【コラム】

Flashアニメ作家・青池良輔の「創作番長クリエイタ」

19 コマアニメの中にトゥイーンアニメーションを効率よく組み込む方法とは?

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Flashアニメ作家・青池良輔がクリエイターになる方法を熱く伝授する連載「創作番長クリエイタ」。連載第19回では、コマアニメの中にトゥイーンアニメーションを効率よく組み込む方法を考えていく。

Flashにおける作画の計画を立てる

前回は、コマアニメで「走り」のアニメーションの作成方法について紹介しました。タイムラインに沿って、パラパラマンガの要領で絵を描いてゆけば、ある程度アニメーションらしき物はできる事を分かってもらえたと思います。ただやはり作品として、1枚1枚の絵の精度を上げ、着色を施してゆくと大変根気のいる作業である事には変わりありません。

「Adobe Flash」で製作するアニメーションでは、その工程において作画の手間を多少なりとも緩和する「コツ」があります。それはいかにコマアニメの中にトゥイーンアニメーションを効率よく組み込んでゆくかという点です。今回は、その「コツ」と実際の作例についてふれてみたいと思います。

その作例として「歩き」についてやってみましょう。

走りのサイクルは、15fpsで絵を4~8枚描いた約0.5秒のループで成立しましたが、歩きの場合は1ループ1秒ぐらいになり、より多くの作画枚数が必要になります。ここでトゥイーンとコマアニメを上手く組み合わせながら作画を進めていきます。

真横から見た歩きであれば、手や足は大きく変化しますが、頭や体は上下運動をするだけになります。ですので、この頭と体を描き、シンボルとして登録します。このシンボルを1フレーム、5フレーム、9フレーム、13フレーム、17フレームにキーフレームを打ち、5、13フレームのシンボルを少し上に上げます。これで、頭と体が上下する動きは出来たと思います。

体と頭のシンボルがありますので、まず新規レイヤーをシンボルのあるレイヤーの上下にそれぞれ追加しこの絵に合わせ、1フレームに、一番歩幅の大きな状態を手前の手足は上位レイヤーに、奥の手足は下のレイヤーに作画します。前回の走りの応用で、17フレームに同じ絵のコピー&ペースト、9フレームに左右反対な状態、5、13フレームには一番歩幅の小さい状態を描き、そしてその間を補填する動画の作画を行ってゆきます。下レイヤーの作画がやりにくいと思いますので、頭と体のレイヤーは、アウトライン表示にして、ロックしておくと良いかもしれません。

ここで手足を2コマ打ちで描いた場合、体の上下動とあわせてみると違和感があります。これは、頭と体がフルフレームで動いているためです。ここで、既に動きをつけているからだと頭について、2コマ毎にキーフレームを打ってゆき、全体を選択してトゥイーンを削除します。これで、頭と体のレイヤーも2コマ打の動きになったと思います。

ここで「じゃあ、はじめから8fpsにすれば?」と思われた読者もいるでしょう。今回のポイントとしては、作画の手間を軽減することですが、はじめからフレームレートを作画作業に合わせて落としてしまうと、その後につけるパンやズームと言った動きも8fpsとなり、カクカクした印象になってしまうのです。また、1コマ打ちや3コマ打ちといったバリエーションをつけたアニメーションも制約を受けることになってしまいます。

通常のアニメーションでは、1枚1枚の作画を紙で行ってゆくので、同じシンボルを使い回すという発想はあまり歓迎されないようですが、主にPC上で製作するFlashアニメーションであるからには、そこを強みとして発揮出来れば良いと思います。歩きのようなループアニメーションでなくとも、一連の動きの中で、変化の無い部分だけシンボルとして使い、動きの大きな部分には何コマかコマアニメを挟み、また別のシンボルに引き継ぐ、コマアニメとしては枚数が少ないアニメを丸ごとシンボルにして、トゥイーンさせると言ったような、効果的にシンボルを利用する方法を考えてみることが、効率のよい制作に繋がってゆきます。

以下の作例では、バットとバットを持っている手は1シンボル、また頭もシンボルでトゥイーンで動きをつけた物を、体全体のコマアニメに合わせて、キーフレームを打ち動きを合わせています。小さい部分ですが、これで顔や手といった部分の作画を1回で済ませることができています。

プランを立てるコツとしては、ざっくりと描いた下書きの時点で、「どういう動きをさせようか?」ということを想像し、一連の動きの中で「移動・2D回転・拡大縮小」で部分的にでも処理できる所はないかとじっくり眺めてみることです。表現上それでは雰囲気が出ない所については、きちんとコマアニメで作画してゆくとよいと思います。また、そればかりに注力して、ファイルが複雑になりすぎるのもよくありません。 このプロセスを上手く活かし、作品として成立するバランスを取る事によってFlashアニメーションの利便性が活かせます。どのような方法がいいのか、試行錯誤される事をお勧めします。

青池良輔


1972年、山口県出身。大阪芸術大学映像学科卒業後、カナダに渡り映像ディレクター、プロデューサーとして活動。その後、Flashアニメで様々な作品を発表。短編アニメやCFを多数手がける。最新作はDVD『CATMAN』(2008年)、『ペレストロイカ ハラペコトリオの満腹革命』(2008年)。『藤子・F・不二雄のパラレル・スペース DVD-BOX』(2009年)では、 谷村美月主演の実写作品「征地球論」の監督と脚本を担当。森永アロエヨーグルトのWebサイトで、最新Flashアニメ『BABY&GIRLS アロ恵』公開中。全国のTOHOシネマズで本編前に上映されている短編『紙兎ロペ』では、アニメーション制作を担当。

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インデックス

連載目次
第31回 超実践編 -試行錯誤しつつも、キャラクターデザインを進めていく
第30回 超実践編突入 Flashアニメーションの企画を立て制作開始
第29回 Flashアニメーション制作テクニックをまとめてみる
第28回 あえて「動きの少ないアニメーション」について考えてみる
第27回 アニメーションにおける演技やアクションの構築について考える
第26回 「キャラクターの運動曲線」について考えてみる
第25回 アニメーションの特徴的な技法「予備動作」と「後追い」を学ぶ
第24回 アニメーションの特徴的な技法「スクィッシュ&ストレッチ」を学ぶ
第23回 アニメーションで大切な「詰め」について考える
第22回 Flashアニメーションのキャラクターの口の動きを考える
第21回 Flashアニメーションでキャラクターを活き活きと見せる演出方法とは?
第20回 トゥイーンのみを活用してアニメーションを作ってみる
第19回 コマアニメの中にトゥイーンアニメーションを効率よく組み込む方法とは?
第18回 描いたキャラクターを動かしてみる
第17回 Flashアニメーション制作 ついに制作実践編に突入
第16回 アイデアから絵コンテ完成まで -創作までの流れをまとめてみる
第15回 紙からデジタルへ -ビデオコンテを作成する
第14回 紙からデジタルへ -絵コンテを具体的な「絵」の形にしていく方法とは
第13回 紙からデジタルへ 脚本から絵コンテを描く方法とは
第12回 キャラクターをFlashでアニメーションにする方法を考える
第11回 紙からデジタルへ -キャラクターをデジタルデータ化する手法を考える
第10回 紙からデジタルへ -制作アプリケーション選択について考える
第9回 ショートコンテンツ(短編作品)の物語作法について、さらに深く考える
第8回 ショートコンテンツ(短編作品)の物語作法について考える
第7回 著作権の意味や役割について考える
第6回 完全オリジナルのキャラクターを確立する方法
第5回 どのようにキャラクターの個性を設定するべきか
第4回 絵が苦手でもツールを駆使してアイデアをビジュアル化する
第3回 自分のアイデアをさらに磨き上げる方法とは?
第2回 クリエイターがアイデアを具体的な形に落とし込む方法とは?
第1回 クリエイターになるために、有効な時間の使い方を考える

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