連載コラム『あなたの家計簿見せて! "給料減少時代"の家計診断』では、相談者のプロフィールと実際の家計簿をもとに、5人のFPが順番に、相談者の家計に関する悩みについての解決策をアドバイスします。


【相談内容】
24歳のOLです。最近今後の人生設計を考え始めました。理想としては、5年以内に結婚をし、結婚後2年以内に出産をしたいです。そのためには、いくらあれば望ましいのか、また今からしておいた方がよいことや、しておくべきことなどがありましたら、アドバイスをお願いします。

相談者プロフィール

相談者の家計状況


【プロからの回答です】

  • ご自身も自覚されているように、お友達と行く趣味の旅行代4万円は毎月の大きな支出となっています。それでもご実家暮らしで住居費や生活費がほとんどかからないため、月間収支は8万円の黒字で、貯蓄も200万円あります。ただ普通口座においてあるお金は無意識に使ってしまって「気づいたらなくなっていた」ということになりがちなので、まとまった金額になったら定期預金にするほうがよいでしょう。

  • 家計のお悩みのもう一つ「保険」についてですが、君江さんの場合は未婚のため、万が一亡くなった時に経済的に困る人がいなければ、「死亡保障」ではなく「医療保障」を検討してみましょう。医療保障は、病気やけがに備えるための「医療保険」とがんに備えるための「がん保険」に大別されますが、最近はがん保障を手厚くしたタイプの医療保険などもあります。「病気やけがで入院しても、貯蓄を切り崩せば何とかなる」と考えるなら保険は不要でしょう。

(※詳細は以下をご覧ください)


夢を実現させ、理想の人生を送るためには、マネープランを立てることがとても大切です。マネープランの第一歩は、将来のライフプラン(人生設計)を考えることから始まります。

自分の将来について考え、マネープランを立てよう

24歳の若さで、将来のライフプランについて考え始められたのはすばらしいことです。君江さんは現在「4~5年後に結婚、結婚後1~2年以内に出産をしたい」という理想をお持ちで、保険への加入も検討したいと考えておられます。そのためにどれくらいお金がかかるのかを知り、その費用を準備することがマネープランの目標となります。

結婚・出産、どれくらいお金がかかる?

まず、結婚費用はどれくらい準備したらよいでしょうか。あるデータ(※1)によると、2012年に挙式・披露宴・披露パーティーにかかった費用は全国平均で約344万円でした。(ご祝儀平均は約226万円)あくまで参考なので、自分がどんな結婚式にしたいかによって金額は大きく変わってきます。その他には結納、婚約指輪、新婚旅行の費用などがかかります。

新生活を始めるためにもお金がかかります。敷金・礼金・家具・引っ越し代などで100万円程度は準備しておく必要があるでしょう。

出産については、妊婦健診に約10万円、分娩費用に約30万円~60万円、マタニティウエアやベビー用品などに約20万円かかっているようです(※2)。妊娠・出産の費用は全額自己負担ですが、自治体などからの助成金や、健康保険から出産一時金として42万円の給付を受け取ることが出来るため、個人の負担はかなり軽減されます。

(※1 ゼクシィ結婚トレンド調査2012、ゼクシィ新生活準備調査2012(リクルート全国平均))

(※2 厚生労働科学研究費補助金・厚生労働科学特別研究事業「我が国における分娩にかかる費用等の実態調査」(平成21年1月))

もっと積極的に貯蓄をしよう!

結婚、出産にかかる費用がある程度イメージ出来たところで、君江さんの家計を見てみましょう。ご自身も自覚されているように、お友達と行く趣味の旅行代4万円は毎月の大きな支出となっています。それでもご実家暮らしで住居費や生活費がほとんどかからないため、月間収支は8万円の黒字で、貯蓄も200万円あります。今は家計に余裕があるので、自分への投資や趣味にお金をかけるのも悪くはないと思います。ただ普通口座においてあるお金は無意識に使ってしまって「気づいたらなくなっていた」ということになりがちなので、まとまった金額になったら定期預金にするほうがよいでしょう。

また「余ったお金を貯める」スタイルではなかなか貯蓄は増えないので、理想の将来のためにもっと積極的に「先取り」貯蓄をすることをおすすめします。たとえば、毎月給与天引きされている2万円の貯蓄額を4万円にアップすれば、1年間で60万円、手取り収入の約20%を貯めることが出来ます。今ある貯蓄200万円と合せると4年後には440万円、5年後には500万円になります。ご自身のできそうな金額でぜひやってみて下さい。

結婚後は、マイホームの購入などの新たな目標が出来ると思いますから、パートナーと話し合いながら二人のマネープランを作っていくようにしましょう。

20代未婚女性が入るならどんなタイプの保険がよいか

家計のお悩みのもう一つ「保険」についてですが、君江さんの場合は未婚のため、万が一亡くなった時に経済的に困る人がいなければ、「死亡保障」ではなく「医療保障」を検討してみましょう。

医療保障は、病気やけがに備えるための「医療保険」とがんに備えるための「がん保険」に大別されますが、最近はがん保障を手厚くしたタイプの医療保険などもあります。「病気やけがで入院しても、貯蓄を切り崩せば何とかなる」と考えるなら保険は不要でしょう。

ある調査(※3)によると、入院時の自己負担額は1日あたり平均1万6000円となっています。重い病気などで入院が長期化し医療費が高額になった場合、「高額療養費制度」を利用すれば負担は減りますが、食事代や交通費、差額ベッド代などは全額自己負担となります。

(※3 生命保険文化センター「平成22年生活保障に関する調査」)

「医療保険」は、病気やけがで入院した時に入院給付金や手術給付金が支払われ、差額ベッド代などの自己負担分をカバーすることができます。また「がん保険」はがんと診断された場合に、診断一時金、入院給付金、手術給付金などが支払われます。保障の範囲が狭い分、保険料は抑えられています。

24歳の女性の月額保険料の目安は、一生保険料が変わらない「医療保険終身タイプ」の場合、入院給付金日額1万円で4000円程度、入院給付金日額5000円なら2000円程度です。また「がん保険終身タイプ」の場合は、入院給付金日額1万円、がん診断給付金100万円で2000円程度です。

保険料は一般的に年齢が若いほうが安く、必要な保障だけを選ぶことで節約することができます。病気になってしまうと保険に加入できなかったり、加入できても割高になってしまったりする場合もありますので、若くて健康なうちに一度検討してみて下さい。また、保険に入ると決めたら、保険料もマネープランにきちんと取り込むようにしましょう。

<著者プロフィール>

(株)プラチナ・コンシェルジュ ファイナンシャルプランナー 白子里美

大学卒業後、大手総合商社に勤務。退職後、FP資格を取得。現在webにてコラムの執筆の他、教育費や生命保険、老後資金などに関するセミナーなども行っている。(株)プラチナ・コンシェルジュ所属