【コラム】
Flashアニメ作家・青池良輔がクリエイターになる方法を熱く伝授する連載「創作番長クリエイタ」。連載第14回では、絵コンテを実際に「絵」の形にしていく方法を考える。
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前回は文章の状態の脚本を「割る」作業をしました。今回は、そのカットを具体的にどのような内容にするか、絵コンテの「絵」の部分を考えてゆきます。ここで11回目に取り上げた、Flashでアニメ制作をする手法、トゥイーンとコマアニメも関係してきます。
構図を考えるにあたって、キャラクターの配置、カメラ位置、レンズサイズ、光源など念頭に置くべき点はいろいろあります。そして、それらの組み合わせによって、同じアクションでも印象が大きく変わります。迫力のあるローアングル広角レンズ、状況を端的に見せる平行ポジションの50mm、情景を見せる広めのワイドレンズなど、どこかで見た事のある画角を組み合わせて、「制作者と観客」の共通記号としての印象操作を行ってゆきます。もちろん、ここに演出の個性が反映されますので、今までに見た事のない表現方法の積み重ねで新たな印象を喚起させることもできるでしょう。映像の組み合わせで新たな意味を紡ぎ出す、いわゆる「モンタージュ」という方法です。
実写映像だと、カメラの捉えられる範囲で自由に撮影を行えばよいのですが、Flashの場合、そのカットの選び方によって工程が変わってくる場合があります。前々回でとりあげたトゥイーンでは、基本的にはキャラクターを動かそうと思うと、基本2D的に、平面な素材を移動、回転、縮小することが主になるので、横向きのキャラクターが正面を向くような立体的な回転などは、表現できません。その場合は、横向きから正面の中割りをコマアニメで作画することになります。コマアニメでは、絵を描いてしまえばどんな表現でも可能ですが、作画枚数が増えれば増える程、作業工程は多くなってゆきます。
これらのことを考えると、「演出として欲しい画」と「作業量」のバランスを考えながらコンテを割った方が現実的だと思います。これまでの説明では、トゥイーンは使えないのではないかと感じる人もいるかもしれませんが、とても面白い会話劇をトゥイーンアニメーションをメインにつくられている劇場用アニメーション作品もあります。自分の作品にとってよい方法を選べばいいだけです。ただここで留意すべきは、表現に見合ったコンテの切り方を意識するということです。
例として、二人のキャラクターの会話のシーンを考えてみると、大きく、縦位置(縦位置の構図)と横位置(横位置の構図)が考えられます。乱暴ないいかたをすれば、トゥイーンでは縦位置のキャラクターの会話に動きをつけることは難しく、横位置の方が向いています。ただ、演出として考えた場合、奥行きを感じさせる縦位置はドラマ性を強く感じさせ、平坦な横位置では軽い印象を受けます。シーンの内容、演出の意図を優先させるのか、手法のトーンを維持するのか、または、両方のバランスの中で上手い着地点を探すのかを念頭に置きながらコンテを切ってゆく事も大切だと思います。
実際に、仕事としてこれらの作業をする場合は、納期や予算も関係してきます。僕の制作した「アロ恵ちゃん」というコンテンツでは、キャラクターメインのアニメーションをFlashで効率よく制作するため、頭は一枚のデザイン画をトゥイーンで使用することで、作画のブレを押さえるようにし、体はなるべくコマアニメで対応しアニメらしさを出せる様に意識しました。その手法を決めた段階で、「正面向きの顔はあまり出ない」、「振り向きは最小限」、「あおり、俯瞰は使用しない」という技術的制約を意識しながらコンテを割りました。コンテンツ自体が、キャラクターを見せる軽いギャグ要素のものだったということもあり、それなりにまとまっているのではないかと思っています。このプロジェクトが、もし、テレビアニメの作画スタジオで制作しようという企画だったなら、コンテの切り方は大きく変わっていたかもしれません。
効率や手法が、作品の表現を妨げているという印象をうけられる方もいるかもしれませんが、なんにも気にしない億万長者がスポンサーの企画ならまだしも、効率や手法も受け入れた上で、自分の創作意欲を爆発させてみる訓練をしておいても損はないと思います。
青池良輔
1972年、山口県出身。大阪芸術大学映像学科卒業後、カナダに渡り映像ディレクター、プロデューサーとして活動。その後、Flashアニメで様々な作品を発表。短編アニメやCFを多数手がける。最新作はDVD『CATMAN』(2008年)、『ペレストロイカ ハラペコトリオの満腹革命』(2008年)。『藤子・F・不二雄のパラレル・スペース DVD-BOX』(2009年)では、 谷村美月主演の実写作品「征地球論」の監督と脚本を担当。森永アロエヨーグルトのWebサイトで、最新Flashアニメ『BABY&GIRLS アロ恵』公開中。全国のTOHOシネマズで本編前に上映されている短編『紙兎ロペ』では、アニメーション制作を担当。
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