理想的なアイデアを思いついたのに、実現する技術が追いつかない。
力作だと思っていた作品が、思ったほど評価を得られなかった。
欲しいと思っていたものが売り切れている。
スマホのゲームで目当てのキャラが出ない…など、
生きていると、ままならないことが沢山あります。

現代を生きる多くの人が日常の中で体験しているであろう、
求めているものが手に入らない「思いのままにならないこと」。
約2500年前に生まれた仏教の哲学でも、
人が抱える逃れがたい苦しみとして発見されました。
これは「求不得苦(ぐふとくく)」と呼ばれ、
「八苦」の中に数えられています。

何かを求める思いが強いほど、「手に入らない」という思いも
心の中に強く印象づけられるものです。
手に入れることができたとしても、次の何かに執着心が向いたり、
もっと多くのものを求めたりしてきりがない…
そんな経験をしたこともあるのではないでしょうか。

執着することがなければ、手に入らない苦しみを感じることもなくなる、
というのが仏教哲学の理屈です。
執着心が強くなるあまり、自分で自分の心をかき乱していると気付いたら、
「そこまで心をざわつかせるほど必要なものか?」
「そこまで執着心を燃やして手に入るものなのか?」と、
少し冷めた目線で物事を見るように心がけるのもひとつの手です。

一方で、強く求める気持ちが大きなエネルギーになることもあるはずです。
「手に入らない!」という思いの中でぐるぐると悩むより、
「手に入れるための方法・努力」に注目してみると良いでしょう。
そこに自分の進むべき方向や、自分を高めるカギが 見つかるかもしれません。



■こむぎこをこねたもの、とは?

■著者紹介

Jecy
イラストレーター。LINE Creators Marketにてオリジナルキャラクター「こむぎこをこねたもの」のLINEスタンプを発売し、人気を博す。「こむぎこをこねたもの その2」「こむぎこをこねたもの その3」もリリース。そのほか、メルヘン・ファンタジーから科学・哲学まで様々な題材を描き、個人サイトにて発表中。

「週刊こむぎ」は毎週水曜更新予定です。