【コラム】
Flashアニメ作家・青池良輔がクリエイターになる方法を熱く伝授する連載「創作番長クリエイタ」。連載第2回では、自分のアイデアを形にする方法を考える。
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自分の作品を作ってみたい人は、多かれ少なかれその時点でなんとなく「こんなの作りたい」とか「いいアイデア思いついた」と思っているのではないでしょうか? すでに世に出ている作品を見て「こんなのがいいなぁ」と思っている場合もあるでしょう。でも、それは全体の一要素だったり、クライマックスのみだったりすることもあります。そのアイデア、形にしましょう。
僕の場合、まず初めのとっかかりとして、紙でもPC上でもいいですが、今思っている事を書いてみます。文章でも絵でもいいです。ここでまだ考えの固まっていないあいまいな部分を無理に考えようとしません。その場のノリと勢いでとってつけた要素は、元々考えていたアイデアの純度を落とすと思っています。抱えているアイデアの分量はその時々で差がありますが、その時に考えている事だけ、目で見える様にします。 ここでしばらくそのアイデアノートを寝かせます。理想を言えば、しばらく考えるのを止めて、ちょっとそのプロジェクトの事を忘れるぐらい寝かせておきたいのですが、まぁせめて1日。アイデアを書きなぐった心の火照りが取れるぐらいまで放ったらかしておきます。じっとしているといろいろ考えてしまうので、お気に入りのビデオ見たり、外に遊びにいったり、なるべくアイデアを突き放すようにします。
その後、クールダウンしたところでアイデアノートと再会。ここで、「そのアイデアの面白いと思われる点(自分目線)」を3個なるべく簡潔に書き出します。キャラクターの絵であればそのキャラクターの「いけてる点」です。3個なければ、1個でもいいのですが、あまり沢山のトピックが出るようなら、それを整理して3個までにします。面白いと思える要素が10個も20個もあるような作品は、自己中心的に好みの寄せ集めになっている場合がありますし、作品として散漫になると思っています。逆に面白い要素が1個しかなかったとしても、それが強烈であれば素晴らしいアイデアになる可能性があるので大切に扱います。このステップでは、余分な事を考えずに突き進んでいった方がキレのある作品になることが多いです。
面白い要素は、一言でなくても、一行程度の文章になる場合もあります。3個が全て個性的になるケースはまれです。奇抜でなくても特にオリジナリティに溢れていなくても、作品にとって大切だと思われる点は3個の中にカウントします。また、そのアイデアがどれだけくだらなくて、荒唐無稽であっても自分が面白いと感じれば取り上げる様にしています。この3個の要素がこれから作ろうとする作品の「核」になります。言葉を変えると「テーマ」であり、「セールスポイント」、「個性」です。
いざそれを書き出してみたけど、よく考えればありがちだったり、何かの真似っぽい感じがしたりする場合ももちろんあります。その場合、もう一度落ち着いて「何であんなに夢中だったんだろう」と考え直します。もう気持ちの醒めてしまった好きだった人を冷静に観察する感じですね。改めて考えてもいい所が再発見できなかったら、さっさと忘れて、次のアイデアを探します。
この練習として、ヒット作や名作といわれるものを3個の要素に分解してみてもいいと思います。エポックメイキングといわれる作品の面白い要素は、結構「その当時はすごかったんだね」と、今では当たり前過ぎてつまらない事も多いです。また、「最終的にはヒットになったけど、企画としてはどうなの?」という作品のブレイクのきっかけを参考にすることもできます。ただ、あまり過去に捕われると「あ、これはあれに似ている」と発想にブレーキをかけてしまうことになりかねないので、少々他の作品に似ていても、3個の要素が個性的な組み合わせになるようなら、良しとします。
さて、ここまでできたら最後に3個の要素を50文字程度の一文にまとめます。文章として気合いを入れて、楽しく、かっこ良く整理して書き出してみます。できたら、それを改めて「どうなんだろう? 面白そうなのかなぁ?」と復唱してみるようにしています。こうして出来たアイデアが、これから制作する自分の作品の元になります。本気でつき合える相手(アイデア)に出会えるまで、何度でも諦めずにこれを繰り返します。
青池良輔
1972年、山口県出身。大阪芸術大学映像学科卒業後、カナダに渡り映像ディレクター、プロデューサーとして活動。その後、Flashアニメで様々な作品を発表。短編アニメやCFを多数手がける。代表作に『CATMAN』(2002年)、『OH!スーパーミルクちゃん』(2002年 ※Flash版キャラクターデザイン)など。最新作は『CATMAN Series III』(2008年)、『ペレストロイカ ハラペコトリオの満腹革命』(2008年)。
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