福島交通飯坂線(福島~飯坂温泉間)に約25年ぶりの新形式となる1000系が導入され、4月1日から営業運転を開始した。旧東急電鉄1000系を譲り受け、ステンレス製の車体に「ダークブラウン」「ピーチフラワー」「シャンパンゴールド」の3色を施した。2018年度までに計6編成14両を順次導入し、飯坂線の既存車両7000系を置き換える予定だ。

福島交通飯坂線を走る1000系。4月から営業運転を開始した

東急電鉄1000系は1988年、東横線から地下鉄日比谷線へ直通運転を行う片側3ドア・18m車両としてデビュー。後に池上線などにも導入された。東急東横線・東京メトロ日比谷線の相互直通運転は2013年3月をもって終了し、現在の1000系は池上線・東急多摩川線をおもな活躍の場としている。地方私鉄へ譲渡された車両も多く、上田電鉄(長野県)、伊賀鉄道(三重県)、一畑電車(島根県)などで1000系がベースの車両を見ることができる。

福島交通に導入された1000系は、中間車を先頭車に改造した一畑電車1000系や上田電鉄6000系と似た前面形状となっている。前照灯・尾灯は丸型で、外観を見た限りでは車体前面の貫通扉もなくなっている様子。2016年度は2編成5両(2両編成・3両編成が1編成ずつ)導入され、昨年10月に搬入された後、ラッピング作業などが進められたという。

外観カラーは「いい電」と呼ばれる飯坂線沿線の7つの「いい」もの・「いい」ところを3色に集約し、ダークブラウンは「いい歴史」「いい風情」、ピーチフラワーは「いい笑顔」「いい花」「いい実り」、シャンパンゴールドは「いいきらめき」「いい未来」を表現している。宮城県在住で「描き鉄」活動も行うデザイナー、小松大希氏の協力を得ながら、「これまでの飯坂線の歴史とお客様・沿線の皆様への感謝、そして未来へのメッセージを込めて、1000系をデザインしました」と福島交通は説明している。

車内は東急電鉄時代の雰囲気を残しつつ、バリアフリー対応として広めの車いすスペースや液晶車内表示器を設置。車内放送は日本語・英語の2カ国語対応とした。他にも飯坂温泉の暖簾(のれん)や地図、飯坂温泉の四季をイメージした「ももりん」のイラストラッピングなど、楽しいしかけも車内に用意されているという。

1000系には「いい電」と記されたヘッドマークが掲出されている

美術館図書館前駅に停車中の1000系と7000系

福島交通1000系は2016年度の2編成5両に続き、2017年度に2編成5両、2018年度に2編成4両を順次導入する。既存車両7000系は置換えとなり、1000系による全車更新が完了する2019年春頃、7000系のさよなら運転が行われる予定となっている。