前回から始まった連載コラム『あなたの家計簿見せて! "給料減少時代"の家計診断』。相談者のプロフィールと実際の家計簿をもとに、5人のFPが順番に、相談者の家計に関する悩みについての解決策をアドバイスします。


【相談内容】
昨年第2子が生まれたので、自分の生命保険を見直したいと思っています。生命保険は友達のお母さんに加入を勧められ、言われるがままに入ってしまったので、実際のところ自分がどんな内容の保険に入っているのか、把握しきれていません。自分に何かあった場合、家族は大丈夫でしょうか?

相談者プロフィール

相談者の家計状況


【プロからの回答です】

  • 保険を見直す際は、現在どのような保障内容になっているか把握した上で、必要な保障額がどれくらいなのかを知ることが大切です。一家の大黒柱である健太郎さんにもしものことがあった場合、実際どれくらいの死亡保障が必要なのでしょうか。計算の結果、中田家の「夫死亡後の収入」は約10,600万円、「夫死亡後の支出」は約13,050万円となり、必要保障額は2,450万円となりました。

  • 現在の健太郎さんの死亡保障は総額3,595万円で、必要な保障額よりも大きい保障となっています。その分高い保険料を支払っているともいえます。年金部分はそのままにして、一時金で受け取れる保険金額を減らすなど検討してみてもいいでしょう。

(※詳細は以下をご覧ください)


現在加入している保険の内容をきちんと理解する

健太郎さんと尚子さんの加入されている保険はアカウント型といわれ、支払った積立金で必要な保障を組み立てて買っていく仕組みとなっています。

現在の健太郎さんの主な保障内容は、以下のようになっています。

  • 死亡・高度障害状態の時、一時金1,795万円、年金120万円が15年間(総額1,800万円)

  • けがや病気で2日以上継続入院の時、日額5,000円、手術の際一時金50万円

  • 災害や病気で通院の時、日額3,000円、災害での特定損傷の時5万円

  • がんと診断の時、一時金25万円、入院した時日額5,000円

  • 7つの生活習慣病で入院したとき、日額1万円(120日まで)

  • 要介護2以上になった時、一時金200万円、年金120万円(終身)

もしもの時に残された家族が生活していくためにはどれくらいの保障が必要か

では、一家の大黒柱である健太郎さんにもしものことがあった場合、実際どれくらいの死亡保障が必要なのでしょうか。

必要な死亡保障額は、「夫死亡後の支出-夫死亡後の収入」で算出することが出来ます。「夫死亡後の支出」は、残された家族の生活資金・子どもの教育資金・子どもの結婚資金・死亡時整理金・その他予備費などを合計したものです。「夫死亡後の収入」は遺族年金・老齢年金・死亡退職金・妻の収入・その他収入(学資保険や養老保険など)・現在の貯蓄の合計です。

中田様の家計データをもとに、以下の前提で必要な保障額を算出してみましょう。

夫死亡後の主な収入

  • 遺族年金:尚子さん38歳時から65歳まで総額約5,200万円(38歳から53歳:年間約176万円、53歳から55歳:年間153万円、55歳以降111万円)

  • 老齢基礎年金:尚子さん65歳から87歳まで総額約1,700万円

夫死亡後の主な支出

  • 生活費:生活費は{現在の月間支出-(住居費+教育費+夫保険料)}×12月+旅行代+車両保険代=年間約290万円 妻・末子(22歳まで)21年間は×7割・妻のみ28年間は×5割で計算すると総額8,350万円

  • 教育費:保育園(月3万円)、小学校から高校までは公立、大学は私立文系とすると総額約2,300万円

(※その他の収入・支出の前提は文末に記載してあります)

計算の結果、中田家の「夫死亡後の収入」は約10,600万円、「夫死亡後の支出」は約13,050万円となり、必要保障額は2,450万円となりました。

「死亡保障」はこのままでいいのか、見直すべきか

現在の健太郎さんの死亡保障は総額3,595万円で、必要な保障額よりも大きい保障となっています。その分高い保険料を支払っているともいえます。年金部分はそのままにして、一時金で受け取れる保険金額を減らすなど検討してみてもいいでしょう。

また現在の保険は48歳の時に更新となりますが、同じ保障額の場合、年齢が上がるため保険料も上がると考えられます。必要保障額はお子様の成長とともに減っていくため、更新の時には、保障額を減額して見直しをしてください。

別の保険を考える場合の見直し例も一つ挙げてみます。

必要保障額より少し多めになりますが、500万円分を定期保険で、残りを収入保障保険で補うと考えた場合、41歳・男性では以下のようになります。

  • A社定期保険500万円(10年) : 月額保険料1,910円

  • B社収入保障保険(年金月額10万円・60歳まで・受取総額2,280万円) : 月額保険料3,180円

保障総額は2,780万円で、月額保険料A・B社合計5,090円となります。 

現在支払っている月額保険料8,748円(定期保険と長期生活保障保険の合計)と比べ、大幅に保険料を減らすことが出来ます。

ライフステージごとに必要な保険を選ぶことが大切

次に尚子さんの死亡保障も確認していきましょう。死亡保障に関しては、尚子さんにもしものことが起こった場合は一時金として500万円が支払われます。月保険料が障害特約を付けて1,540円で、60歳時更新ですので、このままお持ちになってはいかがでしょうか。60歳時には下のお子様も大学を卒業する年になっているので、その後は更新の必要はありません。

医療保障に関しては、健太郎さんは現在、月6,104円の保険料を支払っておられますが、入院日額を同条件とした場合、七大生活習慣病120日入院、先進医療、がん診断治療給付金が付いて、41歳・男性・終身払いで月保険料2,500円程度というものもあります。医療保障に関しては健太郎さんだけでなく尚子さんも一度見直してみてはいかがでしょうか。

ライフステージが変われば必要保障額や保障内容も変わっていきますので、その時々に合った保険を選ぶことが大切となります。

(※必要保障額算出の前提)

  • 38歳時の女性の平均余命48.78歳(23年度簡易生命表より)より87歳まで生きることとし、49年間分として計算

  • 遺族厚生年金額は平均標準報酬額:40万円、平成24年度価格にて算出

  • 死亡退職金:500万円とする

  • 尚子さんは38歳から60歳まで年100万円で働くこととする(総額2,200万円)

  • その他収入:学資保険約200万円、現在の貯蓄800万円

  • 住居費:固定資産税年間20万円、管理費年間10万円とすると総額約1,500万円(ローンは支払う必要がなくなるため計上しない)

  • 結婚援助金2人分200万円、死亡時整理金200万円、一時金(リフォーム代・予備費など)500万円とする

<著者プロフィール>

(株)プラチナ・コンシェルジュ ファイナンシャルプランナー 白子里美

大学卒業後、大手総合商社に勤務。退職後、FP資格を取得。現在webにてコラムの執筆の他、教育費や生命保険、老後資金などに関するセミナーなども行っている。㈱プラチナ・コンシェルジュ所属