ワンセグは、"Macでテレビ"に朗報だ

初代iPod miniを彷彿とさせるパッケージの「PCTV-hiwasa mini」

なぜか相性が悪かったMacと日本のテレビ放送。PC用にはテレビチューナーはもちろん、ゴーストリデューサや3D Y/C分離など高画質化回路を備えたキャプチャカードが豊富に出揃い、しかも1万円を切る価格はザラ。Canopus MTVシリーズなどの人気製品が次々リリースされる様を、うらやましく眺めていたMacユーザは少なくないはずだ。

もちろんMac用にもテレビチューナーは発売されていたが、PCIスロットを備える機種が限定されるという事情からか、弁当箱か筆箱かという大きさのチューナーボックスをFireWire / USB 2.0で接続する、というスタイルを余儀なくされた。多少はスタイリッシュな機種も発売されたが、本体に内蔵できるPC用とは異なり、チューナーでござい、キャプチャボックスでござい、という自己主張の強い外観の製品が多かったと記憶している。

そして時は流れ、いまやデジタル放送の時代。2006年春には地上デジタル放送の一種「ワンセグ」がサービス開始、解像度は320×240もしくは320×180と控え気味ながら、ゴーストもノイズもないクリアな映像を移動中に楽しめるようになった。やがてPC向けにはコンパクトなワンセグチューナーが続々リリース、ちょっとしたヒット商品となり、今年に入ってからはMac用にも数モデルが発売。売れ行きも上々のようだ。

だが、しかし。PC用との部品の共有化によるコストダウンを図ったためか、Macで使うにはいかがなものか、というデザインの製品が見受けられる。これでは、いかにも私はワンセグチューナーでテレビ見ますよ、と主張している感じでイタダけない。そこに当コラム第2回で取り上げた「PCTV-hiwasa」リニューアルの報あり、とても垢抜けたらしいとの話なので、ここに再登場願う次第。

2代目iPod shuffleより高さはあるが……

2代目iPod shuffleよりも薄い

外部アンテナを接続可能

今度のPCTV-hiwasaは"mini"を名乗り、ボディサイズは一気に小型化された。ボディカラーも、初代iPod shuffleチックな白に変更されている。正直なところ、初代PCTV-hiwasaは"PC用のワンセグチューナにMac用ソフトもお付けします"的なテイストを感じたが、今度のminiは"プラットフォームニュートラルなデザインにMacとWin両方のソフトを用意しました"という印象。これなら、MacとWinどちらのユーザも歓迎だろう。

miniのボディサイズだが、初代の86.3(W)×32.7(D)×14.4(H)mmに比べ幅と厚さは約半分、高さも3割減の60(W)×18(D)×7(H)mm。重量も17gから8g(アンテナ非装着時)に半減、ワイシャツの胸ポケットに入れても垂れ下がらないほど。

アンテナが着脱式に変更されたこともポイント。最長14cmの4段型ロッドアンテナは前モデル同様だが、これを取り外し、付属の外部アンテナを装着すれば、受信感度は大幅アップする。テレビを見るとき、わざわざ窓際まで移動する必要がなくなるのは、かなり高得点だといえる。

ロッドアンテナは取り外し可能

このように外部アンテナを装着すれば、受信性能は一気に高まる

受信状況モニター機能も用意されている

ただし要求されるハードウェアスペックは同等で、Intel Mac全機種とPowerPC搭載Mac G4 / G5 1.6GHz以上が推奨環境。それ以下のスペックでも動作しないことはないが、受信とH.264/MPEG-4 AVC Baseline Profileのデコードを1台で処理するには非力なため、後述するリモートアクセス機能の登場と相成る。

iBook G4 800MHzでワンセグ!!

カラーリングやボディサイズの変更も大きいが、付属の受信ソフト「OneTV」に追加された「リモートアクセス機能」も見逃せない。2台のMac(うち1台はハードウェアスペックを満たすマシン)があれば、PCTV-hiwasa miniを接続したMacが電波の受信を担当するサーバ、もう1台のMacがデコードと画面表示を行うクライアントとして動作する。負荷を分散させることにより、非力なマシンでもワンセグを視聴可能にするという便利な新機能だ。

PCTV-hiwasa miniを刺した側でリモートアクセスを許可すれば、他のMacでもワンセグを楽しめる

サーバはBonjourの働きで自動検出、選択するだけで接続できる

使い方はかんたん、サーバ側の環境設定パネルでリモートアクセスを許可し、クライアント側でサーバに接続する操作を行えばOK。ただし、8280番ポートを使用するため、ファイアウォール機能を有効にしている場合は、サーバ/クライアントともポート設定を変更しなければならないことには要注意。詳しくは、開発元のWebサイトを参照していただきたい。

試しに、PCTV-hiwasa miniを接続したPowerMac G5 2.0GHz×2をサーバに、iBook G4 800MHzをクライアントに使用してみたところ、前述のポート設定でしばし戸惑ったことを除けば、まったくの無問題。フレーム落ちすることもなく、映像と音声の同期がズレることもなく、ワンセグの番組を楽しめた。

iBook G4 800MHzという非力なマシンでもワンセグを視聴できた

AirMacで楽しめるかどうかだが、こちらも問題なし。AirMac Extremeを搭載したiBook G4 800MHzを、アクセスポイントから6mほど離れた場所に設置してしばらく視聴してみたが、フレーム落ちすることなく楽しめた。現在のワンセグ放送のビットレートは約416kbpsということを考慮すると、電波状態が安定していれば、IEEE 802.11bのAirMacでもイケるかもしれない。

PCTV-hiwasa miniは、Apple Remoteを利用したチャンネル操作、iEPGによる番組予約など機能は豊富だが、やはりリモートアクセス機能こそが複数台所有は珍しくないMacユーザにアピールするはず。それで税込13,800円也という価格は手頃と考えるが、いかに。

EPGを使った録画予約もOK。このほかに、iEPGを利用した予約も可能

○ログファーム「PCTV-hiwasa mini」
機能 ★★★★★
価格 ★★★★
楽しさ ★★★★
怪しさ
衝動買い ★★★★
TOTAL ★★★★