子供に買い与える前に自分が試さねば

子供が4歳ともなると、玩具選びは難しくなる。子供目線で楽しいかどうか、有害な要素が含まれていないかどうか、教育的に役に立つかどうか。場所をとりすぎては困るし、なによりすぐ飽きられては困る。一方では望むものを買い与えたい親心、子供の意向も気になるところ。もう11月、クリスマスは目の前。玩具選びに悩む時期の到来だ。

ふと我が身を振り返れば、物心つく頃から玩具選びには堅固な指針があった。まず1つに、繰り返し遊べること。父親が猛烈に厳しい人間だったため、飽きて放り投げようものなら鉄拳制裁をくらうこと確実だったからだ。

もう1つは、1人遊びの要素が含まれていること。ヒーローの変身グッズなど、○○ごっこしなければ楽しめないものは3人兄弟男1人(字面的には矛盾してますな)の自分は持て余してしまう。あと1つは値段。3人兄弟ゆえバランスが重要、突出することは許されない。だから、ついラジコンを……いや、これは登録商標だからRadio Control、RC玩具と言うべきか。とにかくRC玩具は、飽きない・1人遊びOK・お手頃価格の3拍子が揃った、クリスマスプレゼントの定番だった。

空飛ぶチョロQ、大人もほしがる軽量RC飛行機「QSKY」(タカラトミー)

とはいえ、我が子は女の子。女の子にRC玩具。しかも4歳。いきなり買い与えるのはムリがあるので、まずは父親である自分が遊ぶ様子を見せようかと。そしていつの日か、共に遊びたいなあと。というわけで、以前から目を付けていた「QSKY」をいそいそと買いに出かけた次第。

500円玉と比べれば、大きさが想像できるはず

昨年購入した屋内指向のRCヘリ「HoneyBee」と並べてみました

か、軽い! 機体の重量は2.5g

パッケージには「対象年齢15才以上」の文言が

このQSKY、「Q」の字が示すとおりチョロQの流れをくむ製品。SKYすなわち空、いってしまえば空飛ぶチョロQであり、小型で・安く・屋内で遊べるという3拍子が揃ったRC玩具だ。ただし箱には「対象年齢15才以上」とあり、扱いの難しさが読み取れる。

箱を開けると、そこには重量約2.5g(!!)という軽量ボディが。組み立ては不要、単3×4本をプロポにセットし、プロポ経由で本体に充電するだけでフライトを楽しめる仕組み。ちなみに上昇/下降/左右旋回のフルファンクション対応で、上級ユーザともなればアクロバット飛行も可能らしい。

電源は単3×4本、機体の充電はプロポと接続して行う

QSKYのウリは、約30分の充電で5分間のフライトが可能なことと、離着陸できることの2点だ。同じタカラトミーから発売されている軽量RC飛行機「エアロソアラ」が、2007年夏のモデルチェンジで同等のスペックを実現した(それ以前は手動リリースで離着陸不可、フライト時間も最長30秒程度だった)ことを考えると、そちらのノウハウが生かされているのかもしれない。

充電には約30分必要、曲がらないようプロポの上に機体を置く

飛行させる場所だが、説明書には室内専用で最低3m×3mの広さが必要とある。約2.5gという超軽量ボディゆえ風に弱く、窓を閉め外気の流れを絶つことはもちろんエアコンも不可、まったくの無風状態が必要。プロポが発する赤外線信号の到達距離が約4mという仕様も含めると、庭先や公園で遊ぶことは難しい。

フルファンクションゆえの難しさはあるようだが、QSKYには「イージー」と「マスター」という2つの操作モードが用意されている。両者の違いはラダー操作ボタンを押したときの反応にあり、前者は信号が断続的に、後者は連続して送信される。結果としてイージーモードのほうが旋回半径は広くなるが、そのぶんきりもみ旋回で墜落しにくくなる。

ひょっとしてドンくさい人もお断り?

離着陸用の車輪もついてくる。これでタッチ & GOもばっちり!?

実際にQSKYで遊んだ感想だが、場所を選ぶ、という1点を最初に強調しておきたい。筆者がテスト環境に選んだ自宅のリビングは、横幅3.5m×奥行き7mという細長い空間だが、位置をよく考えてQSKYをリリースしないことには、旋回の途中で壁に激突してしまい、滞空時間を稼げない。

機体の調整も重要。できるかぎり重量を抑える必要があったためか、発砲スチロール製の機体は曲がりやすく、傾いた状態でしばらく放置しておくだけでも主翼・尾翼に影響がでてくる。筆者の場合も、なんどとなく垂直尾翼に軽く触れて(押すと壊れる)微調整を繰り返すことで、ようやく意図した方向へ飛ぶようになった。

それにしても、QSKYを思い通りに飛ばすことは難しい。対象年齢15才以上という断り書きはあながち伊達ではなく、かぎりないトライ & エラーに耐えうる忍耐力が必要だろう。

個人的な希望だが、機体のスピードをもう少し落とすことはできないのだろうか? スピードを落とすと機体も落ちるという道理はわかるが、歳をとるとドンくさくなり、QSKYを操ろうにもこちらの反射神経がついて行かないのだ。子供の前で器用におもちゃを操るという父親のささやかな願い、どうか叶いますように。

動画

QSKYを旋回させてみました(m4v形式、要QuickTime Player)

○タカラトミー「QSKY」
機能 ★★
価格 ★★★★
楽しさ ★★★★★
怪しさ ★★
衝動買い ★★★★★
TOTAL ★★★★