大きさ、水加減、焼く時間…
こねたものが、いろいろ試行錯誤しながら作られています。
料理をおいしく作るには、様々なものについて
適した分量を考えなくてはなりません。

ブッダも、修行の姿勢やものの考え方について、
適正な立ち位置を見極めることの大切さを発見しました。
これは「中道」と呼ばれ、仏教哲学の重要な教えのひとつになっています。

ブッダが悟りを目指そうとしたとき、当時多くの修行者が行っていた
「苦行」と言う方法を試みました。
苦行が流行っていたのは、命を落としかねないような苦しい状況に耐えることで
精神が研ぎすまされるとか、何事にも動じない境地に至った証明になると
考えられていたからです。

しかし、ブッダは苦しい状況に耐えることと、
悟りに至ることには何も関係がないということに気付きました。
「いかに苦しい事に耐えたか」という成果を出す事にこだわったり、
それを他人と競い合ったりして、悟りに至るという本来の目的を見失ってしまう
(関係のない所で余計な執着が生じてしまう)のです。
現代で言う「寝てない自慢」のようなものかもしれません。

修行に身を投じる前、一国の王子として
不自由のない生活も体験してきたブッダは、
楽すぎたり苦しすぎたりといった極端にとらわれず、
目的のために適した状態(中道)に身を置くことが重要だと考えました。
(「何事も程々に」とか、「とにかく真ん中や平均を取れ」と言うのとは
また違うニュアンスの言葉です。)

自分がやろうとしていること。
その目的のために、適した状態とはどんなものでしょうか?
とにかくひたすら寝ずに頑張らなければならない?
何の準備もしなくて大丈夫?

極端な発想に陥る前に、自分にあったやり方を見つけられるよう
試行を重ねていく必要がありそうです。



■こむぎこをこねたもの、とは?

■著者紹介

Jecy
イラストレーター。LINE Creators Marketにてオリジナルキャラクター「こむぎこをこねたもの」のLINEスタンプを発売し、人気を博す。「こむぎこをこねたもの その2」「こむぎこをこねたもの その3」もリリース。そのほか、メルヘン・ファンタジーから科学・哲学まで様々な題材を描き、個人サイトにて発表中。

「週刊こむぎ」は毎週水曜更新予定です。