このコラムでかつて、パナソニックのテーブルタップ「ザ・タップX」を取り上げたことがある。ザ・タップXは、耐トラッキング性に優れた素材の採用や、防水性、片差し防止機構などを備えた、安全性の高いタップだ。以前に記事を掲載したのは2006年なので、既に6年が経過しているが、現時点でもザ・タップXは、家庭用のテーブルタップとしては最高峰の製品の1つと言って良いだろう。

さて、そのザ・タップXだが、2006年に紹介した際には、4コ口のタイプまでしかラインナップされていなかった。ザ・タップXは防水処理などが施されており、同社製の他のテーブルタップよりも、価格が高めの製品となっている。当時、伺ったところによると、キッチンなど高い安全性が要求される場所での使用を想定した、いわば特別仕様の製品であるとのことで、ラインナップも他のシリーズに比べると少なかった。しかし、その高い安全性から、実際にはキッチンなどの水回りだけでなく、家庭内のさまざまな場所で広く使われており、現在では6コ口のタイプまでがラインナップされている。

また、2007年には一括スイッチ付きモデルが、2008年には個別スイッチ付きモデルがシリーズに追加されている。写真は、一括スイッチ付きモデルだ。

一括スイッチ付きの「ザ・タップX」

以前のコラムに書いたとおり、ザ・タップXはソケット部分に防水パッキンが装備されており、水しぶきがかかった程度では、内部に水が侵入しないような構造になっている。さらに、新たに追加されたスイッチ付きモデルでは、スイッチ部分も防水仕様となっているようだ。

というわけで、スイッチ付きザ・タップXの内部がどうなっているのか、中を見てみることにしたい。

ネジは特殊タイプで、開けるためには専用の工具が必要だ

発熱対策として採用されている2重構造ボディ

まずは、タップ背面にあるネジを外す。ここはY型の特殊ネジが用いられているので、外すためには専用のドライバーが必要だ。開けてみると、タップの本体が2重構造になっているのが分かる。差し込み口の接点部分が、外側の樹脂製ケースとは別のケースに入れられている。

差し込み口の防水構造に比べると、意外と簡単な構造を採用しているスイッチ部分

スイッチは、ロッカースイッチと呼ばれるタイプで、それほど特殊なものではないようだ。本体カバーのスイッチ部部分には、防水カバーが設けられている。防水カバーは、本体カバーに単純にはめ込まれているだけだ。水圧がかかるような状態では使えないだろうが、軽く水しぶきがかかる程度ならば、これでも十分に防げるだろう。とはいえ、差し込み口部分の凝った防水構造に比べると、ちょっと拍子抜けする感じではある。

さて、スイッチ付きのザ・タップXだが、スイッチ部分にはランプが内蔵されている。スイッチ付きのタップを、節電目的で使用するという人は多いようだ。節電目的なのにランプの分だけ余分な電力を消費するのはどうかということで、このところ各社からランプレスのスイッチ付きタップがリリースされている。

では、果たしてスイッチ付きタップのランプ部分は、どのくらい電力を消費しているのだろうか。ワットチェッカーをつないで撮影したのが次の写真だ。

ランプ付きスイッチは、ほとんど電力を消費しない

消費電力はは0.00Wとなっている。ワットチェッカーではあまり微小な電力は計測できない。AC 100Vに直結されるスイッチが内蔵しているのは、たいていネオンランプだ。点灯時にネオンランプに流れる電流は、標準輝度タイプならば0.5mA以下といったところが一般的だ。光っているので、それなりの電力を消費しているように思えるかもしれないが、実際のところ、ほとんど電力は消費しないわけだ。少なくとも、スイッチの部分にランプがなくなったからといって、家庭内での省電力に結び付くかといったら、誤差の範囲でしかないだろう。