【コラム】

Java API、使ってますか?

53 Java SE 7の要注目機能"クロージャ"はどうなるのか

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気になるJavaのクロージャ

次期JavaプラットフォームとなるJava SE 7で導入される新機能はいくつかあるが、その中でも最もその動向が注目されているものがクロージャだろう。クロージャについてはまだ提案者の間でも議論がまとまっておらずJCPには提案されていないが、その準備サイトである「Closures for the Java Programming Language」において現行案が公開されている。

現在、上記サイトにはJSRのドラフトや現在の暫定仕様も公開されているが、これは通称「BGGA版」と呼ばれるもので、Gilad Bracha、Neal Gafter、James Gosling、Peter von der Aheの4名が中心となって提案しているもの。ただしBGGA版の仕様もさまざまな意見を取り入れながら逐次修正されているため、はっきりと形が定まるのはもう少し先になるかもしれない。

本稿ではひとまず現段階で公開されている情報をもとに、Javaにおけるクロージャがどういうものになりそうなのかを紹介したい。

Javaのクロージャの目的

まずJSRのドラフトを見てみると、このJSRはJavaにおいて一般的に"クロージャ"と呼ばれるメカニズムを利用できるようにするものとなっている。そしてこの仕様のメリットとして以下のようなものが挙げられている。

  1. 無名クラスを使って実装されている一部のプログラムを簡素化できる
  2. リソースの完了などにおける種々の問題を解決できる強力なライブラリが提供できる
  3. 並行処理フレームワーク(java.util.concurrent)の実装をシンプルにできる
  4. Aggregate Operationのための新たな種類の並行処理フレームワークを提供できる
  5. Java言語のデザインをAPIのデザインによって拡張することができるようになる

従来、無名クラスを利用することでクロージャに近いコードを記述することができた。一部のプログラムではこれを利用してコールバックなどの機能を実現していたが、フル機能のクロージャが正式にサポートされれば、それらのコードにおけるさまざまな問題を解決することができるという。

またこのJSRではクロージャと同時にそれを利用した新しいステートメントを提案している。例えば同期処理のためのwithLockステートメントや、繰り返し処理のためのforeachステートメントである。クロージャを用いることでこれらの機能がよりシンプルに実現できるようになるとのこと。

4つ目の要素にある"Aggregate Operation"とは、ListやMapなどのコレクションに対する操作を指しているようだ。コレクションを操作するためのメソッドが、クロージャを使うことで非常にシンプルに呼び出しできるようになるとのこと。例としてはsortやfilterなどが挙げられている。

プロトタイプの実装を試す

さて、前述のサイトでは現時点におけるBGGAの仕様を実装したJavaコンパイラのプロトタイプも公開されている。これはOpenJDKプロジェクトによるJDK7の実装にクロージャの機能を追加したものであり、基本的なクロージャの構文を試してみることができる。なお、この実装を利用するためには別途JDK 5.0以降がインストールされ、javaコマンドやjavacコマンドがPATH環境変数に正しく含まれているる必要がある。

まず「closures.tar.gz」をダウンロードし、任意の場所に展開する。このファイルにはbinとlibの2つのディレクトリが含まれており、libにはクロージャの機能を実装したclosure.jarが、binにはそれを利用するためのシェルスクリプトおよびMS-DOS用のバッチファイルが用意されている。closure.jarにはクロージャを用いたJavaコードをコンパイルするためのコンパイラが含まれている。

binディレクトリにある各スクリプトはjavacやjavaコマンドをclosure.jarを利用するように変更するものだ。利用するにはコンソールを開いてbinディレクトリに移動し、通常と同様にコンパイル/実行すればよい。たとえばクロージャを使ったリスト1のプログラムをコンパイルするには、プロンプト1のようにする(Windowsのコマンドプロンプトの場合。%PATHFORCLOSURE%はclosures.tar.gzを展開した場所へのパス)。

FirstClosure.java - クロージャを使ったプログラム

public class FirstClosure {
    public static void main(String[] args) {
        int answer = { => 1234 }.invoke();
        System.out.println(answer);
    }
}

プロンプト1

> cd %PATH_FOR_CLOSURE%\bin
> javac FirstClosure.java

実際にはプロンプト2のようなコマンドが実行され、コンパイルが行われる。

プロンプト2

> javac -J-Xbootclasspath/p:"%PATH_FOR_CLOSURE%\lib\closure.jar" -source 7 -d FirstClosure.java

リスト1でクロージャを含んだコードが出てきたが、次回はこれらの構文についてもう少し詳しく紹介したいと思う。

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インデックス

連載目次
第60回 どうなる? 今後のJavaプラットフォーム(Java SE編)
第59回 どうなる? 今後のJavaプラットフォーム(Java EE編)
第58回 Java SE 7の要注目機能"クロージャ"はどうなるのか その6
第57回 Java SE 7の要注目機能"クロージャ"はどうなるのか その5
第56回 Java SE 7の要注目機能"クロージャ"はどうなるのか その4
第55回 Java SE 7の要注目機能"クロージャ"はどうなるのか その3
第54回 Java SE 7の要注目機能"クロージャ"はどうなるのか その2
第53回 Java SE 7の要注目機能"クロージャ"はどうなるのか
第52回 Early Draftが公開されたJSF 2.0
第51回 EJBから独立したJava Persistence 2.0
第50回 モバイルJavaの新しい潮流となるか - MSA 2.0のドラフト公開
第49回 やっぱり基本はServlet - Servlet 3.0のEarly Draftを読む
第48回 JOGLで3Dプログラミング その4
第47回 JOGLで3Dプログラミング その3
第46回 JOGLで3Dプログラミング その2
第45回 JOGLで3Dプログラミング
第44回 JARファイルを効率的にネットワーク転送するためのPack200形式
第43回 Early Draftで把握するEJB 3.1の新機能
第42回 次世代の携帯端末向けJava仕様"MIDP 3.0"はどうなるか その2
第41回 次世代の携帯端末向けJava仕様"MIDP 3.0"はどうなるか その1
第40回 リソースアダプタによる接続の仕組み
第39回 JCAを利用したシステム間接続
第38回 Java EEと外部システムの接続性を支えるJCAがバージョンアップ
第37回 Javaのモジュラリティ強化を担う"スーパーパッケージ"とは
第36回 JSR 308対応のコンパイラを試す
第35回 公開されたJSR 308のEarly Draftを検証する
第34回 スクリプト言語とJavaを結びつけるJSR 223
第33回 Java EE環境に統一されたコンポーネントモデルを提供するJSR 299 その2
第32回 Java EE環境に統一されたコンポーネントモデルを提供するJSR 299 その1
第31回 Javaの文法がそのまま使えるスクリプト言語"BeanShell"
第30回 Javaアプリケーションにオブジェクトのキャッシュ機構を提供するJCache API
第29回 Javaアプリケーションからのリソース管理を可能にするJSR 284
第28回 XMLデータソースへの問い合わせはJSR 225で
第27回 Portlet Specification 2.0をもっと手軽に利用する
第26回 次期Javaポートレット仕様となるJSR 286
第25回 JSFとポートレットをつなげるJSR 301
第24回 Webサービス向けのポートレット仕様「WSRP」
第23回 高い相互運用性を実現するポートレットAPI - JSR 168
第22回 Java EE環境でタスクのスケジューリングを可能にするJSR 236
第21回 Java EE環境でのスレッドプログラミングを可能にするJSR 237
第20回 音声認識/合成のためのAPI - Java Speech APIとJSR 113
第19回 JSR 291でJavaプラットフォームにダイナミックコンポーネントモデルを導入
第18回 JAX-RSで簡単RESTful - JSR 311
第17回 待望のServlet 3.0がJSRに登場 - JSR 315
第16回 アノテーションを使ってバグ退治 - JSR 305
第15回 アノテーションをさらに広い範囲で利用可能にするJSR 308
第14回 Webアプリケーション開発の要となるか - JSF 2.0がJSRに登場
第13回 Webサービス経由でのJMX Agentへの接続を可能にするJSR 262
第12回 Javaアプリケーションのモジュール化をサポートするJava Module System
第11回 "NIO.2"がやってきた - JSR 203: More New I/O APIs for the Java Platform
第10回 JSR 295: Beans Bindingの参照実装を試す
第9回 けっこう便利! 単位を扱うAPI -- JSR 275: Units Specification
第8回 アノテーションでバリデーション - JSR 303: Bean Validator
第7回 Swing開発の救世主となるか - Swing Application Framework
第6回 JavaBeansのプロパティを同期させるバインディングAPI
第5回 誰よりも早く"Java SE 7"を睨む
第4回 日時情報の取り扱いを改善する JSR 310: Date and Time API
第3回 古いAPIも進化している!? - JSR 919: JavaMail 1.4
第2回 JSR 1 リアルタイムJava仕様
第1回 JCPによって進められるJava関連技術の標準化

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