まだまだ冬のさびしげな場所を旅するこねたものたち。
そこへ飛んできたとりの一声が、より静けさを引き立てます…。

「鳥啼山更幽(とりないてやまさらにしずかなり)」という言葉があります。
6世紀の中国で、王籍という詩人が詩の中に書いた言葉で、
静かな山の中で鳥が一声鳴いた後、
辺りがいっそう静かに感じられる風景を描いています。

ただただ長く続く静けさの中にいるよりは、
沈黙を破る一瞬のあとの方が、静寂がより強く感じられたりするものです。
「対を成すものがわずかにあることで、全体が引き立ってくる」
といった出来事は、日常の中でも様々な場面で起こっているのではないでしょうか。

目立つ色があることで、周りの色も意味を持ってくる、
ただ何もなく過ごすよりは、困難があるからこそ
充実した人生を生きられると感じる、
風邪をひいた時に、普段の状態のありがたみがわかる…

あなたの日常の中で、
「鳥啼山更幽」の場面を探してみてはいかがでしょう。
普段周りで起こっていることに対する感覚が、
研ぎすまされていくかもしれません。

■こむぎこをこねたもの、とは?

■著者紹介

Jecy
イラストレーター。LINE Creators Marketにてオリジナルキャラクター「こむぎこをこねたもの」のLINEスタンプを発売し、人気を博す。「こむぎこをこねたもの その2」「こむぎこをこねたもの その3」もリリース。そのほか、メルヘン・ファンタジーから科学・哲学まで様々な題材を描き、個人サイトにて発表中。

「週刊こむぎ」は毎週水曜更新予定です。