【コラム】

KOMONO道

3 三の巻: 切れ味や如何に? 噂の新Xacti「DMX-HD2」を試し斬り

    海上忍  [2007/02/26]

    三洋電機といえば、昨今は携帯電話や二次電池で有名。年配者なら白物家電、野球好きならオールスターゲーム、往年の8ビット"マイコン"野郎ならMSXを思い出す……はず。しかし、OEM受託分を含めるとデジタルカメラ分野で高シェアを誇ることは意外に知られてない。ちなみに、デジカメと動画デジカメ、ムービーデジカメは同社の登録商標だ。

    今回取り上げる「DMX-HD2」(以下、新Xacti)は、HD品質の動画を手のひらサイズで実現したムービーカメラ。2003年に発売されたDMX-C1に始まるXactiシリーズの製品にして、民生用HD対応機では世界最小・最軽量(2月7日時点)という三洋電機の意欲作だ。3月中旬の発売を前に、試作機を利用させていただく機会に恵まれたため、これ幸いと当コラムにて紹介する次第。実際の製品では仕様が変更される可能性がある点、あらかじめ了解いただきたい。

    コンパクトながらHD対応、画質も向上した新しいXactiを試す

    セミハードケースも付属する

    充電やTVへの出力は、このようにベースステーションに載せるだけでOK

    手のひらサイズに機能を凝縮

    新Xactiは手のひらに無理なく収まり、重さも210gと軽量級。しかし撮像素子には約738万画素原色CCDを搭載、ムービーの解像度は最大1280x720ピクセル / 30fps、大容量SDHCメモリカードを利用すればHD品質で1時間超の連続撮影も可という充実ぶり。

    4GB以上のSDHCカードを利用すれば、最高画質で約1時間の連続撮影が可能

    この新Xacti、OSという"使い手"を選ばない。動画フォーマットはMPEG-4(音声はAAC/48kHz)、QuickTime 7.1があればそのまま再生でき、iTunesでも管理可能。画面サイズさえ合えば、再エンコードなしにiPodへ転送することも。HD品質のムービーファイルはSD / SDHCメモリカードに記録されるため、MacでもWindowsでも特別なドライバは必要なし。VLCなどの再生ソフトを用意すれば、LinuxやFreeBSDでも利用できるはずだ。

    撮影したムービーはiTunesで管理可能

    ベースステーションには、新たにHDMI端子が追加された。前モデル(DMX-HD1A)と同様、コンポーネント(D4)やSビデオ / コンポジットでの出力も可能だが、音声も含めてケーブル1本で済むHDMIのほうが手軽なうえ、フルデジタルの恩恵もある。デザインがどうとか軟弱な話は抜きにして、ザッと撮ってズバッと見るには痛快至極な出来といえる。

    ベースステーションにはHDMI端子が追加された

    電源ボタンは液晶パネル下に配置。ON/OFFに備え、ベースステーションに載せるときにはパネルを跳ね上げておかねばならぬ

    接続アダプターの「HD」という文字も気が利いている?

    ゆめゆめ静止画を忘れることなかれ

    肝心の画質だが、スナップショットムービーとしては十分満足できるレベル。デフォルトの撮影モード(HD-HQ、1280x720p / 30fps / 6Mbps)で試したかぎりでは発色も自然な印象、ある程度のモスキートノイズは予想の範囲内として、懸念していたブロックノイズはさほど気にならず。32インチの液晶テレビにHDMI接続して鑑賞したところ、絵の繊細さではDVムービーより断然上、"ハレ"はともかく"ケ"の映像ならば納得だ。

    ムービーはリンクからダウンロードしてください

    Ashinoko.zip - Ashinoko.MP4
    サンプル1 HD-HQ(1280x720p / 30fps / 6Mbps)モードで撮影、未編集。ファイルサイズは約21.9MB

    しかし搭載されるCCDが1/2.5型と狭いためか、ダイナミックレンジは決して広くなく、明るい / 暗い部分のディテールの描写は不得手な傾向がある。木々の輪郭や枝葉の部分はぼうっとした印象で、今ひとつ繊細さに欠ける。最高の撮影モード(HD-SHQ、1280x720p / 30fps / 9Mbps)を選択すると改善は見られるが、水仙の花が白飛び気味なことに変わりはなく、肉眼ではサラサラに見える毛髪もベタっとした感じ。

    ムービーはリンクからダウンロードしてください

    Narcissus.zip - Narcissus.mov
    サンプル2 HD-SHQモード(1280x720p / 30fps / 9Mbps)で撮影、音声を除去したうえQuickTime Pro 7から一部を切り出し。ファイルサイズは22.6MB

    忘れまじきは、静止画撮影機能。サイズは最大3680x2760だが、HD-HQ / HD-SHQと同じワイド写真モード(3072x1728)を用意、ハイビジョンムービーと連続再生しても違和感がないよう工夫されている。感度は最高ISO1600と、コンパクトデジカメとして見てもなかなか。新搭載「プラチナエンジンII」の働きにより、動画と平行して静止画を撮影できることも利点といえる。

    "本差"というより"脇差"として最適?

    動画機能を中心に試したこの新Xacti、個人的には"チョイ撮り用途"目当ての購入が上策と得心した。ファイルサイズが最大4GBというSDHCメモリカードを用意すれば、最長で約57分(HD-SHQ適用時)の連続撮影も可能、バッテリの問題を解決すれば遠足や運動会等の催事の用にも能うべし。メインの"本差"として切れ味鋭い画質を追求するのではなく、いつでも気軽に持ち歩ける"脇差"として使うが吉だろう。

    されど、9万円前後という推定市場価格はやはり"大物"。仮に1万円以下がKOMONOと定義すれば9回分、すなわち9度もKOMONOの衝動買いを耐えねばならぬ。新Xactiは、徒然なるままに、怪しいモノこそ狂おしく欲す己の懐具合が決め手のKOMONOと見定めたが、いかがか。

    フォルダには動画と静止画が渾然一体となって記録される

    Windows Vistaに搭載された新しいデータ転送技術「MTP」にも対応している(再生のみ)

    ○三洋電機 DMX-HD2
    機能 ★★★★★
    価格 ★★
    楽しさ ★★★★
    怪しさ
    衝動買い ★★
    TOTAL ★★★★

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