26日に発売された「SH905i」「D905i」を皮切りに、905iシリーズ7機種が矢継ぎ早に発売される。この新機種に搭載されている注目のアプリが「地図アプリ」だ。従来、ドコモのGPS対応ケータイには、「ナビタイム」か「ゼンリン地図+ナビ」がプリインストールされていた。あえて統一のアプリを開発した理由や、新アプリならではの魅力を、ドコモのサービス担当者に聞いた。

"ナビゲーション"の一歩手前から始める"地図"サービス

「地図アプリ」とは、905iシリーズにプリインストールされる新たなアプリのこと。地図やナビゲーション、乗換案内などが統合されたサービスで、ドコモが地図情報サービスで定評のあるゼンリンデータコムと共同で開発した。

対応機種は905iシリーズ全機種となる。また、年内には、903iシリーズ以降のメガiアプリ対応機種でもダウンロードができるようになる予定だ。年明けから順次発売される705iシリーズの一部にも対応している。

今回の話を伺った、NTTドコモ プロダクト&サービス本部 マルチメディアサービス部 コミュニケーションサービス企画担当の山田俊之氏(左)、同担当の日高俊輔氏

競合するauでは、「EZナビウォーク」をほとんど全機種に搭載している。EZナビウォークは、KDDIとナビタイムが協業して開発しているサービスで、歩行者ナビの先駆け的な存在だ。

では、なぜドコモのサービスは"地図"アプリなのか。同社プロダクト&サービス本部 マルチメディアサービス部 コミュニケーションサービス企画担当の山田俊之氏は、あえて"ナビゲーション"を全面に押し出さなかった理由を、次のように説明する。

「ナビゲーションサービスは、903iシリーズ以降、ゼンリンさんやナビタイムさんが提供していましたが、なかなかユーザーがナビをするところまでいきません。その一歩前に、"地図を見る"というニーズがあるのではないかと考え、サービス名もあえて『地図アプリ』にしています」

もちろん、地図の閲覧をきっかけに、付随するサービスを使いこんでもらいたいという狙いもある。あえて905iシリーズから提供を開始したのも、まずは地図サービスに慣れ親しんでもらいたいという思いがあったからだ。

「地図アプリが広がった上でナビやグルメ検索を使ってもらえれば、と考えています。905iシリーズから(全機種が)ワイドVGAディスプレイになりましたから、リッチな地図を見ることができます。コンテンツではなく、"当たり前の存在"として地図を使ってもらいたいですね」(山田氏)

ワイドVGAディスプレイを標準搭載している905iシリーズでは、地図の表示も高精細で情報の密度が高い。FOMAハイスピードにも対応しているため、サーバとのやり取りもスムーズだ

分かりやすいメニューや豊富なデータベースで、地図の価値を上げる

実際にアプリを起動してみると、従来ドコモで利用できたナビゲーションサービスに比べ、文字が大きく、目的の項目も非常に探しやすい。

メニューを開くと「今いる場所」「周辺を調べる」「地図を見る」「ナビをする」「乗換案内」といった項目が並んでおり、「今いる場所」にカーソルを合わせると、「メールを送る」「地図を見る」「足あとを見る」が現れるというように、何ができるかが一目瞭然だ。分かりやすいメニュー構成は、ドコモが特に力を入れた部分だという。

「今までのナビゲーションサービスは、"何ができるのか"ということが分かりにくかったので、メニューの構造をガラッと変えています。もちろん、ゼンリンさんも地図に関しては相当なこだわりがあるので、『今まで地図を使っていない人にも使ってもらえるインタフェースとはどのようなものか』というディスカッションを重ねていきました」(山田氏)

メニューの文字が大きく、どこにどんな機能があるのかが分かりやすい。ケータイ初心者でも、迷うことなく使いこなせるだろう

周辺検索のデータベースも充実しており、フリーワードで検索できるほか、8つのジャンルから目的の施設などを探せるようになっている。また、店舗情報の「ホットペッパー」やケータイクレジットのiDなど、提携企業やドコモ自身のサービスと連携しているのも、地図アプリの特徴だ。

「リクルートさんと協業して、アプリから『グルメbyホットペッパー』対応店舗を検索できるようにしています。今後はトルカ対応店舗なども調べられるようにしていきたいですね。DCMXを使えるお店を検索して、そこまでナビゲーションするという使い方もできます」(同担当 日高俊輔氏)

持ち合わせが少ないときなどでも、iD対応店舗であれば支払いには困らない。iDが利用できるお店が意外と多いということも分かるため、「一度使ってみるか」という気にもなるはずだ。

「グルメbyホットペッパー」を利用できるお店や、iD対応店舗、ドコモショップなどを検索することができる。持ち合わせの少ない時などは、積極的にiDを活用したいところだ

このほかにも、「乗換案内がスケジューラーと連携していたり、お店の番号をボタンひとつで電話帳に登録できたりと、ケータイのネイティブな機能とも連携しています」(日高氏)というように、細かな使い勝手も考え抜かれている。地図の4方向に地名が表示されるのも、初心者に優しい配慮といえるだろう。905iシリーズの一部機種では、音声での検索にも対応している。

Javaの機能をフルに活かし、ケータイのネイティブアプリと連携できる。気に入ったお店を電話帳に登録したり、乗換案内の時刻をスケジューラーに入れたりと、ケータイならではの利便性を体験してみよう

このように、基本機能を大幅に強化した地図アプリだが、それは、ナビゲーションに関しても同じだ。次回は、ナビゲーション機能を中心に、地図アプリの魅力に迫っていきたい。