ソファーに寝ころぶや動画を見つつ

第5世代iPodがApple TVになる? 「iLuv-i185WHT」

一昔前、動画再生機能を持つKOMONOは憧れだった。それが一般化し始めたのはつい先頃、PSPや5G iPodが登場してからのこと。携帯電話をピコピコ打つ姿に加え、手元を凝視する姿を電車内で見かけるようになったのも、それら動画KOMONOが普及してからの話だ。筆者の場合、iTunes上にサウンド & ビデオライブラリを構築している関係上、5G iPodがメインの動画KOMONOとなっている。

しかし、動画はそうそう毎日見るものでもない。ソファーに寝ころび酒を飲みつつ、弛んだ格好でダラりと見たいもの。来る日も来る日も小さな画面にヘッドフォンでは飽きてしまう、ときには大きめの画面にステレオスピーカーで楽しみたいものなのだ。

そこで検討したのが、iPodと動画データを共有できる"居間向け"デバイス。Apple TVはそのものズバりだが、3万円台で据置型という性質はKOMONOの範疇を超えている。1万円台で適当なものは……と物色したところ、IMJが「iLuv-i185WHT」を発表。5G iPodの動画と音楽を再生でき実売価格は1万5千円アンダー、とまさに打ってつけ。渡りに船とばかり飛びつき、今回ここに紹介させていただく次第。

このようにDockとして利用できる

背面にビデオ/オーディオ出力はあるが、Dockコネクタはない

テレビで操作している間は、iPodにこのような画面が表示される

わけいってもわけいっても青い画面

iLuv-i185WHTは、1辺が11cm / 高さが2.7cmの小型弁当箱サイズ。テレビとの接続にはS-Video / RCAケーブルを使用、5Vの電源はACアダプタ経由で調達する。iPodとの接続は、本体上部の5G iPod専用Dockアダプタに載せるだけでOK。これで電源を投入すれば、テレビに操作画面が現れる。

操作は付属のリモコンを利用する。サイズはiPod nanoとほぼ同じ、ホイールこそないもののボタンの数が14と絞り込まれていることもあり、迷わず操作できる。上下のボタンや[MENU]、[SELECT]といったボタンの扱いにも、すぐ慣れるはず。

操作画面はiLuv-i185WHT独自のものだが、メニュー構成はiPodやApple TVによく似ている。トップメニューに表示されている項目は「ミュージック」と「ビデオ」、「設定」と「曲をシャッフル」の4つ(音楽再生中は「再生中」が現れる)、カレンダーやメモを表示する機能(エクストラ)は未実装だが、居間のテレビにカレンダーを拡大表示したところで意味があるとも思えないため、支障にはならないだろう。

付属のリモコン。iPod nanoより少し小さめ

iLuv-i185WHTのトップメニュー。写真の表示はiPod画面モードに変更しなければならない

イコライザの設定やサウンドチェックのON/OFFなども変更可能

まつすぐに写真が見られなくてさみしい

音楽再生機能に関しては、レートの設定 / 確認とOn-The-Goが利用できないことを除き、5G iPodとほぼ同じ。シャッフル / リピート再生はもちろん、アーティスト名やアルバム名を基準とした並べ替え、イコライザの調整やサウンドチェックのON / OFFなど、5G iPodと変わらない機能を利用できる。再生開始から表示まで約20秒かかるうえ、Apple TVのようにパラパラめくれる"ベストヒットUSA状態"ではないが、アートワークの表示もOK。歌詞も表示できるので、実行に移すかどうかは別として、カラオケ的な使い方も可能だ。

動画のデコードは5G iPod側で行われるため、iTunesから転送を許された(5G iPodで再生可能な)ファイルであれば、特に問題なく再生できる。巻き戻し / 早送りボタンを2秒以上長押しすると、画面下部にサーチバーが現れ、巻き戻し / 早送りも実行可能だ。

動画の再生品質は、iPod / Universal Dockからテレビ出力したときと同様、まあ許せるかな、というレベル。筆者宅の液晶テレビの解像度は1,366×768ピクセルで、640×480でエンコードされた5G iPodの動画はエッジが"甘く"表示されてしまうが、テスト素材がDVD-Videoをソースにした動画ということもあり、地アナで録画したテレビ番組よりは満足できた。HDMIポートを装備するApple TVと比べると、S端子のみのiLuv-i185WHTはスペック的に見劣りしてしまうが、640×480の動画に限っては気になるほどの差は感じられなかった。

写真の表示はといえば、正直納得できない。リモコンの[MODE]ボタンを押してiPod画面モードに切り替えたうえで、iPodの液晶を見ながら操作しなければならないからだ。iLuv-i185WHTのトップメニューには「写真」が現れないので、もしや写真表示機能は未実装か、と早合点することなかれ。大きな液晶テレビを目の前に、iPodの小さな画面で確認しながら写真を選ぶ作業はかなりの違和感があるが、確かに写真は表示できる。iPod側の仕様とのことだが、できれば、ファームウェアのアップデートなどで対応してほしいところだ……。

同様のコンセプトを持つKOMONOには、12,500円(アップルストア価格)で販売されているApple純正「iPod AV Connection Kit」があるが、テレビ出力されるメニュー画面を備えたiLuv-i185WHTのほうが操作性に優れ、製品のノリとしてはApple TVに近い。Universal Dockより大きくApple TVより小さいという本体同様、機能的にはiPod AV Connection Kit以上Apple TV未満、しかしプライシングはiPod AV Connection Kitと同程度、というところがiLuv-i185WHTの良さだといえる。写真の閲覧が不便なことに目をつむれば、それなりに満足できるお勧めの一品だ。

音楽再生中はこのような画面が表示される

歌詞も表示できるので、カラオケにも使える?

もちろん動画の再生もOK

○IMJ「iLuv-i185WHT」
機能 ★★★
価格 ★★★★
楽しさ ★★★
怪しさ ★★
衝動買い ★★★★
TOTAL ★★★