印刷が開始されない

(7) 指静脈とICカードで認証
印刷するたびにユーザ名やパスワードなどの入力が面倒な場合は、オプションの指静脈装置やICカード装置を使うと便利だ。指やICカードをかざすことで、セキュリティが解除される

ユーザ制限をかけた場合、ユーザはプリンタ本体でユーザ名やパスワードを入力しないとプリントできないが、オプションの指静脈による認証装置やICカード認証装置を併用すれば、その手間も省ける。ただし、Macからでは、これらのオプション装置の登録は行えないため、別途ウィンドウズマシンが必要だ。

複数OSが混在するオフィスでのワークグループ用途からDTP/グラフィック用途に到るまで、プリンタとしての性能を一段と高めながら、セキュリティ対策も施した本製品。とりわけ、デザイナーから営業、経理担当まで、1台のカラーレーザを共有するような場合に大いに力を発揮するだろう。

AFTER REVIEW

昨今、企業においてコンプライアンスや情報漏えいへの対応が進み、委託業者に対しても内部統制ガイドラインなどの遵守を求めるようになってきた。一方で受託側では、正社員のほか派遣従業員、アルバイトなどさまざまなスタッフが働いており、とりわけ出力する情報のセキュリティ確保は避けて通れない。セキュリティ対策が充実していることは、オフィスプリンタとして大変心強い。