「慎吾ママ」出演の番組、訪問した家庭の2組に1組以上が夫婦の寝室が別室

「日本の夫婦って、別室で寝る人が多い。これは世界でも珍しい現象なのでは?」。

そんなことを気づかせてくれたのは「慎吾ママ」でした!

だいぶ前に、「慎吾ママ」というキャラクターをSMAPの香取慎吾さんがやっていたのですが、御存じでしょうか?

香取慎吾ふんする「慎吾ママ」が、早朝に一般の人の家にお邪魔し、ママの代わりに朝ごはんを作り、パパや子どもたちを起こし、朝食を食べさせ、送り出す。ママはその分、普段できない朝寝坊を満喫するという番組のワンコーナー。慎吾ママの「おっはー」は流行語になり、歌もヒットしました。

その番組を見ていると、朝子どもたちを起こしに行くとき、子どもたちはママと同じ部屋。パパは別室という他人の寝室事情がよくわかる。子どものいる日本の夫婦は2組に1組以上の高い割合で、別室でした。

別室に踏み切った妻たちの理由はかなり赤裸々…

まあ、子どもが小さい家庭が多かったので、それも一因なのでしょうが、かなりの割合だったと記憶しています。たまにダブルベッドで寝ている夫婦がいるとびっくりするぐらいでした。では子どもが育って自分の部屋に寝るようになったら、日本の夫婦はどうなるのでしょう?

マイナビでは「夫婦の寝室は一緒ですか。別ですか?」という問いに、「一緒」と答えた人は70.5%、「別」と答えた人は28.0%、「その他」が1.5%でした。そして夫からは同室への不満は少なかったのですが、妻からは不満続出という結果に。

同室の理由としては、夫からは「そういうもの」というそっけない回答が多く、妻からは「1人は寂しい」「一緒だと安心する」という情緒的な回答が出ていたのが印象的。

つまり夫は「そういうもの」だと思い、大した不満もなく一緒の部屋に寝ているのですが、妻は「選択して同室」なのです。または「我慢して」同室なのですね。

となると、別室に踏み切った妻たちの理由はかなり赤裸々。「臭い」「いびきがうるさい」と夫たちは散々な言われよう…別室の一番の理由はやはり騒音問題でした。

夫婦別寝室、「適度の距離があったほうがいい…」という寂しい結論

夫婦別寝室になる最初の理由は、日本では小さな子どもはママと一緒に寝ることが多いので、パパははみ出して別室へというもの。しかし、この別室生活、子どものためにと始めてみたら、意外と快適でやめられないママも多いようです。

そしてさらに子どもが巣立ったあと二人きりになった夫婦はどうなるのか?

熟年夫婦のリフォーム特集などを見ると「夫婦が互いに干渉し合わない適度な距離」「お互いが自分のペースで睡眠をとれる別寝室」をすすめる記事が圧倒的。

夫婦は適度の距離があったほうがいい…というのが、長年連れ添った夫婦の結論なのです。これって、かなり寂しい感じでね。

海外では「別寝室」は離婚の原因にも、男と女として終わりなら家族も終わり

海外の夫婦からみたら、「なぜ、離婚しないのか?」と不思議だと思います。欧米の夫婦から見たら「別寝室にしたい」というのは離婚の前段階です。なぜならセックスをしないということと同義だから。セックスをしないことは十分な離婚の理由になります。

フランスの家庭に取材にいったとき、子どもはみな、どんな小さな子でも8時には自分の部屋で寝かしつけられ、夫婦の時間の邪魔をしないことになっているのが新鮮でした。フランス人の夫を持つ日本女性は「私は子どもと添い寝したいのですが、夫が癖になるからだめという。そのかわり彼は寝かしつけがすごくうまくて、いつも子どもの寝かしつけを担当してくれます」と言っていました。

夫と妻が子どもを預けてデートや旅行をするのも「家族のため」と誰もが言い切ります。家族の基本はまず男と女である夫婦。二人が男と女として終わりになったら、家族も終わり。それがフランス流なんですね。

熟年になってから夫婦仲を修復するのは至難の業、時間があるうちに中身充実を

しかしもともとセックスレスの多い日本の夫婦は別室になっても、さして問題はない。それなら、お互いに快適な生活をしたほうがいいのでは…というわけです。

夫婦仲を維持するために、デートしたり、セックスを怠らない欧米の夫婦。逆に離婚しないために、「適度な距離」を大事にする日本の夫婦。

どちらにせよ、熟年になってから夫婦仲を修復するのは至難の業。マイナビ読者世代は時間があるうちに、夫婦としての外側よりも中身を充実させるにこしたことはありません。離婚は老後の経済における最大のダメージですから。

著者プロフィール : 白河桃子(しらかわとうこ)

少子化ジャーナリスト、作家。一般社団法人「オサン・デ・ファム」アンバサダーとして、「女の子を幸せにする心とカラダの授業」プロデュース、「全国結婚支援セミナー」主宰。大妻女子大学就業力GP「ライフコース講座」講師および企画。山田昌弘中央大学教授とともに、2008年度流行語大賞にノミネートされた「婚活(結婚活動)」を提唱し、共著『婚活時代』(ディスカバー21)がある。近著は、国立成育医療センター母性医療診療部不妊治療科医長、齊藤英和先生との共著で『妊活バイブル』(講談社)、『女子と就活 20代からの就・妊・婚講座』(中公新書ラクレ)。