ステレオグラムの書籍をゲット

「視力回復」でググるとヒットするサイトは、いまやレーシック (角膜屈折矯正手術) の紹介と治療器の販売を生業とするところばかり。どちらもそれなりの出費が必要なだけでなく、術後の合併症など多少のリスクを伴うことから、二の足を踏む人も多いはず。筆者もそのうちのひとりで、ここ数年で程度が進んだ近視をどうにかしたいとは思いながらも、多忙を理由に放置し続けてきてしまった。

そんなとき、ふと思い出したのが「ステレオグラム」。妙な絵を見続けていると立体的な画像が見えてくる、というアレだ。最近でこそ見かけなくなったが、数年前までは「目が良くなる」やら「視力が向上」やらのコピーが付いたステレオグラムの書籍が書店に平積みされていたっけ。少しは効果があるかも? リスクは少ないかも? ダメモトで試す価値はあるかも? と怒濤の勢いで脳内再評価が進行、思い立ったが吉日よとばかりに近所の書店へ駆け込んだ。

自分のEyeを守るため、ステレオグラムを凝視せん

今回購入したステレオグラム本。効果はともかく、すぐに飽きてしまうのが難点だ

購入した書籍は、「楽しく遊んでみるみる目が良くなるマジック・アイ」(ワニブックス/1,470円/ISBN4-8470-1389-1)と「決定版! どんどん目が良くなるマジカル・アイ」(宝島社/500円/ISBN4-7966-2750-2)の2冊。どちらも初版は7~8年前、現在も版を重ねているため入手は容易なはず。それから1カ月、残念ながら効果を体感する段階には至っていないが、とことん2Dなはずの絵を凝視すると3Dの絵が浮かびあがってくるのは面白い。というより、視力回復効果の有無よりもステレオグラムの原理そのものが面白い。というわけで、ステレオグラムの情報を求め彷徨うことと相成った次第。

そもそもステレオグラムとは

そもそもステレオグラムが視力回復に役立つとされる理由は、眼球そのものだけでなく脳内で画像を統合する「立体視」の改善も効果あり、とする学説に基づいている。自己流で要約すると、視覚は光を感知して脳に伝えるだけでなく、そこから得た情報を判断 / 分析する能力までも含めた総合的な能力であり、経路のいずれかの部分がバランスを崩すと視力低下が起こる、というものだ。

ステレオグラムには「平行法」 (左) と「交差法」 (右) の2とおりがある

さらにステレオグラムは、それを立体的に見ようとすることで眼球を取り巻く毛様体筋や動眼筋といった筋肉を動かし、本来の柔軟性を取り戻すことで視力回復を図るという。これまた勝手に要約すると、運動不足ゆえの機能不全に陥った眼球付近の筋肉をほぐし柔軟性を回復させる働きがステレオグラムにはある、というのだ。

ちなみにステレオグラムには、対象より遠くに焦点を合わせる「平行法」と、本来は左目で見るものを右目で、本来は右目で見るものを左目で眺めて結像させる「交差法」の2種類がある。一般的には交差法のほうが立体視しやすいようだが、個人差もあるらしい。しかも、平行法と交差法を交互に行ったほうが効果的だともいう。ステレオグラム本の購入を検討するのならば、とりあえずは両方の方式に沿った画像を収録した書籍を選ぶほうが無難だろう。

飽きが来ると思い出す、遙かなステレオグラム

日に二度三度と立体視訓練を結構した筆者だが、視力回復の手応えを感じる前に、難問に悩まされる仕儀と相成った。早い話が、飽きたのだ。美女のあられもない姿ならいざ知らず、ボールが立体的に見える程度の画像を毎日半時も見続けるなど笑止、他に時間を割いたほうがいい。

しかし、眺めるステレオグラムが差し変わるのなら話は別。自分好みの絵とは行かずとも、更新頻度をあげることさえできれば、退屈することもなかろう。

というわけで、ステレオグラム作成支援サイトの探索を開始。最初に探し当てたのが、任意の文字列をJavaScriptでステレオグラム化するという、こちらのサイトだ。使い方はかんたん、画面中ほどにある[>> Show Demo]をクリックし、空欄に適当な文字列を入力してから[Render]をクリックすればOK。カラーにするかB/Wにするかは、各自選んでいただきたい。

JavaScriptで瞬時にステレオグラムを作成。ただし長時間凝視するのは厳しいかも

ASCIIキャラクタは我慢ならぬという向きには、近藤和彦氏作のこちらがお勧め。インタラクティブ・ステレオグラムと題されたプログラムのうちの「StereoWord」を利用すれば、任意の文字列をピクセルベースでステレオグラム化した画像を楽しめる。ステレオグラムの原理に関する詳細な説明もあるので、それを凝視ならぬ熟読するのもまた一興だろう。

ピントをあわせるのが少々難しいが、入力した文字列が立体的に見えたその瞬間はオオーッ!と思うはず

さらにステレオグラムの深みを目指すというのならば、こちらのサイトを一瞥してほしい。デザインはピクセルベースではなくキャラクタベースだが、好みのデザインをアニメーション化することができる。映画「マトリックス」かAmigaのメガデモ「In a Wolrd of ASCII」か、という雰囲気だが面白さは格別だ。

画面を凝視すると、やがて飛び跳ねるボールが見えてくる。ボールのデザインを変更できるところがミソだ