【コラム】

男の家電

5 オイルヒーターについて

    よしのわたる  [2006/01/16]

    すでに現行機種ではないが、なんの問題もなく動作しているPhilips「1000EX」

    今回も暖房器具、といってもマイナーで、使っているのはよっぽど好きな人、といわれるオイルヒーターについての話です。

    実は、このオイルヒーターというのはけっこう癖のある暖房器具です。オイルヒーターは、それを使って「良かった」という人と「悪かった」と言う人に、極端に分かれてしまう暖房器具なのです。

    「悪かった」という人の多くは、温かくなるのが遅いと口にしています。もちろん、ハロゲンヒーターやカーボンヒーターなどのように、電源を入れると2~3秒で温かくなるなどという芸当は、オイルヒーターには絶対に不可能です。適正な環境で使用しても、部屋を暖めるのには、たいてい1時間以上かかってしまうのがオイルヒーターです。しかし、そういったオイルヒーターの性格は普通に知られていると思うので、ダッシュで温かくならないとだめだという気の短い人は、初めからオイルヒーターを選択肢には入れないでしょう。しかし、温かくなるのが遅いというのは、そういったレベルの話ではなかったりします。その原因は、オイルヒーターの動作環境がわりとシビアだという点です。他の暖房器具の場合、たとえば10畳の部屋に8畳用の器具を置いた場合でもそこそこ暖かくなり、まったく用を足さないというわけではないですが、オイルヒーターの場合そう簡単ではありません。

    以前にも書きましたが、たいていのオイルヒーターは、部屋が温かくなるまでの間、フルパワーで動作します(1,000~1,500W程度)。そして、部屋が設定温度まで温かくなると、そこからは巡行運転といった感じで、パワーを何段階か落としていきます。これに関してはオイルヒーターに限らず、温度設定の項目のある暖房器具はたいていそうですが、そういった製品の多くは、ファンヒーターだったり、電気カーペットだったりというように、直接温かさが伝わってくる暖房器具です。それに対してオイルヒーターは「気が付くと温かくなっていた」という感じの暖房器具なので、使用している部屋の環境(広さや構造)などによっては、ずーっとフルパワーで稼働しているにもかかわらず、ちっとも温かくならないということにもなりかねません。

    多くのオイルヒーターの推奨動作環境は、鉄筋コンクリート製のマンションの場合、1,000W機で6畳、1,200~1,300W機で8畳、1,500W機で10畳程度といった感じです。木造住宅の場合は、その4~7割程度だとされています。しかし、部屋の気密性や、壁に使用されている断熱材、カーテンの材質などによって、この数値は大きく変わってきてしまいます。実際、換気扇を動かすだけでも温かくなるのにかかる時間がかなり変わってきたりする程で、筆者の経験では、どうも他の暖房器具に比べて環境の影響を受けやすいようなのです。という感じなので、実際のところ、その部屋に何Wのオイルヒーターを置けばよいのかは、やってみないとわからないという部分が、どうしても残ってしまうと、筆者は思います(そのうえ、日によって暖まり方が違ったりする)。

    さらに、フルパワー稼働時の消費電力が大きいモデルでは、同時に使用できる電気製品に制約を受けるケースが出てきてしまいます。30Aで契約している家庭では、全体のA数で引っかかってしまうこともあるでしょうし、そうでない場合でも、どことどこのコンセントが同じ回路なのかをあらかじめ把握しておかないと、PCやビデオなどを道連れにして、どことどこのコンセントが同じ回路なのかを把握するハメになりかねません(以前オフィスで、コピーとレーザープリンターとコーヒーメーカーが同じ回路に繋がっていたことを強制的に把握させられたことがあったもので……)。

    また、オイルヒーターはこれだけの電力を消費するにもかかわらず、民生品ではなぜか100Vのモデルばかりなのです(筆者が知らないだけで、どこかに単相200Vのモデルが存在するのかもしれませんが……)。最近の家庭では、各部屋で単相200Vが使えるケースも増えてきているので、この辺りは何とかして欲しいところです。

    といったように、オイルヒーターを導入する際には、十分に検討してから決断するべきだと思うのですが、それでも、そういった微妙さを乗り越えれば、風が起きない、音が静か、部屋の空気を汚さない、そして安全といった、非常に快適な暖房器具です。部屋の空気を汚さずに安全であるという点は、エアコンによる暖房も同様なのですが、他の2点でエアコンよりも優れています(エアコンには「効率」といった、オイルヒーターにはまねのできないメリットがあったりするのですが)。そのため、エアコンを補完する暖房器具としては、かなり優れたものだと筆者は思っています。

    動作中にフィンの部分に手を触れても、そう簡単には火傷したりすることはない。そういった意味では安全性が高いのだが、けっこう重いので、無理やり動かそうとして腰を痛めたりする危険性はある

    また、外出先から戻ってきたときなどに、けっこう差を感じたりするのですが、オイルヒーターで温めた部屋のほうが、ファンヒーターで暖めた部屋よりも、長いこと温かいままでいるように思えます。まぁ、これはプラシーボ効果かもしれないのですが。

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