連載コラム『あなたの家計簿見せて! "給料減少時代"の家計診断』では、相談者のプロフィールと実際の家計簿をもとに、5人のFPが順番に、相談者の家計に関する悩みについての解決策をアドバイスします。


【相談内容】
毎月なぜか余裕がなく、ギリギリのやりくりになってしまいます。来春子どもが生まれる予定なのですが、来年の2014年4月からの消費税が8%に上がるので、今の生活レベルを維持できるかどうかが心配です。家計の中で見直せるところを見直していきたいと思っていますが、どうしたらいいでしょうか? アドバイスをお願いします。

相談者プロフィール

相談者の家計状況


【プロからの回答です】

  • 2014年4月から消費税が8%に、さらに2015年10月からは10%に上がる予定です。今後の経済状況によっては、10%の導入時期は延期されるかもしれませんが、社会保障費の増大を考えるといずれアップすることは避けられません。そこで今後消費税が10%になることを視野にいれて家計を考えていきましょう。

(※詳細は以下をご覧ください)


消費税5%アップで月14,000円の負担増に

現在5%の消費税が10%になると、滝本様の場合14,000円支出が増えることになります。今後お給料が上がらなければ、どこかの費用を削るか貯金を取り崩していくしかありません。貯金の取り崩しは、最後の手段ですので、まずは家計を見直していきましょう。

ムダなものを削る家計の見直し

まずは住居費です。賃貸マンションとのことですが、お給料に見合った金額でしょうか。一般的に適切な住居費は、お給料の20~25%と言われています。滝本様は、お子様がいないのでお給料の20%である56,000円が妥当かと思います。実は、毎月貯金ができない大きな原因がこの住居費なのです。住居はマイホームでも賃貸でも物件から選ぶ人が多いのですが、ここはお給料で無理なく支払える金額から選ぶべきでしょう。とはいっても、今すぐ引っ越しというのは大変です。そこで住居費が削れないのであれば、やはり何かをあきらめるしかありません。それは車です。車の駐車場代、諸費用で年間44万円も使っています。もし交通の便がよいところにお住まいであれば、思い切って車を手放してみませんか。ドライブ等で遠出をする時には安く借りられるレンタカーを利用しましょう。

また、光熱費がご夫婦2人にしては少し高い気がします。電気代が高いのではないでしょうか。エアコンを何も考えずにガンガン使っていると電気代が高くなります。ムダなエアコンは使わないようにし、扇風機やスト―プ、あんか等工夫をしてください。これで月5,000円は安くなるはずです。他は、ご主人のお小遣いも含めて見直しすべき金額はありませんので、このままでいいかと思います。

保険については、ご主人がこくみん共済に加入されています。保険料も安く使い勝手がいい商品ですので、保険に加入されていない奥様が保険を考える場合、病気がメインのこくみん共済に奥様も加入してもいいかもしれません。

これで光熱費+駐車場の見直しで月25,000円支出を抑えることができますので、消費税がアップしても安心です。さらには1万円貯金ができます。

教育費について

教育費ですが、お子様が生まれると同時に学資保険(郵便局)、子ども保険(保険会社)に加入される方が多いようです。しかし、低金利の現在、学資保険は満期金が払込金額よりも低いという逆転現象が起きています。子ども保険は、期間を考えるととても低い金利です。別途高額の死亡保障のついた保険に加入されている方は、保険の機能は必要ありませんので、学資保険等はお勧めしません。しかし滝本様は、死亡保険金としてこくみん共済の50万円だけですので、保障をもう少し上乗せする意味では、学資保険、子ども保険に加入するのもいいかもしれません。ただし、何度も繰り返しますが、貯金という意味ではありませんので、注意をしてください。

財形貯蓄でお金を貯める

会社員であれば、財形と呼ばれている勤労者財産形成貯蓄制度を利用することをお勧めします。財形貯蓄制度は、一般、住宅、年金と3種類あり、会社員等が勤務先を通して給与天引きで積み立て貯蓄をする仕組みで、一定の要件を満たした場合に非課税枠がある点や融資制度がある点が特徴です。この財形貯蓄は勤務先が金融機関と契約を結んでいないと利用できませんので、一度勤務先に問い合わせをするとよいでしょう。教育費を貯める方法は、先ほどの学資保険等の他にこの財形制度を利用する方法もあります。勤務先によっては、一般財形貯蓄を子どもの教育費にあてた場合、一定の財形活用給付金が支給されたり、財形教育融資が受けられるケースもあります。

消費税アップに負けない家計

滝本様は、ボーナスから車の費用で年間20万円支出していましたので、車をやめることにより月2万円を財形で貯金することができます。また、ボーナスを活用しての旅行は、ぜひこれからも続けてください。人生お金は貯めるだけではなく有効に活用すべきです。日常のエネルギーをチャージするためにも、リフレッシュは必要です。ただし、年間○○万円以内と決めて、お子様が増えてもその範囲内で旅行を楽しんでください。

そしてボーナスから旅行費用を引いた残りを貯金します。財形で月2万円、そして学資保険(子ども保険)で月1万円、さらにボーナスで50万円貯めます。

  • 3万円×12カ月×20年=720万円

  • 50万円×20年=1,000万円

上記のように、利息を含めて考えると20年間で約2,000万円近くになります。1人1,000万円かかると言われるお子様の教育資金として2人分まかなえる金額です。お子様が大きくなり、奥様も働くようになれば、別途老後に向けた貯金もできるかと思います。

家計を見直した結果、消費税アップに負けずに今の暮らしを続け、たまの旅行でリフレッシュし、生まれてくるお子様のための教育資金も確保できます。不安のない明るい家庭を築いている滝本様の笑顔が見えてくるでしょう。

<著者プロフィール>

(株)プラチナ・コンシェルジュ ファイナンシャルプランナー、社会保険労務士 菅田芳恵

大学卒業後、証券会社・銀行・生保・コンサルティング会社に勤務。49歳から2年間で7つの資格を取得し独立。様々な資格を活かして多面的に話をすることが得意。資産運用、家計管理、ライフプラン、キャリア形成、年金、心の健康についてアドバイス、執筆、セミナー講師として活躍中。