【コラム】
三洋電機の「eneloop(エネループ)」は、最近登場したプロダクツのなかでは、やはり、どうしても押さえておかなければならないなぁと思っていたものです。しかし、ほぼ同時に発表された、eneloopと同様に自己放電の少なさを特徴とした松下電池工業のNi-MHバッテリー「HHR-3MPS」がなかなか手に入らなかったため、検証が伸び伸びになっていました。先週、やっとHHR-3MPSを入手することができたので、両者を何回かに分けて検証していきたいと思います。
良く知られているように、eneloop / HHR-3MPSは自己放電が少ないため、販売時からすでに充電済みの製品です。
では、実際に販売されているeneloop / HHR-3MPSは、そのままの状態でどのくらい使えるのでしょうか。「eneloop vs. HHR-3MPS」の第1回である今回は、その点に絞って検証してみたいと思います。
今回は購入したばかりのeneloop / HHR-3MPSに豆電球を繋いで、電圧が1Vを切るまでの時間を計ってみました。豆電球の仕様が、2.5V / 0.5Aというものなので、これを2本並列に繋いでいます。また、参考値として、フル充電後の三洋電機のNi-MH「HR-3UF」でも、同じテストを実行しています。
筆者のコラムは、決してビジュアル的に優れたものではないのですが、この「eneloop vs. HHR-3MPS」に関しては、なにしろテスターの画面ばかりというものなので、従来よりもさらにいっそう地味になります。
使用しているテスターは日置電機の「F-75」というモデルで、30年ぐらい前のものです。デジタルマルチメーターもあるのですが、こちらのほうが慣れており使いやすいため、まだまだ現役です。
さて、まずはeneloopの測定です。
通常のNi-MHバッテリーでは、フル充電時の電圧は1.2Vとされていますが、筆者が購入してきたeneloopでは、それよりも若干低めの1.125Vを差していました。ここから、30分ごとに、電圧を測定していきます。
測定開始から30分後、eneloopの電圧は1.1Vに低下していました。ただ、この電圧なら(ハンディタイプの蛍光灯など特殊なものを除く)ほとんどの機器で動作可能でしょう。
測定開始から1時間が経過しましたが、まだ1.1Vを保っています。30分前と、電圧の変化は認められません。
1時間30分経過しましたが、いまだに1.1Vを保っています。なかなか1.1Vからは低下しません。単四型でやればよかったと、そろそろ後悔の念がわいてきます。
2時間が経過したところで、電圧は1.05Vに低下しました。どうやらやっと限界に近づいてきたようです。
2時間30分が経過したところで、電圧は0.16V程度まで低下しています。もちろん、電球はすでに点灯していません。
続いてはHHR-3MPSです。仕様としては、eneloopとほとんど同じNi-MHのHHR-3MPSですが、一体どのような結果を出すのでしょうか。
HHR-3MPSのスタート時の電圧は、eneloopよりも若干低い1.1Vを差し示しています。とはいってもほぼ誤差の範囲と言ってよいでしょう。
30分が経過したところで、HHR-3MPSの電圧は、0.25Vほど低下しています。eneloopの場合も、スタート30分後で1.125Vから1.1Vに下がって、そこから安定しているので、HHR-3MPSの場合もこの電圧で安定するのでしょうか。
HHR-3MPSの電圧は、測定開始から1時間で1.05Vにまで低下しました。このまま1Vを割り込んでいってしまうのでしょうか。
測定開始から1時間30分が経過しましたが、電圧は1.05Vのままで、30分前との差は認められません。どうやら、HHR-3MPSは1.05Vで安定したようです。
測定開始から2時間が経過したところで、電圧は1.025Vに低下しています。1Vを割り込むぎりぎりのところで何とか踏ん張っている感じです。
スタート時の電圧の差はありましたが、HHR-3MPSの場合でも測定開始から2時間30分後に電圧1Vを割り込み、ほぼ0Vに下がっています。
ここまでは購入したばかりのeneloop / HHR-3MPSの測定を行ってきました。では、一般的なNi-MHバッテリーではどうなのでしょうか。筆者はコラムの第2回で書いたように、三洋電機のHR-3UFというNi-MHを無駄に大量購入しています(ほとんど使用していないので測定には好都合)。現在、HR-3UFは後継のHR-3UGに置き変わってしまいましたが、それでもeneloop / HHR-3MPSの容量が2000mAhであるのに対して、2500mAhの容量をもっています(HR-3UGは2700mAh)。というわけで、フル充電したHR-3UFについても測定を行ってみました。
HR-3UFでは、1.2Vというeneloop / HHR-3MPSの場合よりも少々高い電圧からスタートしました。
eneloop / HHR-3MPSの場合と同様に、HR-3UFでも、スタートから30分後に電圧が低下しています。ただし、元の電圧が高かったため、低下しても1.15Vです。
スタートから1時間が経過しました。電圧は徐々にですが下がっていき、画像では1.15Vをちょっと割り込んだあたりです。
1時間30分が経過しました。電圧は30分前と同様に、1.15Vをちょっと割り込んだあたりを指しています。どうやらここで安定しているようです。
2時間が経過したところで、電圧が、ごくわずかですが下がり始めました。Eneloop / HHR-3MPSでは、2時間30分には1Vを切っていたのですが、HR-3UFではどうでしょうか。
2時間30分が経過しました。Eneloop / HHR-3MPSでは、この時点で1Vを大きく割り込んでいたのですが、HR-3UFではまだ1.125Vあたりを指しています。さすが、HR-3UFは大容量です。
測定をスタートしてから3時間が経過した時点で、HR-3UFの電圧は、やっと1Vを割り込みました。ただし、この時点でも0.95V程は出ていて、まだ豆電球は点灯しています。
さて、3種類のNi-MHバッテリーで測定を行ってみました。もちろん、これはただ1回だけの測定結果であって、正確を期するためにはもっと回数を増やすべきなのは確かです(なのですが、さすがに1セット8時間以上かかる測定をそう何度もやるのは大変……)。
今回測定した中では、ほかのバッテリーが徐々に電圧を低下させていくのに対して、eneloopのみが使用開始直後に電圧の低下があったものの、その後はずっと安定した電圧を保つという結果を出しました。使う機器によっては、これはポイントになるかもしれません。
ただ、eneloopもHHR-3MPSも、ほぼ同じ時間で電力を使いきっていますので、今回の測定対象である「購入時の容量」そのものに関しては、ほぼ同じであるということができるかと思います。
今回測定した環境では、2.5V / 0.5Aの電球を並列に接続しているので、1.25Vで0.5Aの電流が流れるはずです。もちろん、電池ホルダや導線などにも抵抗値はあるので、そのままというわけには行きませんが、それらを考えても2時間強という時間は、2000mAhの容量を持ったバッテリーとして、納得できる値だと思います。
さて、今後のお話について。筆者はeneloopとHHR-3MPS、そしてHR-3UFを、いったん空にしてからフル充電します。それを1カ月ほど置いておいて、その時点でまた同じ測定を行ってみたいと考えています。eneloopとHHR-3MPSはそれぞれ4本パックで購入しているので、4カ月後まで測定が行えることになります。
これら新世代Ni-MHの性能が、果たして従来のNi-MHとは別次元というレベルなのか、ある程度時間をかけて検証して行きたいと思います。
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