【コラム】

週刊こむぎ

97 自分のスタンス

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明日10月5日は「達磨忌」と呼ばれ、禅の始祖である達磨大師の命日の法要が行われます。デフォルメされて絵に描かれることも多い達磨さん。今週は、そんな達磨大師の思想から学んでいきます。

達磨大師は禅の基本となる考え方として、仏教の哲学を4つの言葉で表しました。

  • 「不立文字(ふりゅうもんじ)」:ブッダの教えの重要な部分は言葉や文字にして伝えることができない

  • 「教外別伝(きょうげべつでん)」:文字では表せない「体験」による、心と心のやりとりで真理は伝授される

  • 「直指人心(じきしにんしん)」:ただひたすらに自分の心を見つめることによって

  • 「見性成仏(けんしょうじょうぶつ)」:己の中にいる仏(悟りや真理)の存在に気付くだろう

答えは自分で自分の中から見つけ出すものであって、それを引き出す手がかりとして、さまざまな「体験」があるというわけです。

特に「直指人心 見性成仏」という教えの言葉は、達磨の肖像を描いた禅画(達磨図)に添えられることが多いのですが、江戸時代の僧、白隠慧鶴(はくいんえかく)禅師が描いた達磨図の一枚には、一風変わってこんな言葉が記されています。

「このつらを 祖師の面と見るならば 鼠を捕らぬ猫と知るべし」

「この絵の顔を達磨大師だと思っているうちは、自分のことがわかっていない役立たずだ」といった意味の言葉で「直指人心 見性成仏」、つまり答えは自分の中を見つめた先にあるはずなのに、達磨大師の姿を崇拝しているようでは本末転倒であるということです。

「この人が言っているのだから正しい」「これだけ多くの人に支持されているのだから正しい」という風に、尊敬する人物や権威のある人物の言っていること、多くの人に支持される意見や理論などに触れると、深く考えることをせずにそのまま自分のスタンスとしてしまいたくなるものです。

周囲の人物の中をいくら探しても自分自身は見つかりません。優れたアドバイスやさまざまな「きっかけ」はあっても、そこから自分で考え、行動を起こし、答えを見つけてこそなのです。

■今回登場したのは、禅のぼさつが宿った「こねり」

■著者紹介

Jecy
イラストレーター。LINE Creators Marketにてオリジナルキャラクター「こむぎこをこねたもの」のLINEスタンプを発売し、人気を博す。その後、「こむぎこをこねたもの その2」、「こむぎこをこねたもの その3」、「こむぎこをこねたもの その4」をリリース。そのほか、メルヘン・ファンタジーから科学・哲学まで様々な題材を描き、個人サイトにて発表中。

「週刊こむぎ」は毎週水曜更新予定です。

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インデックス

連載目次
第103回 こころを守る
第102回 こころの容量
第101回 自然体
第100回 あらゆるものの実体
第99回 なにもしない
第98回 同じ人間なのだから
第97回 自分のスタンス
第96回 自らに由るもの
第95回 迷いをたちきる
第94回 目の前のチャンスをつかむ
第93回 こころをほぐして挑む
第92回 ゆるがぬこころ
第91回 「続ける」ことの大切さ
第90回 因果と輪廻
第89回 カルマとの付き合い方
第88回 夏の空
第87回 1日を生きる
第86回 自分の好みは争いのタネ?
第85回 自分の思考をしっかりと眺める
第84回 枠の中で過ごす時間
第83回 直感にとらわれない目線
第82回 認識を変える
第81回 こころを洗う
第80回 価値観のかごの外側
第79回 真の強さ
第78回 変わらぬもののちから
第77回 もやもやを変えるきっかけ
第76回 かわらぬ日常
第75回 夢うつつ
第74回 おだやかなことば
第73回 花は咲いたら落ちるもの
第72回 ひとりで歩くことも時には大切
第71回 あるがままに生きる
第70回 強い執着心が苦しみを生む
第69回 「やりきった」達成感に 要注意
第68回 大きなものは 切り分けたべる
第67回 鳥が鳴くから 静けさがきわだつ
第66回 雑念を 雪のように溶かす
第65回 心身のこわばりから 自由になる
第64回 辛いとわかっているのなら
第63回 目は横に、鼻は縦に
第62回 心を空っぽにできることは 何?
第61回 目をさませ!
第60回 ひとも こむぎも あるがままが一番
第59回 一年のおわりに 「心の癖」をさがす
第58回 寒さのしのぎかたは 人それぞれ
第57回 さとりとは 苦しさから抜け出すこと
第56回 もともと そこには 何もない
第55回 考えるより まず お食べなさい
第54回 言葉にしばられず 「月」をながめる
第53回 「自分だけのもの」は 本当にある?
第52回 言葉がなくても つたわるきもち
第51回 ままならない体で パンをもとめる
第50回 どこから行っても たどりつく月
第49回 良いも 悪いも 心しだい
第48回 自分の足元を しっかりと見る
第47回 夜空の月は ほんとうに浮かんでいるか?
第46回 じぶんに適した「立ち位置」を見つける
第45回 パンだけに頼らず 多くの選択肢を持つ
第44回 どんなにちいさくても 「活きる」場所がある
第43回 「今あるもの」を あらためて知る
第42回 つよく求めるほど こころはさわぐ
第41回 口コミにはない じぶんの体験
第40回 心しだいで 火もまた 涼し
第39回 雲のように 水のように 流れてみる
第38回 すべての不安は 現実をこねたもの
第37回 ことばにできない 感覚を大事に
第36回 食べてみなければ わからない
第35回 七夕の夜に かの人を思う
第34回 すべては さだめ
第33回 居場所に合わせて 心はうつろう
第32回 相手にあわせて 語り方をかえる
第31回 雨もまた ひとつの試練
第30回 しぜんのままに ゆるやかに
第29回 そこにいるだけで 助けになる
第28回 雨が降るから こむぎがそだつ
第27回 答えのありかは 「どちらか」ではない
第26回 うちかつべきは おのれのみ
第25回 片手ではくしゅして 枠を見つめる
第24回 語るべきことだけを ていねいに伝える
第23回 たいせつな日は いつですか?
第22回 さくらの季節と 一期一会
第21回 不安をとりだし こねて焼く
第20回 「正しさ」の向きを 観察する
第19回 目の前のご飯に しっかり向き合う
第18回 待つことも ひつようです
第17回 やすむことも 大切なしごと
第16回 身近なやさしさを たいせつに
第15回 分けへだてなく お茶をもてなす
第14回 かわらぬものなど ないのです
第13回 おいしいとわかる しあわせ
第12回 みえるものだけに とらわれない
第11回 まいにちが 「なにかびより」
第10回 この"まる"は 何にみえる?
第9回 こころもすっきり おおそうじ
第8回 "へいじょうしん"にこそ みちはあり
第7回 こだわりを すててみる
第6回 じぶんにあった「しょうじん」を
第5回 そなたのみちを ゆくのです
第4回 あらゆるものが、われわれの師
第3回 すべてはひとつにつながっている
第2回 かまどにとびこむ勇気
第1回 いつでもおいで

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