「少し早め」と銘打っておきながら、もはや早めでも何でもない時期になってしまった本シリーズ……今回は新生活向けの冷蔵庫についてお届けしたい。

単身者用のアパートやマンションなどでは、50L程度の小型冷蔵庫がキッチンの下などに据えつけられているケースもよくある。これらは、缶やペットボトルの飲料を冷やす程度には使えるが、本来冷蔵庫に求められている食品の保存用途には、あまりに庫内容積が小さい。「食事は100%外食」という人にはこれでもよいのかもしれないが、そうでない場合は、最低でも100L以上のサイズの冷蔵庫は用意したいところだ。

冷蔵庫のサイズは、設置スペースのサイズに依存する。置けるサイズの冷蔵庫の中から、価格的に適当で用途にもマッチしたものを選ぶというのが普通の感覚だろう。新生活向け、中でも各社が単身者向けにリリースしている冷蔵庫は、100L前後の1ドアタイプから、3ドアタイプの250Lクラスといったところまでかなり幅がある。この中で単身者向けの冷蔵庫の中心となるのは、やはり140L~170Lクラスの2ドアモデルだ。

ここ数年の冷蔵庫のポイントは、省エネ化や"エコの見える化"、棚の使いやすさの向上、高湿度化による鮮度維持、LEDによる野菜の鮮度維持といったところだが、これらはあくまでも大型冷蔵庫の分野での話だ。単身者向けとされているサイズの冷蔵庫では、省エネ化以外については、あまり関係ない。

2万~4万円台といった価格も大きな要因だが、単身者向けの冷蔵庫は、いわゆる"枯れた製品"だ。基本性能を重視したモデルが中心で、大型冷蔵庫のように目新しい機能や技術が続々と採用されるというわけではない。最近の製品における主要な変化は、庫内灯がLED化しつつあることと、一部の機種が脱臭機能を搭載した点だ。国内大手メーカーの製品の多くが、引き出し式のボトムフリーザータイプにシフトしたというのも、最近の変化といえないこともない。

パナソニックの「NR-B144W」。カラーは写真のシルバーのほかにホワイトとブラウンが用意されている

新生活向け冷蔵庫選びのポイントは、まず価格とサイズ、続いて省エネ性能や動作音といったことになる。機能面での差はそれらよりも重要度が下がる傾向にある。ここでは、メーカーごとではなく、サイズごとに国内メーカーの冷蔵庫をチェックしていきたい。

150L前後のクラスはスペックがほぼ同等

まずは、150L前後のモデルだ。このクラスには、パナソニックが「NR-B144W」、三菱電機が「MR-P15T」、シャープが「SJ-PD14W」「SJ-14W」をリリースしている。現時点での量販店での価格は、シャープのSJ-PD14W以外は3万円台前半が中心だ。同モデルのみ4万円台が中心となっているようだ。

サイズはNR-B144WがW480×D584×H1,119mm、MR-P15TがW480×D595×H1,213mm、SJ-PD14WとSJ-14WがW480×D590×H1,125mmだ。だいたい同じようなサイズだが、いずれも放熱のためのスペースが必要で、壁から若干離して置く必要がある。壁からの距離は、NR-B144Wの場合、サイドが20mmで背面が70mm、MR-P15Tの場合、サイドが20mmで背面が50mm、SJ-PD14WとSJ-14Wの場合、サイドが20mmで背面が30mmとなっている。また、いずれのモデルも、上方に100mm程度の空きを必要としている。

三菱電機の「MR-P15T」。このクラスでも基本性能が高い

庫内容積は、NR-B144Wが冷蔵室94Lの冷凍室44Lで計138L、MR-P15Tが冷蔵室100Lの冷凍室46Lで計146L、SJ-PD14WとSJ-14Wが冷蔵室91Lの冷凍室46Lで計137Lだ。

年間消費電力量は、NR-B144WとMR-P15T、SJ-PD14Wが290kWh/年で(NR-B144Wは50Hz地域では280kWh/年)、SJ-14Wのみ300kWh年。動作音は、MR-P15Tが22dBで、他の製品は23dBだ。

シャープの「MR-P15T」。プラズマクラスターで除菌するパーソナル向け冷蔵庫

基本性能はいずれもほとんど差がないが、三菱電機のMR-P15Tがわずかながら上回っているようだ。

機能面では、NR-B144Wがカテキン抗菌・脱臭フィルターを装備、SJ-PD14Wがナノ低温脱臭触媒とプラズマクラスターイオンでの除菌機能を搭載している。またシャープの2製品は、冷蔵室のドアを右開き・左開きに付け替えることが可能だ。全モデルとも摂氏100度までの耐熱トップを装備しており、上にオーブンレンジなどを置くことができる。


単身世帯ではやや大きめの170L前後のクラス

パナソニックの「NR-B174W」。カラーは写真のブラウンのほかにシルバーとホワイトが用意されている

170L前後のクラスでは、パナソニックが「NR-B174W」、三菱電機が「MR-P17T」、シャープが「SJ-PD17W」「SJ-17W」をリリースしている。販売店での現時点の価格は、シャープのSJ-PD14W以外は4万円台が中心だ。同モデルのみ5万円台が中心となっているようだ。

サイズは、NR-B174WがW480×D584×H1,293mm、MR-P17TがW480×D595×H1,338mm、SJ-17WがW480×D590×H1,285mmだ。壁からの距離は、NR-B174Wの場合、サイドが20mmで背面が70mm、MR-P17Tの場合、サイドが20mmで背面が50mm、SJ-PD17WとSJ-17Wの場合、サイドが20mmで背面が30mm必要だ。これらのモデルも、上方に100mm程度の空きを必要としている。

三菱電機の「MR-P17T」

庫内容積は、NR-B174Wが冷蔵室124Lの冷凍室44Lで計168L、MR-P17Tが冷蔵室122Lの冷凍室46Lで計168L、SJ-PD17WとSJ-17Wが冷蔵室121Lの冷凍室46Lで計167Lだ。いずれも150Lクラスからの容積の増加分はすべて冷蔵室に当てられていて、冷凍室の容積に変更は無い。

年間消費電力量は、NR-B174WとMR-P17T、SJ-PD17Wが310kWh/年で(NR-B174Wは50Hz地域では300kWh/年)、SJ-17Wのみ320kWh年。動作音はMR-P17Tが22dBで、他製品は23dBだ。

シャープの「SJ-PD17W」

機能は各社の150Lクラスと同等だが、シャープのSJ-17Wのみ、SJ-14Wには非搭載だったナノ低温脱臭触媒が追加されている。

単身世帯の場合、ここまでみてきたクラスの冷蔵庫で容積的に足りなくなるというケースは少ないはずだ。考えられるのは、もう少し大きな冷凍室が使いたいというニーズだろう。そういった場合、200L台の冷蔵庫も視野に入ってくる。

そのクラスになると、ベーシックなパーソナル向け冷蔵庫にはない機能が搭載されているケースも増えてくる。


パーソナル向けよりも少し大きめのタイプ

パーソナル向け冷蔵庫よりも少し大きめの冷蔵庫というカテゴリーでは、パナソニックが「NR-B234B」、三菱電機が「MR-H26S」、シャープが「SJ23T」、日立アプライアンスが「R-S27AMV」「R-27AS」「R-26BA」をリリースしている。R-S27AMVとA-27ASが3ドアタイプで、他モデルは2ドアタイプだ。パーソナル向けでは引き出し式のボトムフリーザーがを採用したスタイルが主流となっていたが、このクラスでは製品ごとにスタイルに幅がある。また製品の特性上、ベーシックな製品を拡大したモデルと、上級機の機能をコンパクトモデルに詰め込んだモデルとが混在している。

パナソニックの「NR-B234B」

パナソニックのNR-B234Bは、冷蔵室166L、冷凍室68Lの計234L。冷蔵室には野菜などの収納に使えるフレッシュルーム(21L)も配置されている。また、フレッシュルームには野菜の鮮度を保つための「保鮮・抗菌カセット」も搭載。冷凍室はドアタイプで、上下2段に分かれている。上の段には製氷スペースと小さめのケース、下の段には大きめの収納ケースを搭載。

本体サイズはW600×D615×H1,515mmで、設置の際は放熱のために左右に20mm、上に100mmの空きが必要だ。背面は壁にぴったりつけることが可能だ。年間消費電力量は、50Hz地域が420kWh/年で60Hz地域が430kWh/年となっている。量販店での現在の価格は7万円台が中心となっているようだ。

三菱電機の「NR-B234B」

三菱電機のMR-H26Sは、93Lの大容量フリーザーを特徴とするモデルだ。冷凍室は3段になっており、2段目と3段目は、冷凍食品などを保存しやすい収納ケースタイプとなっている。冷蔵室は163Lで22Lの野菜ケースを装備する。

本体サイズは、W555×D635×H1,610mmで、設置の際は放熱のために左右に20mm、上に100mmの空きが必要だ。背面のスペースは必要ない。年間消費電力量は430kWh/年となっている。量販店での価格は現在、4万円台が中心となっているようだ。

シャープのSJ-23Tは、トップフリーザータイプの2ドア冷蔵庫だ。冷蔵室は165L、冷凍室は63Lで定格内容積は228Lだ。冷蔵室の最下段は野菜保存用のフレッシュケースとなっている。また、冷蔵室にはナノ低温脱臭触媒を装備する。

本体サイズはW545×D610×H1,491mm。設置の際は放熱のため、左右20mm、背面に10mm、上側に100mmの空きが必要だ。年間消費電力量は340kWh/年。現在、量販店での価格は4万円台が中心となっているようだ。

日立アプライアンスの「R-S27AMV」

日立アプライアンスのR-S27AMVとR-27ASは、中央に野菜室を配置した3ドアタイプの冷蔵庫だ。2モデルの違いは、R-S27AMVが自動製氷機能と急速冷凍機能を搭載している点。このクラスでは唯一、これら2つの機能を搭載するモデルとなっている。

冷蔵室は146Lで、そのうちチルドルームはR-S27AMVが8L、R-27ASが11L。チルドルームは直接冷気を当てない"うるおいチルド"仕様となっている。また、冷蔵室にはナノチタン除菌・脱臭フィルターも搭載。野菜室は54Lで冷凍室は65Lだ。本体サイズはW540×D625×H1,495mm。設置の際は放熱のため、左右20mm、上側に100mmの空きが必要だ。背面のスペースは必要ない。両モデルともインバーター制御を採用しており、年間消費電力量は330kWh/年。現時点で量販店の価格は、R-S27AMVが6万円台が中心で、R-27ASが6万円前後が中心となっているようだ。

R-26BAは、トップフリーザー対応の2ドア冷蔵庫。冷凍室は68Lで冷蔵室は187Lだ。冷蔵室には16Lのチルドケースと28Lの野菜ケースを装備する。チルドケースは、上位モデルと同じく"うるおいチルド"だ。ナノチタン除菌・脱臭フィルターも装備する。

本体サイズはW600mm×D655mm×H1,560mmで、放熱のためのスペースは、左右20mm、上側に100mm必要だ。年間消費電力量は360kWh/年となっている。現時点での量販店での価格は、5万円台が中心となっているようだ。

--次回に続く--