【コラム】

週刊こむぎ

49 良いも 悪いも 心しだい

49/90


新しい物好きのこねり。なにやらロボットを動かしています。
ロボットを操縦するとき、その振舞いは(技術もそうですが)
操縦する人の意思によって決まるものです。

道具自体に善悪はなく、
人が善意を持って使えば役に立つ使い方ができますし、
悪意を持って使えば人を傷つけたりする事にもなるでしょう。
今週は、そんな人の心がもたらす変化についてのお話です。

「一切唯心造」という禅の言葉があり、
「全ては心(のはたらき)が作り出したものにすぎない」
という意味に解釈されます。

「善・悪」「好き・嫌い」「快・不快」「美・醜」などの感覚も
実体を持って現実に存在するものではなく、
心の中に生じる感覚や分別に名前を付けて
そう呼んでいるものなのですが、
人はこれらに影響され、時に振り回されながら生きています。
江戸時代の有名な和尚さん、
臨済宗・白隠禅師のエピソードに、こんなものがあります。

ある武士が白隠のもとへやってきて、
「極楽や地獄は本当にあるのだろうか?」と訪ねました。
それを聞いた白隠は、あろうことか
「そんなこともわからないとは、とんだまぬけがいたものだ!」
などと散々に罵ります。

怒り狂った武士は刀を抜いて斬り掛かろうとするのですが、
白隠はすかさず「これが地獄だ!」と叫びました。
武士はなるほどと落ち着きを取り戻して
「地獄の在処がよくわかりました」と頭を下げ、
それに対し白隠も「いま極楽の門が開かれましたよ」と笑ったと言います。

心の状態ひとつで、世界の見え方はがらりと変わってしまいます。
満足していたり余裕のあるときは寛容になれても、
切羽詰まっていると周りの物事に批判的になったり、
人のマイナスな部分を見てしまいがちだったり…
といった経験をしている人も多いのではないでしょうか。

その時々で、ありのままの出来事に様々な味付けがされているようなもの。
物事の見方の変化は、自分の心の状態をつかむひとつのカギになるはずです。



■今回登場したのは、禅のぼさつが宿った「こねり」

■著者紹介

Jecy
イラストレーター。LINE Creators Marketにてオリジナルキャラクター「こむぎこをこねたもの」のLINEスタンプを発売し、人気を博す。「こむぎこをこねたもの その2」「こむぎこをこねたもの その3」もリリース。そのほか、メルヘン・ファンタジーから科学・哲学まで様々な題材を描き、個人サイトにて発表中。

「週刊こむぎ」は毎週水曜更新予定です。

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インデックス

連載目次
第90回 因果と輪廻
第89回 カルマとの付き合い方
第88回 夏の空
第87回 1日を生きる
第86回 自分の好みは争いのタネ?
第85回 自分の思考をしっかりと眺める
第84回 枠の中で過ごす時間
第83回 直感にとらわれない目線
第82回 認識を変える
第81回 こころを洗う
第80回 価値観のかごの外側
第79回 真の強さ
第78回 変わらぬもののちから
第77回 もやもやを変えるきっかけ
第76回 かわらぬ日常
第75回 夢うつつ
第74回 おだやかなことば
第73回 花は咲いたら落ちるもの
第72回 ひとりで歩くことも時には大切
第71回 あるがままに生きる
第70回 強い執着心が苦しみを生む
第69回 「やりきった」達成感に 要注意
第68回 大きなものは 切り分けたべる
第67回 鳥が鳴くから 静けさがきわだつ
第66回 雑念を 雪のように溶かす
第65回 心身のこわばりから 自由になる
第64回 辛いとわかっているのなら
第63回 目は横に、鼻は縦に
第62回 心を空っぽにできることは 何?
第61回 目をさませ!
第60回 ひとも こむぎも あるがままが一番
第59回 一年のおわりに 「心の癖」をさがす
第58回 寒さのしのぎかたは 人それぞれ
第57回 さとりとは 苦しさから抜け出すこと
第56回 もともと そこには 何もない
第55回 考えるより まず お食べなさい
第54回 言葉にしばられず 「月」をながめる
第53回 「自分だけのもの」は 本当にある?
第52回 言葉がなくても つたわるきもち
第51回 ままならない体で パンをもとめる
第50回 どこから行っても たどりつく月
第49回 良いも 悪いも 心しだい
第48回 自分の足元を しっかりと見る
第47回 夜空の月は ほんとうに浮かんでいるか?
第46回 じぶんに適した「立ち位置」を見つける
第45回 パンだけに頼らず 多くの選択肢を持つ
第44回 どんなにちいさくても 「活きる」場所がある
第43回 「今あるもの」を あらためて知る
第42回 つよく求めるほど こころはさわぐ
第41回 口コミにはない じぶんの体験
第40回 心しだいで 火もまた 涼し
第39回 雲のように 水のように 流れてみる
第38回 すべての不安は 現実をこねたもの
第37回 ことばにできない 感覚を大事に
第36回 食べてみなければ わからない
第35回 七夕の夜に かの人を思う
第34回 すべては さだめ
第33回 居場所に合わせて 心はうつろう
第32回 相手にあわせて 語り方をかえる
第31回 雨もまた ひとつの試練
第30回 しぜんのままに ゆるやかに
第29回 そこにいるだけで 助けになる
第28回 雨が降るから こむぎがそだつ
第27回 答えのありかは 「どちらか」ではない
第26回 うちかつべきは おのれのみ
第25回 片手ではくしゅして 枠を見つめる
第24回 語るべきことだけを ていねいに伝える
第23回 たいせつな日は いつですか?
第22回 さくらの季節と 一期一会
第21回 不安をとりだし こねて焼く
第20回 「正しさ」の向きを 観察する
第19回 目の前のご飯に しっかり向き合う
第18回 待つことも ひつようです
第17回 やすむことも 大切なしごと
第16回 身近なやさしさを たいせつに
第15回 分けへだてなく お茶をもてなす
第14回 かわらぬものなど ないのです
第13回 おいしいとわかる しあわせ
第12回 みえるものだけに とらわれない
第11回 まいにちが 「なにかびより」
第10回 この"まる"は 何にみえる?
第9回 こころもすっきり おおそうじ
第8回 "へいじょうしん"にこそ みちはあり
第7回 こだわりを すててみる
第6回 じぶんにあった「しょうじん」を
第5回 そなたのみちを ゆくのです
第4回 あらゆるものが、われわれの師
第3回 すべてはひとつにつながっている
第2回 かまどにとびこむ勇気
第1回 いつでもおいで

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