100%……OEMかもね!

これで電池切れを心配する必要はなくなる

ワイヤレスマウスで困るのが「電源」。電池式の場合、充電池を複数セット用意しておき、なくなり次第交換するという手はあるが、肝心なときにかぎって電池が切れるのが難点。Webをブラウジング中という程度ならまだしも、微妙なフォトレタッチ作業の最中だったり、株のオンライントレードでまさに決済しようとするところだったりすると、目も当てられない。いまさらケーブル絡まる"有線マウス"に戻れぬ身、電源の問題は悩ましいかぎりだ。

そこで検討したのが、給電の必要がない「バッテリーフリーワイヤレスマウス」。電池も必要なければ充電の必要もなし、ただ専用のマウスパッド上で滑らせるだけで、ワイヤレスマウスとして使えるというありがたい機能を持つ。先日、KOMONOの国内大手サンワサプライから同タイプの新製品「MA-WHNB2S」がアナウンス、価格も3千円台前半と手頃だったこともあり、ちょうどいい機会と購入に踏み切った次第。

このように専用マウスパッド上で滑らせるだけで給電される

ホイールの左上には[2X]ボタンが配置されている

ちなみにこの製品、調べたところ台湾A4TechのOEM。同社の日本における知名度は今ひとつだが、マウスやキーボードなどのポインティングデバイスに強みを持つ、ダブルホイールマウスなどの斬新な発想の製品で知られる著名企業だ。バッテリーフリーマウスの製品化にいち早く踏み切ったのも、このA4Tech。秋葉原あたりでは、同社製バッテリーフリーワイヤレスマウスが2千円前後で販売されていることもあるので、そのような格安品を探すのもまた一興だろう。

Mac OS Xのシステムプロファイラで、製造元がA4Techであることを確認

ないないない、電池がない

MA-WHNB2Sのマウスがバッテリを必要としない秘密は、給電技術「リニアカップリング」にある。内蔵の光学式センサーは、動作にあたり当然ながら電力を必要とするが、その電力はパッド側から供給される。マウスとパッドの両方にはコイルが内蔵され、一方に電流を流した状態で両者を近づけると磁界が変化し、もう一方にも電流が流れる仕組み。すでに電気シェーバーなど家電では採用が進んでいる技術だが、PC系ではおそらくマウスしか採用事例がないはずだ。

このように近づけるだけで給電できる「リニアカップリング」を採用

筆者の家にも同技術を採用したコードレス電話があるため、リニアカップリングはまったくの初体験というわけではない。しかし、MA-WHNB2Sがプラスドライバ1本で簡単にバラせる構造だったので、その内部をのぞいてみることにした。

カバーを外すと、最初に目に飛び込んでくるのは赤銅色のコイル。基盤下をぐるりと囲むことで、効率よく電力を調達する仕組みのようだ。基盤は逆さにするとポロリと外れ、コイルと接続する部分についても確認できた。

マウス内部の様子。カバーは簡単に外れるので掃除には便利かも

このようにグルグル巻かれたコイルから電力が調達される

給電されているかどうかは、センサー部分が赤く点灯することで確認できる。マウスパッド上をごく普通に滑らせるだけで給電されるため、操作に関する特別な配慮は不要。リニアカップリングは非接触方式の給電技術であり、マウスパッド上を電流が流れているわけではないため、感電することはない。それなりの磁力を発しているのでクレジットカードの類を近づけることは厳禁だが、それさえ守れば"充電不要 & ワイヤレス"という無敵の組み合わせが実現できる。

マウスの操作中は緑色のランプが点灯する(赤は電源供給中であることを示す)

ないないない、ドライバがない

このMA-WHNB2Sは、昨年発売されたMA-WHNBSの後継に位置づけられる製品。ワンクリックでダブルクリックできる[2X]ボタンがホイール左上に追加されたほか、光学センサーの分解能は620カウント/inchから800カウント/inchに向上、より小さな手の動きでカーソルの移動が可能になった。

肝心のポインティングデバイスとしての操作感だが、及第点といったところ。電池を使わないぶん軽く、スイスイ動かせることは長所ともいえるが、マウス裏面に貼り付けられている4つの接地部分(ソール)がツルツルしているため、滑り具合がよすぎる印象。使い込んで適度にホコリが付着すればいいのかもしれないが、慣れるまでは軌跡の速さの微調整が必要と思われる。

Windows XPとMac OS X 10.4.9(PowerPC/Intel)で試してみたが、どちらのOSもドライバは不要。マウスパッドのUSB端子をポートに差し込むだけで、一般的なUSBホイールマウスとして認識される。メーカーからドライバは提供されないため、カスタマイズ性は期待しないほうがいいが、ホイールの押し下げは第3ボタンとして認識されるので、それなりの対処が可能だ。

WindowsではHID準拠のマウスとして認識された

ホイールの押し下げは第3ボタンとして認識される

Mac OS Xを例にすると、システム環境設定の「Dashboard と Expose」ペインを利用できる。キーボードとマウスのショートカット欄で、すべてのウインドウやDashbordなど対応する機能に「マウスボタン3」を割り当てればOK。ただし[2X]ボタンは左ボタンの2回クリックと認識されてしまい、現状ではカスタマイズ不可。A4Techが提供するドライバは現状PowerPCバイナリオンリーなうえ、製品IDを検出して対象外のモデルでは動作させない仕組みのため、こちらも期待薄。カスタマイズ法の確立にはしばらく時間がかかりそうだ。

○サンワサプライ
「バッテリーフリーワイヤレスマウス」
機能 ★★★★
価格 ★★★★★
楽しさ ★★
怪しさ ★★★
衝動買い ★★★★★
TOTAL ★★★★